スタンリー・キューブリックとロイズ保険


 名実ともに名監督として知られている、スタンリー・キューブリック。

 彼は一九六〇年代に、とある大作の創作にチャレンジしようとしていた。

 その大作とは、言わずと知れた『二〇〇一年宇宙の旅』だ。

 そこで、スタンリー・キューブリックは、とある行動を起こし、その行動が今でもイギリス最大級の保険組合『ロイズ保険』で語り草となっているのをご存じであろうか。


 スタンリー・キューブリックは、ロイズ保険に、二〇〇一年宇宙の旅を制作するにあたって、とある条件で保険をかけようと願い出た。

 その条件とは『制作中に異星人の襲来があった場合、その損失を補填してほしい』というものであった。

 もちろん、ロイズ保険はこれを一笑に付したが、当の本人は大真面目。あまりにも熱心にスタンリー・キューブリックがロイズ保険に請願してくるので、わざわざロイズ保険も長老会議の議題として取り扱ってくれたそうだ。

 だが、結果は言うまでもなく、却下。

 その結果をスタンリー・キューブリックの代理人が、本人に伝えた時、スタンリー・キューブリックは苦笑しながらこう答えたそうだ。


「不測の事態に際して必要なのが、保険であるはずなのだがな」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る