【番外編】にゃんにゃん☆メモリアル【短編集】
ピギョの人
2019ハロウィン
吸血鬼パロ
深い深い森の奥。宵闇の中、月明かりに照らされて浮かぶ古城が一つ。
その一室で、黒いフードを目深に被った男──アールが、安楽椅子に座って窓から外を眺めていた。
「おかえりなさい。レイ」
「あれ、バレちゃった?」
コツリ、と音を立ててレイと呼ばれた人物が姿を現す。
それは、はねた黒髪を高い位置で一つに結び、耳や指にはキラリと光るシルバーのアクセサリー。全身に浴びた返り血はそのままに、人懐っこく笑う男──ガルレイドだ。
「それだけ血の匂いを漂わせていれば気づきますよ。いらっしゃい、拭いて差し上げます」
「うん」
苦笑するアールに手招かれ、ガルレイドは素直に安楽椅子の側で屈み込んだ。
顎を椅子の手すりに乗せ、アールのされるがままにする。
「また派手にやりましたね」
「んっ……ゴメン」
ハンカチで顔を拭われたガルレイドが、くすぐったそうに金の瞳を細めた。
「良いのです。貴方が無事に戻ってくれるなら、それだけで」
「うん。勿論だよ、兄さん」
「まったく……返事だけは良いのですから」
兄さんと呼ばれたアールが困ったように笑うと、首の横で緩く結んだ黒髪がふぁさりと揺れた。
「はい、これで顔は綺麗になりましたよ」
「ありがとう」
「あとはその血でドロドロの服を着替えましょう」
「うん。でもその前に」
「お腹が空いたのでしょう?」
「うん。ちょうだい」
「ええ、もちろん」
流れるような掛け合い、いつも通りの会話。
「ご苦労様です。レイ」
働いてくれたガルレイドに報酬を渡すため、アールは袖をまくり上げ、腕を出した。痛々しい火傷の痕が紋様のように巻きつく腕だった。
そんな腕に、アールはもう片方の手の爪で傷をつける。
ドロリとした血が流れた。
「ありがとう、兄さん」
いただきます、と軽く手を合わせたガルレイドがアールの血に舌を這わせる。チロチロと赤い舌が覗くその口内に、鋭く尖った一対の牙が見えた。
「……レイ」
ふと、何かに気づいたアールがガルレイドの名を呼んだ。
「貴方、またシルバーを身につけて……お耳が赤くなっていますよ」
彼の耳にかかった黒髪を払いのけ、アールは顔をしかめる。幾つものシルバーのピアスをつけたその耳は、かぶれてしまっていた。
「……んっ、洗礼を受けてない銀は……はむ、そんな効かないから……大丈夫」
兄の叱責を受けたにもかかわらずたいして反省を示さないガルレイドは、ただ夢中になって血を舐めている。
生き血を啜り、銀を弱点とする彼ら兄弟は吸血鬼だ。
しかもただの吸血鬼ではない。
二人揃って『始祖』と呼ばれる始まりの吸血鬼の一柱である。
「それでも触れれば痛いですし、赤くもなります」
「はむ……痛くないから……ん、平気」
あまり聞く耳を持たない弟は、どうやら自分の体より食事の方が大事らしい。
「はぁ……貴方という子は」
「ご馳走さま」
ようやく満足したのか、ガルレイドがペロリと唇を舐めて立ち上がった。
それから、「そんなに赤くなってるかな?」なんて言いながら、自分では見えない耳の代わりにシルバーのリングをつけた指を月明かりに照らしている。
「お粗末さまです。同族の血は不味いでしょう? すみません、レイ。付き合わせてしまって」
「良いよ別に。だって兄さんは人間の血を食べたくないんでしょ? なら俺も合わせるよ。血の味にこだわりとかないしね」
「貴方はもっと気にした方が良いと思いますよ……色々と」
「でも兄さんの血は魔力が沢山含まれているから、効率が良いんだ」
えへへ、と笑うガルレイドは表情から本当に味を気にしていない事が伺えた。
だけどそれはそれで心配になってしまうのが兄というもの。何せ、アールの血は口の中が痺れるほど苦いのだから。
「貴方でなければ、この血は毒にしかなりませんよ」
あまり知られている事ではないが、吸血鬼が血を吸うのは、血液の摂取を通じて活動に必要な魔力を得ているためだ。人間でいうところのカロリーに近いらしい。
通常の生物はそもそも活動に魔力を必要としなかったり、自らの体内で魔力を生成する事ができる。
しかし吸血鬼という種族は強大な力を持った代わりに、生きるために必要な魔力を生成できず、他の生物の血を通じてしか補うことができなかった。
そして血に含まれる魔力量は生物によって異なり、高度な種族ほど含有率が高いわけである。
「レイも分かっているでしょう?」
「うん。魔力を含んだ血はまるでチョコレートみたいに」
「濃度が高ければ高い程、苦く」
「そして毒になる。でしょ?」
今でもガルレイドは思い出せる。
遥か昔、無謀にもアールの血を舐めた吸血鬼が、魔力中毒に陥って息絶えた姿を。
だから──
「兄さんの血は、俺専用だね」
「はあ……お腹下しても知りませんよ」
△▼△
夜霧が覆う田舎の寒村。その教会に、黒のフードを目深に被った男が一人訪れていた。
「こんばんは。見かけない顔ですけど、旅人さんでしょうか? 今夜の宿はお決まりですか?」
修道着を身につけたシスターが男にたずねた。
「いいえ。決まっていませんよ」
「まあ、大変! でしたら今夜は当教会にお泊まりください。こんな時間では、宿を探すのも困難でしょう」
「ええ、そのつもりです。ですが……」
男はつかつかと教会に飾られた十字架の前まで歩いて行き、「一つ、懺悔を聞いてくださいませんか?」とシスターを見た。
「それでしたら懺悔室へ──」
と言いかけたその時、霧の切れ間から挿した月光により、男の顔がシスターに見えた。
それは、顔の半分を炎に焼かれた痕に覆われた痛ましい姿。
「お目汚し失礼しました」
顔を晒した事を恥じ入るように、男がフードを下げながら背を向ける。
「そんな、失礼だなんてとんでもない」
その後ろで、シスターはひっそりと笑みを深めていた。
「それで懺悔の内容はなんでしょう?」
カツリ。一歩、男に近づく。
「実はワタシが治めている領地がありまして」
「まあ、旅人さんだなんてこちらこそ失礼しました。まさか貴族様だったなんて」
「いえ、良いのです。大したことはありませんので」
「許してくださるのですね……なんて、お優しい……」
シスターに背を向けたまま教会の十字架を見上げた男に、今度は音を立てずに一歩近づく。
「ワタシの領内はここ数年戦もなく、ずっと平和を維持していたのです」
「それはとても良いことですね」
「ええ。おかげさまで民草は安心して農業に励み、豊作が続いておりました」
どこかしみじみとした様子で男は語った。彼は本当に自身の領地を愛しているのだろう。
「素敵な場所です」と、シスターも同意を示しながらまた一歩、男に近づいた。
「ですから、ワタシは懺悔をしなくてはならないのです」
「そうなのですか?」
「ええ、だってこの平和にあぐらをかいてしまったために、害虫に村を一つ荒らされてしまったのですから。そうでしょう?」
──偽物のシスターさん。
「っ!!」
ゾッとするほど冷たい声に、シスターが慌てて飛び退いた。
一瞬。
本当に一瞬だが、まるで心臓を鷲掴みにされたような感覚を覚え、冷や汗が流れる。
「お前、人間じゃないな!?」
「同じ吸血鬼ですよ。分かりませんか?」
そう言われ、改めて男を観察した。
一見すればただの人間だ。吸血鬼などが纏う魔力の気配すら、彼から感じとることができない。
しかもローブで隠しきれないほど広範囲に、酷い火傷が見て取れる。
「にゃはっ! 気配が弱すぎて気付かなかったよ。そんな体でおいらと戦うのかい?」
あと一歩で自慢の爪が男に届くのにと、シスターは下がったことを後悔した。
こんな弱そうな奴なんか、さっさと切り裂いて仕舞えば良かった。
「未だに火傷が治らないなんて魔力が足りていないんだ? さては、人間に情が移って血が吸えなくなっちゃったのかにゃー?」
完全に見下したような物言いで、シスターは真紅の瞳を細めて笑う。
「たまにいるんだよねぇ。そういう情け無い吸血鬼がさ」
「これが貴方の本性ですか……」
「お前よりずっと吸血鬼らしいだろう?」
にゃはははは! という特徴的な笑い声が教会に響く。
清楚で可憐なシスターとは不釣り合いなその姿に、男はため息をついた。
「どうやら話し合いはできないようですね」
「当然だとも。弱そうなお前をブチ殺して、これからも自由にさせていただくさ!」
両手の爪を伸ばし、シスターが男に飛びかかる。
「ワタシが弱そう? ふふ、それはどうでしょうね」
男は眼前に迫る凶爪を、ただ呑気に眺めていた。
逃げるでもなく、受け止めるでもない。
それはまるで、初めから当たらないと知っているかのようで──
「ねえ、汚い手で兄さんに触れないでくれる?」
突如、男の影から現れたもう一人の男がシスターの手を掴んだ。と同時に、ジュッと肉を焼いたような匂いが立ち込める。
「に"ゃぁ"あ"ぁああ"ぁあああっ!!」
「ほら見て兄さん。シルバーのリングはこういう使い道もあるんだよ」
シスターの断末魔が響く中、後から現れた方の男が嬉しそうに言った。
見れば、銀の指輪をはめた手で掴まれたせいで、シスターの腕が触れられたところから爛れ始めてしまっている。
「離せっ! 離せよっ!!」
全力で拘束を振り解いたシスターは、慌てて二人から距離を取った。
「クソっ、シルバーリングとか正気じゃない!」
半分以上損壊した腕をかかえ、力の限り叫ぶ。
「みんなぁ!! 助けてっ! コイツらを殺してぇっ!!」
「増援? 近くにそんな気配は……」
と男が言いかけた時だった。
ヴァァ……
ゔあぁあ……
ヴァァ……
低い呻き声が幾つも、幾つも、教会を取り囲むように出現した。
二人が不気味な声に気を取られた隙に、シスターは教会の外へと飛び出す。
「追いかけますよ、レイ」
「うん」
このままシスターを逃がすつもりがない二人も、後を追って教会から飛び出した。
そこで目にしたのは──
「……人間?」
格好からして村人だろうか。数十にものぼる人間たちが、ぞろぞろと二人を取り囲むように集まっていた。
「よく見なさい、レイ。彼らは半死人、あのシスターによって思考を奪われた人間の成れの果てですよ」
その言葉を聞いて、レイと呼ばれたほうの男が改めて村人たちを観察した。
子どもから老人まで。集まってきた彼らは誰しもがふらふらと足元がおぼつかなく、目は虚ろ。半開きになった口からは唾液と意味を成さない呻き声がもれていた。
「体は生きているように見えますが、脳が既に死んでいます。今はもうあのシスターの命令通りにしか動けないくぐつでしょう」
「にゃはははは! いつでも新鮮な血が吸える上に逃げられる心配もない。家畜の管理としては正解だろう?」
「否定はしません。ですが、貴方はやりすぎなんです……」
こうして会話をしている間にも、半死人となった村人たちが続々とやってきた。
軽く数えただけでも五十人は超えそうだ。
この村にもといた住人だけでなく、他の場所から連れてきた者がいるのかもしれない。
人間と違って一日三食食べる必要なんてないのだから、この数はどう見ても多すぎる。
「さあお前たち! そこの二人をやっちゃって!」
シスターの掛け声と同時に、半死人たちが掴みかかってきた。
「レイ、頼めますか」
群がる半死人を躱しながら、フードの男がたずねる。
「この人たちは殺っちゃてもいいの?」
「ええ、この状態からの回復は不可能です」
その答えを聞いて、『レイは』無邪気に、そして好戦的に笑みを深めた。
「それは良かった。俺って手加減苦手だからさ!」
周りを巻き込むような形で手近な半死人を投げ飛ばし、唱える。
「影よりのものよ……」
ワントーン低い声で紡がれた言葉に合わせ、彼の影がその身体を包み込むように伸び上がった。
「この身に纏いて刃と為せ。此れなるは地獄の猟犬、餓狼の
そして現れたのは、ゆらりと揺れる影のような物質で構成された耳を、尾を、爪をまとった、さながら人狼のような吸血鬼──
「その姿は、まさか……」
半死人の軍団を壁に、高みの見物を決め込んでいたシスターが震える声で呟いた。
「黒の始祖が一柱、狂犬のガルレイド……てことは!」
何かに気づいたシスターは、逃げをうとうと走り出す。そのすぐ後を、ローブの男がすかさず追いかけた。
「何故逃げるのですか? 戦うのでしょうワタシたちと」
「黒の始祖だなんて聞いてない! 弱そうな振りしやがって!」
「呆れました……誰の領域に足を踏み入れたかも知らなかったのですか」
背後から迫りくる怒りの気配から逃れるために、シスターは飛び立とうと足に力を入れる。が──
「ぎゃっ!!」
目に見えない何かに衝突し、無様に地を転がった。
何が起きたのか理解できなかったシスターが、鼻頭を抑えながら目の前の空間に手を伸ばす。
「な、に……壁?」
「結界ですよ。この騒ぎを外に漏らさないため、そして害虫を逃さないためのね」
絶対零度の声。
恐る恐る振り向くと、そこには黒の始祖がもう一柱。かつて聖火に焼かれたと言われている吸血鬼──アールが、真顔で立っていた。
「ま、待つにゃ! もうやらない、この場所からも出て行くから!」
「遺言はそれだけですか?」
命乞いは聞き入れてもらえそうにないようだ。
それなら、とシスターは攻め口を変えた。昔風の噂で聞いたことがある。アールの身に刻まれた醜い傷痕は──
「何故人間を守ろうとするんだ! 知っているんだぞ、その火傷は人間に燃やされたからだろう!?」
「ええ、
だがその問いは地雷だったようだ。
「ワタシは人間たちと和解するために、自らこの聖火を受け入れたのです。敵意がないことを示すためにね」
ボッ、と音を立ててアールの火傷から炎が上がった。
ただの炎ではない。白く輝く、神の炎だ。
全身をその白き炎に包まれながらも、アールは平然とシスターに語り続ける。
「ワタシがここまでして維持している平和ですよ? それを壊す輩を、見逃すとでも思いますか」
「な、にそれ……っ!」
息が、苦しくなった。
自分が燃えているわけでもないのに、熱かった。息さえできないほどに苦しかった。
神聖な物は、そこにあるだけで魔のものにとっては驚異だった。神の宿らない教会に入るのとは訳が違う。
「さて、お祈りは済ませましたか? シスターさん」
祈る神なんていないのに。
偽りのシスターに向けて、アールはどこまでも優しく問いかけた。
「貴方には、地獄で反省していただきます」
「や、やだ……ごめんなさい、だから……!」
『夜が来て、太陽が沈む時』
今更制止の声など届かない。
歌うようにアールが詠唱を開始した。
その背後では、狼の遠吠えと共に天高く舞い上がる半死人たちの影。
「にゃ、はは、ははははは!」
白く燃え上がる炎が、アールの手に集結されていく。
それはどこまでも幻想的で、美しい光景だったがシスターにとっては死の象徴だ。
乾いた笑いが溢れ、両手で顔を覆った。
「くそ、くそくそくそ、くそっ!!」
死にたくない死にたくない死にたくない。
後悔の念で胸をいっぱいにしたところで、アールの奏でる滅びの歌は止まらない。
『まるで憂鬱がワタシにやってくるようだ』
「に"ゃっぁ"あぁああ"ぁあああっ!!!」
ここで果てるのならせめてと思い、シスターは力を爪に込めて斬りかかる。
この爪がアールに届くなんてもちろん思っていない。
『嗚呼、ワタシの太陽よ』
そして、実際に届くこともなかった。
『貴女は誰よりも美しい』
詠唱の終了と共に放たれた炎がシスターの視界を焼き尽くす。そして後には灰すら残ることはなかった。
「レイ、ハウスですよ。終わらせてください」
白い炎を体に収めたアールが言う。
「うん、分かった」
ガルレイドは兄の指示に頷くと、狼の武装を解いた。
そして、一箇所に集めるように倒した半死人たちの死体を見やると、
「おいで、ヘルハウンド」
その一言で、影から巨大な狼の顎が飛び出し、五十近くある死体の山を丸呑みにする。
「ご馳走さま」
これでこの村には、本当に何もなくってしまった。
………………
…………
……
「と、言う夢を見たんだにゃ」
ある日の昼休み、お弁当をつつきにゃがらニャアは昨晩見た夢をエルラルに話していた。
壮大にゃ夢だった。
にゃんかもう、この夢だけで物語が一つ書けそうにゃくらい良い夢だった。
でも所詮は夢だから、設定とかいろいろおかしいところはあるかもしれにゃい。だって夢だから!
「良いわね、ド派手で楽しそう! わたしもファンタジーな冒険とかしてみたいわね」
「良いだろ、良いだろ〜本当はもっとダークで耽美にゃ感じにゃんだけど、ちょっと語彙力足りにゃいから許してにゃ!」
「別に良いんじゃない? だいたい語彙力たっぷりに語られても頭に入らないわよ」
にゃんてエルラルは言ってくれたけど、やっぱり頭の中の世界を上手く表現できにゃいのは悔しいものだ。
「はぁ〜語彙力欲しっ」
ニャアは独り言ちつつ、お茶を飲む。
その向かいでエルラルが、「それにしても」とニャアの夢について思ったことを呟いた。
「かぶれるのにシルバーをつけるガルレイド先輩と、自分から焼かれるアール先輩ってドMよね」
「ぶふぉおおおおっ!!!」
綺麗な噴水が宙を舞った。
「ちょっと何すんのよ! 汚いわね」
「いや、エルラルが悪いんだに!? どうしてくれるにゃ! 次に二人に会ったら笑わにゃいでいられる自信がにゃいにゃ!」
「そんなの知ったことじゃないわよ」
「いやいや、責任を取って欲しいにゃ!?」
ニャアの責めるようにゃ声を聞いても、エルラルはどこ吹く風。さらには「もう一つ言いたい事があるんだけど」なんて、言い出した!
「派手に燃えたシスター的な吸血鬼って、マオよね?」
「えっ、そうにゃの?」
「だって口調は違ってたけど、隠しきれない猫感あったし」
言われて考えてみたら、確かに悲鳴とかそうだったかもしれにゃい。あと、最後の方はニャアの視点だったようにゃ……?
「大好きなアール先輩にやられた気分はどう?」
「ふっ、三下感丸出しで最高のやられ役を務めることができたから最高にゃ!!!」
あの時のアール先輩は、とっても怖いけど、最高に綺麗でカッコ良かった。
引き立て役ににゃれるにゃら、悪役だって悪くにゃいね!
「あっそ、つまんない返事ね」
「にゃにゃ!? エルラルはどんな答えを期待してたんだに!」
「さーて、なんだろうね? とりあえず、さっさと片付けて行きましょう? 次は体育なのよ」
急に興味を無くしたように、エルラルはテキパキと片付けを始めてしまった。お弁当をしまい、机を元の位置に戻している。
まだ夢の世界に浸かっていたいのに……そうおもいながらも、チラリと見た時計にニャアは現実へと引き戻される。
「五分前だにゃ!?!?」
「あんたの話が長いせいよっ!」
バタバタと二人で、体育の場所へと向かう。
夢の世界は素敵で楽しかったけど、こんにゃ騒がしい日常が今のニャアが愛すべき時間にゃのだ。
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