虚空のビート

紅陽(くれは)

【1章】その男、天野と言い・・・

独白

「僕はただ、このことを伝えたいだけなんです。」


『それでも、世界は美しいもので溢れていると』


物思いに耽るとき、いつでもこの言葉を思い出す。


とても抽象的な綺麗事だ。


思考停止とさえ思う。


だけど、不思議だ。


何故、言葉一つでこんなにも気持ちが楽になるんだろう。


俺は今までずっと考えていたんだ。

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