第26話 良かった、生きてたのか!

「ここって確か……中立国、だよな?」

「ああそうだ。中立国アラーカ。まずはここからだ。」

「こんなに人の多い所、俺達が入っても大丈夫なのか?」

「入っても大丈夫だから“中立国”なんだ。……何だ、今までずっと中立国を避けて旅をしてたのか?」

「ああ。俺、あんまり中立国ってよく分かんなかったから教会のない国だけ出入りしてた。」

「通りで苦労したんだなお前は。元々中立国は魔法に対して肯定的な所が多い。次に旅に出る機会があればこういう所を積極的に通れ。意外と魔術師だと言うのに友好的だったりするからな。宿だって普通の旅人や商人のように貸してくれる所もかなり多い。食事も出してくれるし、バザールへ行けば物珍しいからって安く売ってくれたり商人達が旅をしている間に見つけた面白い話とかもしてくれる。他国では参加すれば不吉の象徴なんて言われてしますが中立国での祭りにはむしろ参加してくれ、と言われる事もある。」

「へ~……。それは、凄く面白そうだな。今度試してみる。それはそうと、今回は何処に行くんだ?」

「ここにある評議院と魔導研究機構だ。」

「え、評議院って大丈夫なのか!?」

「ああ、問題ない。評議院と言うのは教会よりも偉い立場だ。それに魔術師に対してかなり肯定的だ。」

「そ、そうなのか?」

「評議院は国際法などを取り締まっている機関だ。だからこそ国際法に違反する人権侵害を出来ないから教会は魔術師を捕まえても拷問する事は許されてないんだ。……ま、攻撃しない限りは常に平等に扱ってくれる良い所だ。」

「そもそもこの国はどういう所なんだ?」

「魔法を研究し、保護する教会と逆の立場に位置する評議院や魔法よりも遥かに凄い力とされる魔導を発見する為、生成する為の魔導研究機構のある多種多様な種族の生活をする観光地としても知られる国だ。軍隊も問題さえ起こさなければ対立する事もなければかなり親切だからな。」


 それを象徴するように街中をパトロールする衛兵達は俺達を見ても優しい笑顔で会釈してくれるぐらいだ。本当に、この国は良い国だ。


 ―――コンコンッ。


「メフィルーラ、居ないのか。メフィルーラ。」

「はーい、何方さ、フィウルーティ!!来てくれたのか!」

「ああ。用事が出来たのでな。」

「そうかそうか!折角だ、ゆっくりして行けよ。そこのお友達も!」

「行くぞ、グロウディ。」

「は、はい。お……お邪魔します。」

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