《詩集》あめ玉

K・t

あめ玉

透明のビンのふたを開けると 甘いにおい


赤に黄色に青にオレンジ

白い粉をうっすらまとった 丸いあめ玉


どれもこれも とてもおいしそう


「ちょうだい」 友だちが ねだり

あげた赤色を 口に放りこむ

からころ 音がして 香りが届いた


「あぁ しあわせ」 笑顔があふれる


別の友だちには 黄色

さっきとは違う匂いが ビンから抜けてく


「おいしい おいしい」

他の子がオレンジを食べて 笑う


うらやましくて わたしも 青をつまんだ

舌にのせようとして ふとビンを見る


残ったのは 空っぽのビン


友だちはひとしきり味わうと どこかへ行ってしまった

わたしはひとり ビンを見つめる


いつまでたっても やっぱり空っぽ


「これが 幸せの味?」

口のなかの青は 甘くて苦くて



やがて

あめ玉をあげた子たちが もどってきた

手にはそれぞれ 色とりどりのビン


「はい おかえし!」


ひとり ひとつぶ かわりのおかし


かららん ころん

あめ玉にガムにチョコ どれもきらきら かがやいている

色といっしょに 甘いにおいも あふれ出す


口の中には ひときわ甘い味が よみがえってきた

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