ぼっちな俺とメンヘラ彼女の紗央莉さん
AMポカリ
第1話プロローグ 突然
突然という言葉は物事が不意に起こるさま。だしぬけ。などを意味するものだが、まさしく今、突然後ろから「ねぇ?付き合ってる人とかいますか?」などと突拍子のないセリフが飛んできた。
いや、まさかスクールカースト下位に位置するこの俺に向けてのものではないだろうと振り返る事もせずにスルーさせてもらうことにした。だってそうだろ。俺は親しい友人は数少ないし、クラスの女子はおろか、女子のLINEを家族以外持っていないぼっちオブぼっちこと、今宮和雄に向けて言うはずなどあり得ないのだから。(この通り自己紹介も兼ねているが改めて考えると悲しいね)きっと近くにいるリア充イケメン男子に言ったのだろう。
すると、
「ねぇ、あなたに言ってるのよ!あなたに!」
と再び、今度はさっきよりも大きな声で呼ばれた。ん?俺?いや俺はーー
次の途端、彼女が俺の前に立ち塞がり腰に手を当てて片方の手で指してくる。フワッと良い香りが鼻孔をくすぐった。
「何度言えば分かるの?ずーっと何度も何度も何度も言ってるじゃない!」
いや、そんなに何度も何度も声をかけられたわけではないけどな。2回しかかけてこなかっただろ。
「あー悪い、何の話だっけ?」
「そ、それは…その…付き合ってる人がいるのか聞いただけ」
うわーこの人、初対面の俺(ぼっちで有名)にしかもこんなこと聞いてくるなんて頭がおかしいか、何かやばいものでも食べたのだろうか。そもそも俺はこの女の事は何一つ知らない。クラスも確か同じになった事がないと思う。あまり興味が無いからな、クラスの女子とか。でもよく見ると黒髪ロングで肌艶も目鼻立ちも整ってて美人だ。いるんだなうちの高校にもこんなに可愛い子が。俺がじーっと見つめていると
「なに?私の顔になんか付いてる?」
と無表情で言った。さっき質問してきた時の表情とは打って変わって冷酷だった。あれ?そこは照れるところでしょ?アニメやラノベのヒロインだったら照れてるところでしょそこは!
「いや、別になんも付いてねーよ、お前の質問だけど答えはノーよりのノーだ!(ドヤ)」
「俺を知っててそんな質問してくるからアレだろ?何かの罰ゲーム的な何かだろ?」
「ねぇ?私の質問ちゃんと聞いてた?好きな人がいるか聞いただけでアンタが想像してる罰ゲームは告白する的なやつでしょ?」
あぁ、たしかに落ち着いて考えてみたらそうだよな、いきなりの展開にちょっとばかりテンパってた。
「仕方ないだろ。俺はろくに異性はおろか、同性からも話しかけられない存在なんだから!てっきり告白かと…」
「ッやっぱりアンタは他の異性に話しかけられた事なかったんだー笑笑」
あれ?急に明るくなったぞ。
「悲しい奴だと思って馬鹿にしても別に良いけど無駄だぞ?だって本当の事なんだから!」
ドヤ顔本日2回目かましたった。
「ふふ、面白いんだねアンタ。私と付き合って下さい」
言い終わった後にキーンコーンカーンコーンと授業が始まる5分前になる予鈴がなった。
いや、そこは告白のセリフとかぶせるところだろチャイムさん!
えっ…「突然すぎて反応に困るけど答えはノーだ」
伝え終えると彼女は
「あっそ、まぁ、後々付き合うことになるから。好きって言ってもらうから今はいいや」
などとショックで頭が混乱してるのだろうか意味不明な事を言った。
「あとこれ」
そうして差し出してきたのはスマホだったそこにはQRコードが表示されている。「これってLINEのQR?」と聞くと、
「当たり前でしょ?あぁ、ぼっちの今宮君には初めてだったかな?これをこうかざしてー」
「あーわかるわかるわかります。いくらぼっちだからってこれは分かります!」と知ったかぶってそれを読み取った。追加されたことをお互い確認してから互いのクラスに戻ろうとした時、その女の子は
「絶対に惚れされてあげる」
と無表情で言い放ち、すれ違って彼女は去って行った。はぁーこんなに濃厚で異質な休み時間は初めてだった。だからだろうか、時間が短く感じた。決して楽しかったやりとりではなかったのだが…不思議だ。彼女も。
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