陽光力 無敵(ヨウコウリキ ムテキ)ロボ サン・ダイ=オー

ズバーP 

第1話 迫りくる牙☆

☆今回、性的な表現がありますのでご注意ください


 西暦という数え方を最後の世界大戦と共に終わらせた人類が、そのあと「すべてを無くした100年」「暗黒の百年」といわれた再生期間をへて新たにホームである太陽系進出を果たして始まった陽暦51年。 


月面、火星表面の恒久生活基地Living baseをはじめ、重力場の比較的安定した各地点の小惑星生活基地Living baseに建設された「宙市(Li-Vラィヴ)」と呼ばれる宇宙での都市群において以前のあやまちと損失を取り戻す勢いの爆発的な発展と繁栄を謳歌していた。

 宇宙においても大戦後に再建された150m超の巨大な戦闘艦群が威容と力を顕示して今日のその時までは自分達の生命に影が差すなどとは人類たちはつゆほども考えてはいなかったのだ。

 そんな中、太陽系軍アステロイド外縁部の哨戒パトロール艦隊、巡洋艦「さざ波」と指揮下の随伴高速艇2隻による小隊のものとおぼしき戦闘光が予定航路上にしばし瞬いた後に平静を・・いや、動乱の幕開けとなる嵐の前の静けさを取り戻した。


 巡洋艦「さざ波」のブリッジでは突如光球が、複数個膨れあがりモニターとクルーの眼を白く埋める。ドズズズウウゥ・・低い地鳴りのような振動に艦体が揺らされ謎の敵による奇襲の成功を艦内の全員に伝えた。

「至近距離からの飛翔体攻撃!敵影見えず!!」歴戦のオペレータが直ぐ立てなおして報告をよこす。自失しそうになる気心を彼の気迫の声に殴られ負けじと己も声を上げた若き小隊司令。

「警戒A!損害状況を報告後に現宙域離脱!たてなおすっ!」

年下司令の命令を遮るような声っ!「次弾・3波!着弾!!」彼が言い終わるかどうかで、ブリッジにも爆発の熱と痛みの嵐が一迅の乱炎と共に吹き荒れてたやすく、その機能と乗員の生命を吹き消した。

ちょうどオペレータの座席が盾となり皆より少しだけ意識がもった、元若き新鋭司令は口を「なぜ・・」と歪ませて脳裏に恋人のすがたを見ながら構造材と炎の渦に消えた。簡易スーツ姿、ましてメット無しではとうてい助かるはずなど無かった。


 「緊急!緊急!こちら『さざ波』サブ・ブリッジ。現在に攻撃を・・すでに艦は甚大な、な・巨大な!・・蝙蝠か・・。」

ザッ!ザリッ!ブツッ!


「おっ!敵襲ーッ!」巡洋艦「さざ波」からの光速通信を受けた火星基地ではタイムラグこそあれどそれこそ蜂の巣をつついた様な大騒ぎとなり、各地への派遣艦隊の用意、残存人員の救命・救援艦隊の発進、等におおわらわとなった。


「何だ爆発・・!?」

「蝙蝠だと・・?」

「宇宙にか!?」

基地分析オペレータ達は大慌てだった。


監視モニターのドローン画像とHiハイ高速データ通信の

余りにも突然な途切れ方とそのただならぬ様子に騒然となる。

火星の「ニユーダイモス」哨戒基地指令部。


「なんだっ!『さざ波』どうしたっ!」

叫ぶように折り返す基地オペレータ。

「応答しろっ!『さざ波』!」


ごっつい影が指令部内に轟く非常ブザーと共にものすごい勢いで飛び込んできて開口一番。

「敵かっ!なに者なんだっ!」

ブロンドの髪の筋肉ダルマの様な姿が皆に問うが、誰一人として答えを持ってはいない。

(チッ!無視スンナ!おれぁ司令だぞぉ!ぶっ飛ばすぞうっ!)

と皆の様子を誤解した彼は心中で叫ぶ。

そこへ先のオペレータの報告があがる。

「解析!アステロイドB1 区 X12*22*18、D32*04*09、T 0201・・艦影両軍共確認出来ず!「さざ波」は撃沈を確認、随伴艦艇も消失!スキャンドローンは無事です。付近の宙域に我が方の脱出ポッド多数❨AI補助データ:捕捉81❩。」


「バカなっ敵がどこにも居ない!自分から攻撃しておいて逃げ隠れかよっそれとも自爆でもしたってのかっ!一体どこ行った?通りすがりの異星の殺戮者ですってか?」

「落ち着いて、非常時にそんなバカ言わんでくださいよ。」

先程の金髪の偉丈夫、ベテランの基地司令官のロナルド・リーガンと従者のようにその側に影のように付き従う東洋人の痩せぎすの男、カガヤキ日乃元。


「オペレータ、回収艦隊を出せ。❨AI補助データ:捕捉2個小隊❩」


オブザーバードクター兼任副長の彼、カガヤキ日乃元が命令をとばすと、ガラリと口調を変え司令のほうに振り向いて答える。


「司令官!そんな事あるわきゃないって事が目の前で起こった。・・敵の姿が無い・・艦隊内でテロ?は破壊の規模がデカすぎる。ギリ相討ちしたか・・ないな、こっちはミドルクラスの艦隊だったと言えどもボロ負けしてる、敵の方が総合的に・・上。ってことは超高ステルス艦隊なのか、それとも・・最悪は未知の超光速航法を持ってる・・かも。どっちだ?」

言ってから、チラッとロナルドの表情を窺う。

自分でも言ってて信じてはいない証拠だ。

「それこそ、バカを言え!だ。今歴にはいってからアインシュタイン、ホーキング、に次ぐ次世代の人類の頭脳と言われた超天才の日乃元博士がタイムマシンと超光速航法の存在を論文で否定しとったろう。」

と厳つい顔に似ず知識をひけらかすロナルド。


「司令、ウチのじじいが言ったのは一定時期に限って、通常象限内部、通常空間内のエントロピーが自然増減率を維持した場合限定的にって事で…」

「わかった、わかった!俺の負けでいいから敵をさがしてくれ!どこだ!」

「無茶ですよ!司令、探すところが広すぎます・・相手は大宇宙ですぜ。砂漠の砂粒より分がわりぃ。」

ロナルドはくすんだ金髪の顎髭をなでて、

「まあ待てよ、敵、敵だよな真っ正面から来たって事はよぅ、なんにも怖いもんがないんだ。俺たちの力の程も知られてる。だから邪魔なものを破壊した。あとは目的地があるなら猫まっしぐら・・なはずょ。」

副長に諭す様に告げると自分でも納得したようだ。副長自身もちょっとはやる気になったようだ。

「アイサ-!それなら条件付けでAIと主だった所をまとめてみます・・。」

だが外宇宙からするとちっぽけすぎる太陽系も、たかが数十人の基地メンバーがAIの力を借りて己の全力を投入しても相手も目的も不明では手に余る難問だった・・。結局は防衛軍艦隊は人類居住域の全体を薄く広く守る事となった。



 月は古来より神秘の衛星ほしの代名詞であった、汚れなき聖なる星。またしかし、逆に混沌と狂気をつかさどる星ともされていた。しかし、かの星は常に同じ面しか我々に見せてはくれていない。男には複雑すぎるのだ、女性にたとえられるこの星は。


そして、「さざ波」の消えた同時刻にはすでに月面では暗闇の侵攻が始まっていた。


 漆黒に沈む月面一の大都市ルナ・ポート中心部。いつもは不夜城と言われる繁華街も、謎の敵?の攻撃を受け都市防衛機能の大半を喪失。しかも、敵は照明設備も特に重点的に破壊した。かろうじて残った生命維持機能のオートリカバリーも事態の推移になかなかついてついていけずにいた。それでも15万人を優に超える大都市を人々は安全を求めて逃げ惑い闇より襲い来る人型異形の生命体ヒカゲロイド❨後に仮称❩の第一形態「ヒトモドキ」による襲撃を受けていた。ヤツらは影をつたって犠牲者に近づき捕食する。全身半透明、濃灰色ののっぺりとした人型で体高は2-3m。頭らしき部分には感覚器らしきものは無くただソフトボール大の真っ黒い核らしい丸いものがビクビクと脈動している。補食時には左右の腕様の触手を使い獲物の全身の体腔にそれを突き立てて体液を吸い上げる。大の男でも5分もかからないうちにカサカサのミイラだ、さらに全ての水分をすわれた者は一握の砂と化してしまう。

この情報とて、事後に1万数千人にコンタクトを求め軍部が必死でかき集めたもので、157,418名のルナ・ポート宙市市民・当時の外部よりの外界入宙市民7,334名の合計中での無事に戻ることのなかった者たち729名(捕食以外の戦死者・事故死者除く)もの最後の姿・映像、声に音、目撃情報などのあらゆるデータを集めて解析した結果なのだ。

 

 「ヴィー!ヴィー!」

どこかで警報が鳴り響き照明の落ちた中、刹那の間に光る赤い回転灯だけがまわりを知る助けだ。もっとも、システムが生きている所は歩き出したり、走り

だすと先導灯(足回りだけがなんとか見える程度の光源)を非常用に宙市マザー

と呼ばれる中央管理知能が点けてはくれるのだが、瓦礫などもあり何度か転んでしまった。その何度目かで耳に付けた連絡用携帯コミュ・ツールの片方を飛ばして無くしてしまった。

明かりを点けて探したかったが、うかつに明るくするのが怖かった。

 つい1時間ほど前までは普通のルナ・ポートの花形トップウェイトレスだったセナはポート中央部の店を出て他人だらけの群衆をかきわけて必死に逃げだした。


最初はまわりにあれほどいた知人や同僚たちもまたたくまにまばらになり、いまでは闇にのまれて誰の姿も見えはしない。

とうとうたった一人ぼっちになってしまった。

 

 はぁはぁ!「ここどこ?」

ほとんど周りが見えない。時折、きこえるのは誰かの悲鳴だけ。

その悲鳴が自分の知り合いの声だとは考えたくはなかった。

死に物狂いで走っている間にも何度も警察にコールしようと耳に触れたが、やはり片方だけのコミュ・ツールでは出力が足りないのか、転んだ時にでもぶつけでもしたのか答える事は無かったし、今さらもどってとばされて行った片方を探すなんて仕事の上司であるクソ主任のになるよりイヤだった。

例え見つけたとしてもこの混乱下で警察にすぐ連絡がついて保護してもらえるとは思えなかった。


また徐々に周囲の明かりは着き始め暗闇から夕方程度にはなった。

ただ、誰の声も聞こえない。安心出来ないのはとても辛かった。


謎の捕食者に見つからないように、ストレス過多で叫び出したりしないように小声で毒づいてから息を整えるセナ。

「(誰っ!なに、なんなの?一体何が起こったのよ!店のTVで見た人間が灰色のゼリー人間に襲われる画像・・本物?)」


素早く見渡すとあたりは瓦礫の散乱したハイウェイの入り口付近だった。

普段なら店から15分もかからないところだ。

なぜ、こんな丸見えの見晴らしのいい?場所に・・?。あわてて、瓦礫の

影に隠れてしゃがみ込んだ。

「(獲物のようにゼリー人間共に追い立てられて、誘導された?!)」

イヤな考えをあたまを振りはらうようにして追い出し、他の事を考えようとした。ふつうの平和な生活がつい先ほどまであたりまえだったのに、いつ自分は道からこぼれ堕ちたのだろう?まるで罠にはまった悪夢のようだ。身につけたものは外出するには薄く頼り無い白いウェイトレスの制服と銀のショールだけ、つまり露出度高めの白いチャイナドレスに可愛いヒラヒラを申し訳ていどつけてみただけのもので21才の女の身で外を出歩くにはいささか恥ずかしい装備といえた。

しかも、中年のイヤらしい万年現場のクソ主任のせいでノーブラ強要だ、これでは例えヒト相手でも、襲ってくれと言ってるようなものだ。

まして、途中で何度か見かけたヒトを襲うゼリー怪物らは、ポリスや軍コマンドたちの重装備ですらほかの犠牲者とことさら区別していない様子だった。

闇に潜んでいる未知の敵…怖い!すぐそばにいてもわからずに、なんの意味もなく殺される!考えただけで恐ろしさに小さく声が洩れた。

「いっいゃあっ!わたし・・悪い事してないよ」

思ったより大きな声が出て固まるセナ。

遠くの喧騒の中の静寂。

自分の鼓動と荒い呼吸がやかましい。

「誰もいない」

孤独感に襲われるが、複数で逃げてすぐ察知され殺されるよりましだ。


 ふと大の仲良しのシシー・マデリン、怖がりシシー大丈夫かなぁ。それと妙に頼りになる新人同僚のエリザベス・ヒュートナさん、私より胸大きいもの・・ビックリ。あのエリザベスさんと一緒なら、シシーも安心かも。絶対2人は一緒よね・・。コメディアンのような職場の大小・デコボココンビ。


ふたりを想いほっとする。


少し落ち着いたかと思いきや周囲の気配が冷たく変わり、微かな異音が・・。

 

ヒタ ヒタ ヒタ ヒタ ヒタ ヒタ ヒタ

誰かが忍び足で歩いてる?

チカッチッ! スーッ    

また電力の供給が不安定なのか明かりがうす暗くなってくる。


ズルズルッ ズッスウーッ 何かが這いずる様な音。


気がつけばいつの間にか先の足音どころか這うような音もしないっ!

「(いったい、何が?どこへ・・。)」


ぴちゃっ!「うっ!」白さが目立つ肌もあらわな細い右肩に水滴が落ちた。反射的にぬぐおうとして、しずくの粘度の高さと生臭さに顔を背けて

しかめた。


「(はっ!)ビクウッ!」反射的に驚いて反対側の手でからだをささえていたゆび先で触れた小石を落とした。

カラッラッ サァーッ

砂の崩れ落ちた音さえ周囲に響いて自分の存在を叫んででもいるようだ。

汗が目にしみた。

「水てき、(これって、これって・・?)」

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アイキャッチ

   

陽光力 無敵ロボ サン・ダイ=オー

             第1話 迫りくる影

                                    

                       チャラララ~~ン

_____________________________________

と、恐るおそる上を向いて水滴の元を確認しようとした・・とたん。

びたっん!「(?!)」

ぴとっ!びちゃっ!ずるるっ!

「(ん・ん~!)」いきなり何か顔にのしかかって~!触覚以外が封じられた。

口から鼻から耳から暖かな泥水が入ってくるようだ。

血のようなエグ味のある濃厚な生臭いにおい。

引き剥がそうにもヌメヌメとしてまったく掴めない。


「ングウー!」

すでに声は出ずに息も苦しい、心臓の動機が激しくなる。

「コレ、ヤツダ・・ミンナヲ殺シタヤツ・・。」

表情のない黒灰色のすがたの大男?らしいモノがヒトを襲っているのを、逃げる途中でも何度も見かけた。

「殺サレル・・ノカナ・・ワタシモ・・死ヌノ・・モウ、息ガ・・・」

意識を手放そうとしたその時、急に下腹部にも違和感を覚え、「!?」

女の本能として反射的に当然かばおうとした。

「ヤダっ!入ってくる!」

ただ死ぬのではなく、化け物にオモチャにされ辱めを受ける!愛するヒトにも出逢えてないのに!

彼氏もいないのに今までひとりもいないのに!

「ただ、殺サレる為の人生なんて!!ぜーったいヤダっ!!」

怒りと行き場のない憤懣が意識を支え脳内を紅蓮に染める。

アドレナリンが身体を跳ねるようにメチャクチャに暴れさせる。

「逃げなきゃ!助けて!・・だれか!」

少しは怪物をてこずらせたが抵抗も長くは続かず気がつくと触手に抑え込まれて自分の身体が動きを止めている。喉の奥からはピタリと心臓の方を、下腹部には内臓から大動脈を一度に貫き通しすべてを吸い尽くそうとしているかのように圧迫される、どんどん強くなる。最後まで・・もう時間がない。


「ごめん!もう、だめみたい・・。」

脳裏に父母の笑う面影が浮かぶ、セナのホホを伝う涙が化け物に弄られるように吸われた刹那。

死を覚悟したと同時に・・。

いつもよく聞く近所の人懐っこい少年の元気な声が聞こえた・・ような気がした。

(姉ちゃんは死なせないっ!)

「まさか・・?」

ただの学生の彼がここに居る訳がない。

まして軍隊でも歯が立たない灰黒色のバケモノと戦えるはずなんて・・。



「ドムウッ」

衝撃が全身に伝わると唐突に相手の力が抜けた。触手を掴める様になると呼吸を酸素を求めて喉から異物を引っぱり出す。

「ズルズルズルッ」

「ウエーッゲフッゴホッ・・ハア!ハアッ!」胃や腸までも吐き戻しそうだ。

下腹部には性器に潜り込もうとしかけた触手もあり慎重に引き抜くと力の限り放り投げた。

急に恥ずかしさが湧き上がり、叫び声がルナ・ポートに轟く!

「このーあっちいけー!」はっと周りを見わたすと比較的近くにいた何人かと目が合った。!?暗かった筈なのにもう灯りがハッキリと点いている!!

・・男・男・女・子供・男・・・皆 じいっ とこっちを見ている。

ワタシを(ワタシのカオじゃないを!)・・・皆の視線に釣られてワタシも視線を下に落とす。・・と綺麗だったドレスの生地はズタズタに裂けて、胸は片はだけ薄桜色の頂きが見事に顔を出して喉からお腹にかけて唾液とゲ○まみれの状態。

とどめに大事な下半身は素っ裸で最後の下着は右足首にダケ、引っ掛かっている。

だれ、このメッチヤかわいそうな格好してる恥ずかしい女の娘。

この人・・ヒト・・・。

ハッ「こっちみるなーばかー!」言葉とは裏腹に声には生きている喜びと安堵がこもっていた。

ただ、自分の哀れななさけないほどの姿と頭部の核を撃ち抜かれて活動停止している得体の知れないゼリー人間か何かの(軍隊も敵わなかったバケモノの)死体?その奇妙なオブジェとの合作がみんなの注目の的だった。


宇宙の真理が1つ判った。

「ギャーッ!!」(ヒトって絶対恥で死ねるわ!)と頭では思いながら両手には手近な瓦礫を拾って握りしめて、男達の視線めがけて投げつけていた。(死ね!死ね!あんたらこそ死になさい!)


 

 ギイーーーーーーン!「サン・ビークル隊各自!撤収ですぞ!」とコマンダーの指令がコクピツト内に響く。

「軍部に捕まれば、ただではすみませんよ。きっと解剖されますぞ~!」

楽しそうに聞こえるのは気のせいか?

乗っているのは通常の軍用ビークルより明らかに超高出力、高能力のカスタマイズされた最新鋭ビークルだ。

「同じ人間だろー、しかも味方だぜ~!」

見事に主人公してる純?日本人、男子高校生のショータ。

彼のあやつるビークルは形状もかなり特殊な形状のAタイプ。

やや楕円形の中央フォルムの左右に張り出した長方形のエンジンブースという形、銀色に輝き目立ちまくっていた。


「わたくしはお二人とは少し事情がちがいますわ・・本当に解剖・実験されかねません。」

Bタイプはほぼ正立方体の高さだけが低い扁平タイプに前部とおぼしき一面にだけ蕾のような突起部分が見てとれ、カラーリングは真紅が主立っている。

と・・中は銀髪メッシュの謎めいた雰囲気を醸し出す美少女香魅羅カミラ


最後のCタイプは円筒形が2本ならんだ双胴タイプで丸太様のパーツを2本、並べてくっつけた短めの箸のようなフォルム。メインカラーは暗青灰とでもしようかメタリック系の入った暗い青みがかった灰色になる。

「あたいはショータみたいなイイ男ならなんでもいいぜ!ガハハッ」

とワイルドな黒の皮ツナギ着用、赤毛に近い金髪巨乳娘が豪快に笑いとばす。

先の香魅羅カミラがそこにすかさず突っ込む。

「ヘッタクソな求愛ですこと。ドジっ子エミリーちゃん!」

「あぁ、やんのかガリチビッ子!」とまだ上乳にあるジッパーをみぞおちまで引き下ろし、下品なトラックドライバーのようにハンドルに片足をかけて今にも飛び掛かりそうなポーズだ。

それを見てあわてて目を隠すをするショ-タ。

「それをするなら『腕まくり』で袖でしょ-が。なんで・・胸・・。」

その様子を見た香魅羅カミラとエミリーふたりしてにんまり笑い合う。

「(あなたの)「(あんたの)その顔が見たかっただけよっ!!」」

「くくくっ次代の頭領様がなんというお顔・・。」

「はははっスケベったらしいったら~もう!!」

カラクリの分かったショ-タ。

「ふたりとも~!!待て~!!」

前方の2機に向って加速するAタイプビークル。

「捕まえてごらんなさいな、頭領様。」

「ボス、追いついたら今晩一緒に寝てやるよ~っ!」

「この~!」

普通では有り得ない急制動に超加速、3機のカスタマイズ・ビークルは追跡不可能な技術力でルナ・ポート制宙権内を離脱、付近に潜ませてあったのか母船かビークル・キャリアらしきもののレーダーシャドウのみを残して消え去った。

そもそも、一般船であれ、軍用宇宙船舶であれ信じられないほどのスピードだった。


 その頃の火星「ニユーダイモス」哨戒基地指令部では、謎の襲撃者と謎の撃退者をそれぞれの関連する艦、ビークル・兵たちの目撃した特徴などから(もちろん民間の目撃者の印象も含めて考慮の上で)相互に敵対する危険集団①襲撃者を呼称「ヒカゲロイド」、不明集団②撃退者を呼称「サン・ビークル隊」(=非公式呼称)としたが、あまりにも短時間で決定・発表がなされたので、一部からは軍の秘密部隊だの政権延命のためのアトラクションだの実は5百年以上前からの光と闇の戦いだというオタク受けしそうな謎の噂話がネットに出たりしたが実際は世間の一般市民には不明のままだった。


____________________________________________________________________________

サンダイオー用語講座

・陽暦・・・西暦を2150年で終えた人類が、新しく作った暦

生活基地Living base宙市(Li-Vラィヴ)・・・宇宙、惑星上の人類居 

                          住都市群      

Hiハイ高速データ通信・・・軍用秘密高速圧縮データ通信

・筋肉ダルマ=火星「ニユーダイモス」哨戒基地第六代司令官のロナルド・リーガンのあだ名(主に同僚・部下からの影での呼び名)

・スキャンドローン・・・データ記録、中継・各種センサーによるスキャンを

            実行するAI搭載無人機          

・❨AI補助データ:捕捉81❩・・・人同士の通信で欠けている所をAIがデータ補助   

               をして通信に割り込ませるデータ

・ヒカゲロイド・・・問答無用で人類を襲い体液を吸収する敵対生命体?

・ヒトモドキ・・・ヒカゲロイドの陸戦形態、体液回収役

・コミュ・ツール・・・イヤホン型多目的通信ツール

・ノーブラ強要・・・23世紀社会においても完全にアウトなセクハラ案件

・軍コマンド・・・海兵隊の様な軍の白兵戦特化特殊部隊

・ゲ○まみれ状態・・・映像だと虹色で(もしくは透過光)処理されるエフェクト           

・カスタマイズ・ビークル・・・通常の軍用統一規格外の戦闘用万能機体



            以上 第1話 迫りくる牙 終

            次回 第2話 出撃!3ビークル

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