生きてみたかったのです。

月がきれいな夜でした。

とある舞踏会に出席することとなっていました。

しかしその舞踏会には口頭約束はあったものの、招待状が来ませんでした。


なぜでしょう。

単純に忘れているだけなのでしょうか。

私は不思議に思いました。

その日、主催者に連絡をしてみましたが、返信はなくそのまま音信不通に。


お屋敷にも向かいましたが、追い返されてしまいました。




理由はわかっているんです。




私は主催者の妻でした。

口頭での約束のあと、私たちは離婚をしてしまっているのですから、来なくてもおかしくはありません。

しかし彼は、あの時必ずと口にしました。

この世界での約束というのは、当たり前に遂行されなければなりません。


なので、悪意なのかどうか確かめようとしました。

これでは悪意としかとらえようがありませんでした。

私は彼に絶望しました。

彼はもう、そういう人なんだと、もうどうしようもないのだと。


私だけが彼のことをまだ愛していて、彼はあの女性の方に恋をしているのだと。

何が不満だったのでしょう。

私の何がいけませんこと?お見せしませんよう努力いたしますのに。


...その時、親友が言いました。


「私の招待状で向かいなさい。そこで、その事実をお伝えなすって。」

「私は名前で通ります。」


私に1%の毒塩と99%の最後に贈るドレス。

生きてみたら変わるかもと希望をくれた親友へ、私は1%の希望をもって彼に伝えに行きます。

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