第7話 沙穂を守る為には

皆野は俺を助けると言う。

だけど.....俺はその全てを断ってしまった。

何故かと言われたら全ては.....俺の親の責任。


つまり俺の責任だから、だ。

俺の親が.....沙穂に迷惑を掛けたから今になっているのだから。

だから俺は.....俺だけで沙穂を守らないといけないと思う。

確かに皆野の助けは有難いが。

悩みの灰を被るのは俺だけで十分だと思う。


「.....」


「.....どうしたんですか?小五郎さん」


服を選んでいる沙穂を和かに見ながら.....考える。

そうしていると服を持ってから沙穂がやって来た。

俺を見ながら?を浮かべている。

そんな沙穂に少しだけ笑みを浮かべて手を振りながら答えた。


「.....いや.....大丈夫だ」


「.....でも.....小五郎さんの顔が.....何だか.....複雑そうな顔をしていますよ」


「.....俺はいつもこんな顔だよ。ハハハ。間抜け面っていうか」


沙穂が安心して今、この世界で生活していける様に俺は支えていこう。

思いながら.....居ると。

沙穂が俺をまだ覗き込んでいた。

驚愕に身を退く。

かなりビックリした。


「どうしたんだ.....!?」


「.....えっと。小五郎さん。.....もし.....何か悩みが有ってそれで抱えて.....それでアップアップになっているんだったら.....私に言って下さい。私は.....小五郎さんの事が心配です。良い人だとは思いますが私の為に身を削るのはおかしいです」


「.....大丈夫だって言ってんだろ。.....未成年が大人の心配すんじゃねーよ」


「.....ですが.....」


俺は顎に手を添える沙穂の額を優しく弾いた。

そして.....ゆっくり立ち上がる。

それから.....沙穂を見た。

沙穂は痛みに悶えながら涙目で俺を見てくる。

俺はそんな沙穂を見ながら.....胸に指を突き立てた。


「お前は俺の心配をしなくて良い。.....俺は大人なんだからな」


「.....!.....はい」


その笑顔を見ながら俺はもう一度、笑みを浮かべた。

これから先、どんな絶望が有ってもきっと乗り越えられるだろう。

思いながら.....俺は気付かれない様に意を決した。

それから.....沙穂の服を持つ。


「.....これ買う分か?」


「.....え?いや、こんなに沢山は買わないです。ただどれが良いかと.....」


「.....全部買うぞ」


「.....は?.....いや!?小五郎さん!」


良いから買うんだ。

と俺は持っている分を全部買った。

沙穂が気に入って持って来た物だったら何でも良いわけが無い。

俺はそのまま購入して。

そしてその金額は1万超えた。



「.....小五郎さんの馬鹿。何でこんなに買うんですか」


「.....機嫌直せよ。お前が気に入った物なんだろ」


「.....いや.....そうですけど.....」


「.....だったら良いじゃ無いか。沙穂」


すると俺の前の前に歩き出して。

そして振り返って俺を見た。

それから.....舌を出す。

だが直ぐに.....胸に服の買い物袋を押し当てて笑みを浮かべた。

少しだけ泣いている様に見える。


「.....こんなに優しくしてくれた.....人は久々です」


「.....俺は優しいんじゃ無いぞ。当たり前の事をしている」


「.....優しいです。それは.....誰よりも」


「.....」


俺はその姿を見ながら.....かつての自分を思い浮かべた。

この場所に来る前。

つまり、俺の親を捨てる前の話だ。

その少女は.....俺に同じ様な事を言ったのだ。

桜吹雪の中で、だ。


『小五郎くん。優しい』


「.....小五郎さん!?」


「.....!」


気が付けば。

何か.....涙が浮かんでいた。

俺は慌てて袖で拭く。

何だよこれ.....!?

すると沙穂がハンカチを持って来た。


「どうしたんですか!?小五郎さん!」


「.....す、すまん。昔の事を.....思い出した.....」


「.....え.....そうなんですか?」


「.....ああ。御免な。本当に大丈夫だ」


馬鹿野郎か俺は。

泣かないと決めたのに沙穂の前で泣くとか。

クソッタレだな.....。

そうしていると沙穂が俺の手を握った。


「.....?.....どうした。沙穂」


「.....小五郎さん。私.....やっぱり心配です」


「.....」


本当に心配です。

と.....顔を複雑にする、沙穂。

俺は.....その姿を見ながら.....溜息を吐く。

こんな情けない姿を見せたのだ。

じゃあもう仕方が無いだろう。


「.....沙穂。もし.....何か有ったら。俺に何か有ったら.....皆野。アイツの所に逃げてくれ。アイツなら絶対にお前を守ってくれる。そういう女だから」


「.....嫌です」


何を言っているですか?

小五郎さんが居なくなるとか.....言わないで下さい。

と沙穂は.....俺の手を握り締めた。

そして.....俺に微笑む。


「.....嫌な事が有ったら逃げる時は.....一緒です」


「.....沙穂.....」


「だって私が好きな人ですから」


「.....へ?」


いや、今何つった。

どさくさに紛れてとんでもない事を聞いた様な。

思いながら.....沙穂を驚愕の眼差しで見る。


沙穂は、あれ?、と数秒考えて。

ボッと真っ赤の真っ赤に赤面した。

そして慌てる。

トマトが完熟した様な赤さだ。


「わ、わ、私.....今なんて言いました!!!!?」


「.....聞かなかった事にする」


「もー!!!!!小五郎さん!!!!!私、何て言いました!!!!?」


俺は何も聞いて無いぞ、ハハハと苦笑しながら。

そんな感じでやり取りしながら。

俺達は我が家に帰って来た。

あのボロアパートに、だ。


「.....沙穂」


「.....何ですか」


「.....有難う」


「.....今言う事じゃ無いです。もう.....恥ずかしい」


真っ赤になったまま。

俺を見てくる沙穂。

その姿を見ながら俺は.....玄関のドアを開けた。


さて.....また午後が来る。

そして1日が終わってしまう。

早いもんだな1日ってのは、だ。


考えながら.....沙穂を見る。

服を先に部屋に置きながら、もう、と呟いている。

これから先、俺達はどうなっていくのだろう。

そう.....ふと思いながら.....部屋に入った。

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