偉大な科学者たちによる、大いなるプレゼント


 人類の繁栄は、常に科学の発展によってなされてきた。

 とあるえらい学者様の御言葉であるが、この言葉を裏付けるように、偉大なる科学者というものは、自らの発明の権利を放棄し、人類に寄与するような人でもある。


 たとえば、イギリスの科学者のウォーカーだ。

 彼は、自分の発明は世界中の人々にとって、とても重要だと考え、特許をとらなかったのだ。

 そんな彼の発明品は『マッチ』である。マッチが人類にとってどれだけ貢献したかなど、今さら言うまでもないだろう。


 キューリー夫妻も、自らの発見がどれだけ世界のためになるかと鑑み、特許をとらなかった。

 それがどんな特許かというと、ラジウム精製法の特許である。放射線治療の有効性についても、今さら言うまでもないだろう。


 さらに、科学者とはちょっと違うが、彫刻家のロダン。

 彼は、自分の全ての作品を、国に寄付している。

 フランス政府は、ロダンの厚意に少しでも報いようと、彼の息子に年金を与えている。まあ、ちょっと額は少ないが。ないよりはマシというものだ。


 ドイツの物理学者であるレントゲンは、✕線を発見した。

 しかし、彼は特許を申請せず、金銭的な利益すらも拒否した。

 彼はノーベル賞を受けたが、賞金は第一次大戦後の大インフレで吹っ飛び、貧困の中で死亡した。だが、彼は友人に、自分の人生に何一つ後悔はないと、死の床で語ったそうだ。


 次も科学者ではないが、赤十字社の創始者であるデュナン。

 彼は赤十字の創立に全財産をつぎ込み、その結果、自分の織物業は廃業に追い込まれ、生活は困窮を極めた。

 第一回のノーベル平和賞を受けたが、彼の遺言によって、賞金は家族にまわされることなく、全て慈善事業に費やされた。筋金入りの慈善活動家である。


 このように、偉大なる科学者や偉人たちというのは、ある意味で言うと、偉大なる奉仕家といってもいいのかもしれない。だからこそ、偉人と呼ばれるのだろう。

 筆者も、かくありたいと思うのだが、どうにも私欲を捨て去ることは難しい。やはり、偉人は偉大であると、つくづく感じる今日この頃である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る