世界の雑学集~偉人・有名人編~

日乃本 出(ひのもと いずる)

アインシュタインの最期の言葉


 E=mc2という相対性理論の帰結を説いた、言わずと知れた天才物理学者アインシュタイン。

 彼の天才ぶりについては今さら特筆すべき点はないが、彼の独特な考え方や奇行ともとれる行動についてはあまり知られていない。

 ただ、今回はその考え方や奇行については少し置いておくことにしたいと思う。それについては、またの機会に、ということだ。

 では、今回はアインシュタインの何について記そうというのかというと、その前にまず、彼以外の色んな天才の言葉を羅列させてほしい。



『さようなら、愛しい者。じゃあ、また。と、言っておこう。また、会えるのだから』

 小説家・マーク=トゥエイン


『拍手を。お芝居は終わりだ』

 神学者・アウグスティヌス


『いいかい、勇気を出して、怖がらずに、君の務めを果たしなさい。私の首は短い。だから、撃ち損ねないように注意をしてくれたまえ。君の、名誉にかけて』

 政治家・哲学者・トマスモア


『気を落とさないように。みてごらん、空はなんと綺麗に澄んでいるのだろう。僕は、あそこに行くんだよ』

 哲学者・ルソー



 さてさて、これらの言葉がどのような時に生まれたか、おそらくはわかってくださっているとは思うが、これらの言葉は、彼らが息を引き取る直前に生まれた言葉だと言われている。

 世に言われる、天才や偉人というものは、生きている間、様々な金言を残すものだが、それは今わの際においてもそうらしい。

 となれば、アインシュタインだってそうだろうと思うのは当然のことではないだろうか。

 しかも、アインシュタインは先ほど書いたように、考え方や行動が異質な人。かのアイザックアシモフも兜を脱ぐほどの人である。

 では、アインシュタインは今わの際に、いったいどのような言葉を残したか?

 その言葉とは――――『不明』なのである。


 不明とはいったいどういうことだと思われるかもしれないが、事実そうなのだから、仕方がない。アインシュタインの今わの際の言葉は、何を言ったかわかっていないのである。

 なぜ、そのようなことになってしまったか?

 それは、アインシュタインが息を引き取った場所に大きな理由がある。


 アインシュタインが息を引き取った場所は、プリンストン病院。プリンストンとはアメリカ・ニュージャージー州にある都市である。

 プリンストン病院の看護師は、当然アメリカ人。それに対し、アインシュタインはドイツ人。

 そう、アインシュタインは、今わの際の言葉をドイツ語で喋ったため、アメリカ人である看護師たちは、そのアインシュタインの言葉を理解できなかったのである。

 果たして、アインシュタインはいったいどんな今わの際の言葉を言ったのであろうか?

 様々な憶測が生まれるところではあるが、筆者としては、アインシュタインはきっと、生真面目で回顧的な言葉を残したのではなかろうかと思っている。そうでなければ、母国語である、ドイツ語は使わないのではなかろうか。

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