第5話 気紛れ神様
『ごめん、フラウ。お前も忙しいのに……。』
「いえいえ、お嬢様の為です!さ、中でティア様がお待ちですよ?」
あいつ、さては待ち構えてるな?
『じゃあ昼食、楽しみにしておくよ。』
「お休みなさいませ、お嬢様。」
正面の玄関の大扉。いつも通り扉を開けてガチャリと扉を閉め―――
「お帰り、愛し子。」
「や……っぱ、り……。」
「今回は長かったから心配で……。ほら、後は委ねて。今回はどれくらいここに?」
「……しば……ら、く。」
「そう。じゃあ昼食までお休みかな。お風呂、入りたい?」
そう、かなり前からこの屋敷に住み付く狐と白蛇の神、ティア。本人曰く、身長が2mと25cmもあるらしい。屋敷に帰ると必ず捕まり、私の疲れを引き摺り出して食事かお手洗いの時以外は私の意識を奪ったまま済ませてしまう。
今もこいつに触れられている所為で眠くて仕方ない。折角魔法で隠していた狐のような両手や耳、尾が出てしまっている。いつの間にかフードも外されている。
「ん~……今日は人間の手にしておこっかな♪それで、答えは?」
「今……は、良……い……。」
「じゃあベッドに直行~♪」
優しく、かつ背に触れないよう気を配った抱え上げ方をされ、足軽に階段を上がっていくが此方はその度に眠くなる。どうにか抵抗するもポスッと言う音と共にベッドに降ろされてグラリと視界が揺らぎ、目を閉じた。
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