死に際

暖かい温もりに充てられて眠る少年少女。

濡れたガラスと血の跡が彼らの生きた証でもあった。

キラキラと反射する飛散したガラスの破片が彼らを虹色に照らす。

輝く涙が奇麗に映しだすその光景は残酷なものだった。

生き辛いこの世に幸せの一欠片を握りしめて、お互いが愛おしそうに抱き合う。


「幸せだったね。」


そう呟き苦し紛れに笑う彼女は、胸に咲いた新傷が痛むようだった。


「俺も君といれて幸せだった。」


苦痛に耐えきれず泣きだす彼は、外傷はないものの衝撃で内臓を壊してしまっていた。

血液が絶え間なく広がるその瞬間だけは、二人だけの世界でいたかった。

そうお互いが願っている。

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