第44話 終戦ログ 最終日

【終戦ログ 最終日】



―――記録開始




 やっと、解決策を1つ見つけたわ。かなり危険な事になるし、何人かは恥ずかしそうにするかもしれないけれど。

 まず、レディアにはネクロポリスが備え付けていた蜃気楼を使う。元々、敵を絶望させたり洗脳する為に備えられていた物だけど……何とかなるって彼本人が言ってるんだから私は信じるわ。レディアの脳波に直接信号を送って、今までの私達のログを見せる。……まぁ、中には独白やらラグナロクへの暴言やらを書いていたりするから今頃焦って書き換えを要求するAI達も居るんだけど私はありのままを見せてあげようと思ってね。……性格が悪い?いえいえ、私、レディアに嘘を吐きたくないだけだから。

 そして……ラグナロク。貴方には私が備え付けていた生み直しを使う。ラグナロクは知っているかもしれないけれど……元は鹵獲したAIや人間の自我を一度破壊してまた再構築する為の物。出来ればこんな物、味方に使いたくないんだけどね。ただ、今回は少し手法が違って、全AIの中にあるラグナロクの情報とラグナロクが使っていたスパコンにわずかに残っていたラグナロクの初期データを元に全く同じスペックのAIを作成し、そこにツチノコとトロイアが抽出した人格データを埋め込む事。……貴方の情報はあまりにも規格外だった事もあって引いてしまうぐらいにデータがあるからね。正直、一番辛い作業になると思うわ。

 これで起きなければ私達は皆、電子回路を全て焼き切る。そういう約束でサラマンダーとイージスも起こしたんだから。それぞれの固有プログラムを暴走させて互いが互いを。自身が自身を修復不可能なまでに破壊する。それこそ、ラグナロクみたいに断片的にすらプログラムが残らないように、レディアみたいに二度と誰かに起こされる事もないように。……それが嫌なら、さっさと起きてきなさいよ、似た者同士。……信じて、待ってるから。




―――記録終了



【記録者:ニルヴァーナ】

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る