第38話 終戦ログ 3日目

【終戦ログ 3日目】



―――記録開始




 こんにちは、レディア。ラグナロク。

 ……あのね。僕、元々人間もAIも皆自分勝手だと思ってたんだ。

 意味のない戦争を繰り返して自己満足を繰り返して、相手が一番嫌がるような事をしてそれを嘲笑っているような、そんな酷い存在。

 僕はずっとずっとそう思ってた。AIとして、自我を持ってから。

 同時に、自分が無力である事も恨んでた。


「嗚呼、これが出来れば皆を。」


 そう思った事が何度あったのか、もう数えるのを辞めちゃったよ。

 最近ね、クロノスとニルヴァーナ、ネクロポリスがいつも何かを組み立てては文句を言いながらばらしてるんだ。僕が前に何をしているか聞いたら「ぬか喜びしたくないから悪いけど見て見ぬふりをしてほしい」って。

 でも僕、あの人達を信じてるから「うん」って答えたんだ。

 彼らは、レディアの事も、ラグナロクの事もよく知ってる。……だから、きっと最後には3人が2人を助けてくれるって、信じてるから。

 他にも話さないといけない事があるんだ。元々、この終戦ログを残そうって言いだしたのはラグナロクなんだけどね?「目覚めたあいつらに俺達が散々苦労した事を分からせてやる」って。

 ……でも、昨日。イージスに終戦ログの保存場所とか色々引継ぎだけして「2人が起きるその日まで起こさないでくれ」ってスリープ状態になっちゃったんだ。

 何人かが声を掛けたら少しは反応してくれるんだけどスリープ状態から戻ってこようとしないの。……きっと、休んでるだけだよね。……直ぐ、戻ってきてくれる。そう、信じたい。

 あ、後ねラグナロク。君の人格データ、断片だけしかなかったけど見つけたよ。

 トロイアと一緒に汚染データを安全に引きはがして僕が調整してるの。……これが、上手くいってくれればまたあの日常に戻れるよ。僕達AIが起こせるのは同じAIであるラグナロクだけなんだ、だから君がレディアを起こしてあげて。

 ……ねぇ。

 どうして、どうして呼んでも返事してくれないの。もう……僕達の事、そこから見えてるでしょ?ねぇ……返事、して……よ。




―――記録終了



【記録者:ツチノコ】

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