第10話 新たな手掛かり、過去の謎構造
「これが……俺の、机。」
「パソコン使うか勉強以外では使ってなかったけどな。」
「読書とかは?」
「椅子が固いからってリビングのソファかそこのベッド。」
「……?そこのソファは?」
「昼寝用、だったかな。たまにそこで寝て……嗚呼、雨の日はいつもそこで沈んでた。」
「……低血圧とか、気圧変化に弱いとか?」
「さぁ。お前、雨の日は声が出せないらしくてさ、医者に診せたら精神的な物で止めば一時的ではあるが治るって。」
「……へぇ。お前の声にも反応しないのか?」
「しない。トイレに行ったりとか定期的に水は飲んでくれるけどご飯って呼びに行っても反応ねぇし、大抵そこで寝てるから起こしたり、使い魔の力を借りてリビングまで運んだりとか。」
「外出は?」
「部屋から出そうとすると急に意識落としたからあれ以来やってない。お前が精神的に元気な時に聞いた事あるけど、何か……真っ暗な所に居たって言うんだ。」
「暗い所……?」
「そう。自分の体以外、足元の床しか見えない真っ暗闇で、寒い所。よく分からないけど、輪郭すら掴めないのに目の前に赤い2つの目の化け物が睨むように見ていて、体温が高いらしく定期的に赤い雷を纏って黒い吐息を零してる。」
「……俺は、怯えていたのか?」
「……落ち着くって言ってた。早く触れてみたい、もっと近付きたい、姿を見たい。なのにそう願う度にそれは離れていく。1歩近寄ればスライドするように1歩離れる。それでしばらく見つめ合って、声を掛ける。」
「言葉、通じるのか?」
「……そうなんじゃないか?俺は経験した事ないから……。でも、お前が作った魔法の殆どはそいつにヒントを貰ったって聞いたからお前の想像力と発想力が優れてるのか、本当に会話が出来ているのかは分からない。嗚呼、でもお前はそいつの声を悲しくて寂しくて呑み込まれそうな声って言ってた。」
「……悲しくて寂しくて、呑み込まれそうな声。」
「そう語る時のお前、何かを思いつめたような苦しそうな顔なんだ。……力になってやりたいけど、分からなくてさ。あーあ、情けないパートナーだろ?」
「……でも、それでも信用してるから傍に居る事を容認してるんじゃないのか?現に、俺はお前に幾つも助けてもらってる。」
「……だったら良い。」
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