百合?短編
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どうか離婚して下さい!!
「では、どうしたいのだ?」
「今すぐにわたくしを王都から離れた宮殿に移して下さい!いや、この際離婚して頂いても構いませんわ!」
今すぐ、ジャストナウ!
「母上、諦めましょうよ」
「はぁー、我が子ながら冷めすぎよ!昔の賢人は言ったわ、成せばなる何となく!!」
「言ってませんし、…何と無くって…ただの根性論じゃないですか?」
きぃいい!子供のくせに!そうは言っても嫌なものは嫌なのよ。あの人達の間に挟まれる身にもなって欲しいわ!
「エーレーアー」
「ひぃぃいいい!!片方が来ましたわ!!」
この王国の王族には妾制度があります。制度が始まった起源は数百年前と古く、よく分からない身代わりの魔法だか呪いだかの為に、当時は沢山の妾を作ったみたいですわ。
お陰で当時から王妃と妾で権力争いが絶えず、何度も何度も王国は危機に陥ったようですの。
「エレア、誰に説明してるのかしら?」
「ど、読者ですわ、第一王ひ…」
「王妃では無くて、何と呼べと?」
「お、お、お姉様…」
「よろしい」
鼻筋の通った美しい顔に透き通る白い肌、美しい白金の長い髪をしたお姉様。この国の第一王妃カトリーヌ様が来られましたわ。
「邪魔よ下郎、退きなさい」
「ぐへっ!」
今日も国王陛下が足蹴にされる。
あの人諦めて逃げ…、何ですのこの国は!国王を足蹴とかあり得ませんわ!
「か、カトリーヌお姉様、ごきげん麗しゅうございます」
「第一王妃様、ごきげんよう」
とりあえず荒波を立てない為にもお姉様へ謙りますわ。早々にお帰り頂かないと!もう片方も来たら身が持ちません!!
「やめてくださるアレク、私の事はお母様と呼ぶように毎回言ってるでしょう?」
「失礼致しました、第一王妃様」
流石、我が子。全く流され無いわね。
「まぁ、良いでしょう。今日はお誘いに来たのよ」
「お、お誘い…ですか?」
「そうよ、今からベッドで一緒にセック「何言っておられるんですか!?」
この女!何、朝から爆弾をぶち込んでるのかしら!?
「ご、ご冗談が過ぎますわ」
「冗談?この美しいエレアを前に発情しないわけないでしょう?」
「まさに性の権化」
アレク!母のピンチよ、助けて!!
ってか、お姉様!?何故ここでわたくしのドレスを脱がそうとするの!?
「あぁ、綺麗な肌…」
「そこは第一王妃様に同意しましょう」
「同意すな!!アレク、母のピンチなのよ!?早よ助けんかい!」
子供が母親を裏切るなんて前代未聞だわ!?
「全く…逃げ切れる訳ないのに…。そう、エレアは外でしたいのね。構わないわよ」
はあ!?この変態は何言ってるのかしら!?
舌なめずりをしてジリジリと寄って来るお姉様の圧を受けて、いつの間にか壁際まで追い詰められてますわ!?
「私の事…嫌い?」
「き、き、嫌いでは、ありませ、せんが…!」
その綺麗な顔を近づけないでくださる!?
「なら、いっぱい楽しませてあげ…チッ!」
「カトリーヌ…何してる…」
カトリーヌお姉様の手を掴み、そのまま捻りあげるエリザベートお姉様。
「エリザベート、いつの間に!?邪魔しないで!」
「エレアは私の女…、触らないで…」
あぁ、遅かった…もう片方が…。
白銀の髪に健康的焼けた肌、カトリーヌお姉様に負けない美しさを持つ、第二王妃エリザベートお姉様まで現れましたわ。
「いつまで私に触ってるのよ、離しなさいよ!!」
カトリーヌお姉様の強烈な回し蹴りがエリザベートお姉様を襲いますが、エリザベートお姉様がギリギリでかわしましたわ。
「ラクスチェリアの狂犬…。こんな人と関わらせるなんて…、私のエレアが危ない…」
「わ、私の!?ロレーヌ家の人形如きがぁあ、私のエレアとの時間を邪魔してぇ!!」
あぁ、嫌だ…。カトリーヌお姉様の後ろに龍が、エリザベートお姉様の後ろに虎が見える。
そして何よりこれが毎日の光景だという事実が受け入れられませんわ。
「母上、今日はどちらと過ごされるのですか?」
「知らないわ…、本当にここから出たい」
「妾って大変ですね」
私は国王の妾であって、二人の妾では無いのよ!それは、他人事は良くないわ!アレク、貴方の母の問題なのよ!?
「私はその後の行為を楽しく聞くだけなので問題ありません」
「このエロガキが!!」
私のアノ声を聴きながら勉強するのが趣味とか、我が子ながら何と哀れな育ち方をしてるのよ!
この隙に逃げられないかしら?お姉様達は魔法まで撃ち合っておられるし。今ならバレずに逃げられるのでは?
だって、もし逃げないと…。
カトリーヌお姉様の勝利→気絶するまでもて遊ばれる。
エリザベートお姉様の勝利→ドS責めで完全ドM快楽堕ちする。
決着がつかない→二人に責められ一晩狂う。
もう詰んでるじゃない!毎日毎日毎日毎日こればかりだと、本当に身体が壊れてしまうわ!
え?何かしら?
事の始まりを知りたいの?
仕方ありません、事の始まりを教えて差し上げますわ。
「母上…、誰と話されておられるのですか?」
事の始まりは10年前。
「無視ですか…?」
読者よ!アレクはうるさいですわ!!
…こほん。
…えっと…、たいして大事ではありませんが二度言いますわ。事の始まりは10年前。
国内における貴族勢力のバランスを取る為に、陛下は国内の二大公爵家から、それぞれ妻を向かい入れる事を考えましたわ。
ラクスチェリア家からは、絶世の美女ともてはやされたカトリーヌお姉様。
ロレーヌ家からは、白銀の女神ともてはやされたエリザベートお姉様。
女好きな陛下は美女との甘い生活を夢見ていたのでしょう。
ただ、彼女達は完全に女好きだった。
そして社交会がドン引きするぐらいの犬猿の仲だった。
陛下は女好きにも関わらず、お姉様方は陛下を嫌がり身体を触る事すら許しません。そして王宮内では毎日毎日お姉様方の勢力争いが行われる事になりましたわ。
想い描いた生活とはまるで違う現状に絶望した陛下は、女漁りの為城下へ通われました。
そんな中、地球から転移して来て不安な毎日であった未成年のわたくしは、陛下がくださるお金に目がく…げふん、愛に心を打たれ見事妊娠。
第三王妃となりましたとさ。
この世界にはいない黒髪黒目の私に、陛下だけではなく、お姉様達も落ちたようで…。
アレクが産まれてから9年間、毎日毎日毎日毎日朝から晩まで、お姉様方の欲望に晒される事になりましたわ。
えぇ、地獄です。
あまりの気持ちよさに…、恥ずかしながら陛下じゃ物足りなくなってしまった自分が、とても嫌になりますわ。
「がは…」
「…ふっ…、勝った…」
今日はSMになりました。
「はぁ…」
物凄く嬉しそうな顔をされているエリザベートお姉様を見てため息を吐きましたわ。
とりあえず白目を剥いて気絶しているカトリーヌお姉様に、唯一使える回復魔法を施してからアレクに任せて、エリザベートお姉様のお部屋に向かいます。
既に期待してる自分に目を背ける。
本当に嫌。
陛下、どうか離婚して下さい!!
end
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