6ー4
「高校生の前で事件の内容を言ってもいいのですか? いくら事件に関わった関係者でも?」
後輩である箕上刑事が綾と渉を見ながら話をした。そんな後輩の疑問に簾堂は『ああ、なるほど』と少し笑ってから疑問に答えた。
「大丈夫だ。この2人、綾ちゃんと渉君は高校生だが蓮と同じ探偵だ」
「えっ!」
「未熟者ですが今まで簡単な依頼をやらせていたので、経験は少しですが探偵の心へなどは分かっているので安心を」
「それにだ、話をしたと思うが高校生が自殺してしまった件」
「はい、覚えています」
「その自殺してしまった、青森雫さんの件を捜査しているのもこの2人だ」
「えっ! 2人で、ですか」
「はい。今回、亡くなった雫さんの自殺の原因は学校にあると2人は考え、私達もその答えに納得し2人に任せております。けど、今回は死人が出てしまったようですかが、2人は大丈夫です。いつも2人で乗り越えてきましたので」
「そ、そうですか……」
「信じられないと思うが本当の事さ」
箕上刑事は綾と渉を見ながら驚いていた。
「さて、話を戻そう」
「学校側の点検ミスだったな、秋於」
「そうだ」
「違うと思います」
「綾ちゃん?」
「どうしてだい、綾?」
綾は一度、渉を見て渉が頷くのを確認してから話始めた。
「昨日の夜の活動準備をしたのは、私と渉、そして部員の若菜です。私が和志先輩の落ちた付近を夜の活動の為に準備をやっていました。けど、フェンスの近くでやっている時には、ネジが取れそうなところも、取れたネジも落ちていなかったと思います」
「それに天文部が何回も屋上で活動しているのを学校側は知っているのに点検ミスはあり得ない」
「うーん、2人に言われると確かに」
「そうですね。よく見るとネジも少し
2人の的確な話で2人の刑事はよく写真などを見た。
「だとすると誰かが細工をし、はじめから和志という少年を狙っていたと考えてもいいな」
「狙っていたとはなんだ、秋於?」
簾堂刑事が一枚の紙をテーブルの上においた。それを手に取り、蓮は綾や渉にも聞こえるように声を出した。
「一人目の天罰。神はあなたを許さない」
「渉、これって!」
「あの時の!」
「2人とも、知っているのかい?」
「「はい」」
綾と渉は2人の刑事と父、蓮に昨日の夕方の事を話をした。
「簾堂さん。これはどこに入っていましたか?」
「制服のポケットに入っていたものだ」
「ポケットに?」
「じゃあ、和志先輩は制服のままで学校に来たのは」
「少しは気になって、考えてたあげくそのままで学校に来たということになりますね」
「制服に入っていたという事はその通りだろう」
さっきの綾と渉の説明で分かっている刑事と蓮が呟く。
「和志先輩、半分はイタズラと言って気にしていなかったように見えた、けど」
「俺と綾で気を付けた方がいいと一応、忠告したから、少しは気にしてくれたんだと俺は思う……」
「うん。私もそう思いたい……」
2人の父、蓮が刑事2人に質問をした。
「……それで指紋は?」
「はい。指紋は和志という少年と綾さんに渉君以外の指紋は出ませんでした」
「しかし、なぜ和志という少年を確実に殺せた? 刃物ならともかく、屋上でやるなんて失敗する可能性が高いと思うが。どう思う、蓮?」
「確かに。屋上を狙ったとなると簡単に突き落とすなら確実だが、みんながいる前で、突き落とすなら確実にばれる。けど、みんながいる前で成功しているとなると3人が準備を終わった後に誰かが
「そうだよなぁ。いったい誰がやった?」
「天文部の誰かになると思います」
「「「!」」」
綾は落ち着いた声で答えた。
「綾、それって」
「渉も分かったでしょう」
「あぁ」
渉も綾と同じ考えにたどり着いたのか綾を見た。綾が静かに語り始める。
「今回のターゲットが和志先輩だったら、刃物なんて使わないで必ず成功する」
「それは?」
簾堂刑事が綾と答えが分かっている渉にも聞いてきた。
2人は互いに交換しながら話を始める。
「天文部だったら全員が知っている先輩のたち位置です」
「立ち位置?」
「はい。部の全員は必ず和志先輩の行動を知っています」
「昨日、俺と綾は始めて先輩の行動を見たけど、部員である人達はいつもの事だと言っていた」
「立ち位置……そして行動。まさか!」
「はい。先輩は誰より早く屋上へ行き、蛍光テープを目印にランプに明かりをつけ、アズサ先輩とふざけながら真っ先に今回、事件になったフェンスへ向かいました。あそこが和志先輩のお気に入りの場所だと知っているものだったら、誰でも簡単に仕掛けることはできると思います」
「そうか。天文部の生徒なら誰でもできるトリックというわけか!」
「「はい」」
さらに綾はテーブルに置かれている手紙を見ながら話始めた。
「和志先輩のもとに予告みたいな手紙が来ていても私と渉は、先輩から聞かせてもらいました。私と渉は、気を付けた方がいいと言っておきましたが先輩はイタズラだとあまり深く考えなかった」
「結果的に俺と綾の声が届いたかは分からなかった。それでこんな形で亡くなってしまった」
「だとしてもなぜ、彼なのでしょう?」
箕上の言葉にその場にいた全員がしばらく考えた。
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