第23話 しばらくは良いでしょう?

「……んぅ。」


 今は……朝、5時か。

 朝食を作る為にも早起きしてふらふらと……キッチンへ行く前に昨日の事があるので命喰達の部屋へ向かう。

 二日酔いとかしてないと良いんだけど……。


 ―――コンコンッ


「はぁ~い。あ、おはよう。」

「ああ、おはよう。……師匠は?」

「そこに居るわよ?」


 指を差されたベッドの方を見れば師匠は起き上がってはいるが意識が朦朧としており、竜でもあり、獣でもある竜獣りゅうじゅうと呼ばれる姿に変化した命喰らしき物がおり、師匠に甘えてゴロゴロと喉を鳴らしたり、普通の命喰姿のままの命喰達が師匠を支えたり、奇妙な黄緑色の飲み物を少しずつ飲ませているようにも見える。

 ちょっ、


「何やってんだ!!」

「ん、おはようグロウディ。」

「おはようじゃねぇ!!師匠に何してやがる!!」


 慌てて命喰達と師匠の間に入り込めば背後で師匠がベッドに倒れた音がする。

 こんな、自力で立てない程の師匠に何してんだ!!


「朝から何してやがんだ。」

「まぁまぁ落ち着け。あれは俺達が作った霊薬だ。」

「霊薬?」

「そ、霊薬。お前らには有害だが……フィルは特別だ。精霊の薬を飲んだ所で体に害はない。元々他種族が作る霊薬ってのは栄養剤みたいなもんだ。健康状態や栄養状態が偏りがちのフィルには定期的に飲ませるくらいやらないと返って体に悪い。」


 ……ったく。


「……とりあえず朝食まで大人しくしてろ。あんまり師匠に負担を掛けるな。」

「「「はーい。」」」


 本当に分かってんだろうな。

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