第12話 2倍の胃
『奏ー!』
集中してデータを読んでいた所為で酷く驚き、ついノートパソコンの蓋を閉めて扉を見るが呼び掛けるだけで部屋には入っておらず、ほっと息を零す。
『飯、出来たぞー!』
「今行く。」
データ、読むのはあいつが寝てからの方が良いな。
電源プラグが繋がっているのを確認してからレイと共に部屋を出る。リビングでは蓮燔が鼻歌混じりに料理をテーブルに並べていて、その料理も量がかなり多い上に豪華に見える。
「好きなだけ食えよ♪」
「な、何だこれ。量、多くないか?」
「あ、そうか。説明……うん、してないな。使い魔は基本的に俺達人間みたいに飲み食いしないんだ。その分、契約者が使い魔の分も食べないといけないんだ。」
「……何故?」
「使い魔と契約者は全てをリンクさせる。感情も、力も、思考でさえ。だからお前が今、痛くないのはその使い魔の健康状態をリンクさせて、代わりに使い魔がお前の痛みを背負ってるんだ。」
チラリとレイに目をやれば自慢した気にフンッと鼻を鳴らして胸を張っている。
「まぁ、使い魔は元が人間より強いから大して痛くないかもしれないけどな。食べ始めたら分かるって。」
席に座り、元気な蓮燔と共に「頂きます」と言葉を零してから食事を昼間のように食べていれば蓮燔の言う通り、食べてるのにどんどん食欲が湧いてくる。
あぁ……成程。そういう事か、面白いな。
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