休養フィリア
カイザーバードを討伐して王都に帰った俺たちは、オークションまで後二日になり明日、明後日は休養することにした。
今日は、エマが王城で用事があるらしく朝早くから出かけていた。
フィリアの作った朝食を食べながらその報告を受けていた。
つまり今日は、久しぶりにフィリアと二人きりということだ。
エマを助けてからはずっと三人で居たからな。それが悪いわけじゃ無いしどっちかと言うと嬉しい。
けどたまには二人きりってのはいいものだなーと考えながら今日することを考える。
「よし。デートに行こう。」
そう俺は思いつきで言った。
実際、王都に来たは良いけどあんまり王都探索とかしてなかったからな。いい機会かもしれない。
「それでどこいくの?」
フィリアも乗り気のようで早速準備を始めてる。
女の準備は長いから気長に待ちますかな。
「まだ決めてないって言うか王都の事自体全然知らないからね。」
「そっか。ならぶらぶらしながら探索だね。」
「いいか?」
「もちろんだよ。アストと入れるだけで私は嬉しいんだから。」
そういう時フィリアは自室に戻っていく。
それから10分程でフィリアは出てきた。
「じゃあ行こうか」
俺は手を差し出してフィリアと恋人繋ぎをして家を出た。
俺たちは夫婦な訳だから別に恥ずかしがる必要はない。
周りの人は仲睦まじい姿にほっこりと見守ってくれている。
たまに通りがかるおばさまやおばーちゃんからは少々からかわれるものもこれも悪くないかな?と思うようになっていた。
最初に来たのは王都の食材が立ち並ぶ市場に来た。
二人で買い出しもしたことなかったので良いかな?と思ってしまった。デートしてはどうなの?って感じなんだけどね。
「アスト!こっちの野菜新鮮で美味しそうだよ!」
人参を持ってニコニコしているフィリア。
案外ここでも良かったのかもな。
「どうしたの?」
「何でもないよ。」
そう言って一緒に野菜を選んだ。
次に肉屋に向かう。
ストックが鶏肉のカイザーバードがあるが豚と牛がないため買おうと思った。
「いらっしゃ!何をお求めだい?」
元気のいい声で風格のいいおっちゃんが声をかけてくる。
「んーと豚と牛を探してるんですけど何かありますか?」
「豚と牛かい?それなら豚はいつも通りオークの肉だが牛はフリーカーウの肉が入荷してるよ!」
「本当ですか!」
フィリアは喜ぶ。
フリーカーウは別名自由な牛。本当に自由に生きてきた牛が進化した存在でその肉は通常の牛などより100倍うまいと言われ市場に流れてもすぐに売り切れると言われるほどだ。
狩るだけなら簡単な魔物だがそもそもフリーカーウになる個体が少なすぎて平民なら一生に一度食えたらいいと言われている。
「全部買えますか?」
こんなチャンス逃すことはない。
「お、おう全部で1キロ大金貨5枚になるが大丈夫か?」
100g5万リムとてつもない高級品だろう。ちなみに同じ魔物のオークの肉は100g200リムほどだ。そう思うととてつもなく高いのがわかるだろう。
俺は大金貨5枚をおっちゃんに渡して肉をもらった。
するとおっちゃんが
「にいちゃんたちたくさん買ってくれたし何より嫁さんが可愛いからなこれサービスだ!オークの肉だが貰ってくれや!」
気前の良い店主さんだ。
「えへへ。アスト可愛いだって」
フィリアも褒められて気分良さそうだ。
「ありがとう。また買いにくるよ。」
「あいよ!またよろしく頼むよ!」
俺は礼をいってその場を離れた。
「えへへへへ。」
あれから少し歩いたがまだフィリア壊れたままだ。
「アスト私可愛い?」
「あぁ可愛いぞ?」
「えへへへへ。」
さっきからこれの繰り返しだ。
余程さっき嫁さん認定されたのが嬉しかったのだろうか。
「よし着いたぞ。」
「ん?ここは?」
ようやくちゃんと話せるようになったみたい。
「ここは王都でもおしゃれの最先端。ファッションオリビアだ。」
「服屋さんってこと?」
「服だけじゃないぞ。靴や小物、アクセサリー、化粧とこの店でファッションの全てが揃うとも言われてるらしいからな。」
「へーよく知ってるね。」
「ま、まーな。」
さっきフィリアがおかしかった時におっちゃんに聞いていたとは言えないな。
「じゃあ中に行こうぜ。」
「うん。けどなんでまた服屋なの?」
あれ?いやだったのかな?女はおしゃれだ!っておっちゃんもいってたんだけどな。
「ほら、勇者パーティーの頃からフィリアあんまり服とか買ってなかっただろ?本当はお洒落とかしたいんじゃないかって思ってな。」
「そっか。嬉しいよ。」
そういうと中に入っていく。
「「「ようこそ!ファッションおりびあへ!」」」
数名の店員による歓迎を受ける。
中に入るだけでその店のセンス?の良さがわかる。
「どのようなご用件でしょうか?」
一人の女性が前に出て話しかけてくる。
気品の良さが店の質の良さを表している。
「この女性に服を選んで欲しいんだ。」
「予算はおいくらになりますか?」
「んーそうだねだいたい白金貨5枚くらいかな。」
「ちょアスト!出し過ぎよ!」
「良いの良いの。金はまた稼げば良いんだからね。」
「白金貨5枚でよろしいですね?」
「はい。」
一度提示したのだから下げるのは男が廃る。
「では店長のオリビアを読んで参ります。」
そう言って数十秒で戻ってくる。
後ろにガタイのいいおねぇさん?を連れて。
「いらっしゃい私がオーナーのオリビアよ。白金貨5枚でコーディネートを希望してるのはそちらのお嬢ちゃんかしら?」
「そうです。」
「あら?二人はそういう関係なのね。わかったわこのお店で最高のコーデをしてあげるわ!」
どうやら俺たちの指を見て関係性がわかったようでより気合を入れてくれた。
それから1時間少々、俺は男の店員さんとお茶を飲んで過ごした。
男性店員によるとオリビアは元冒険者でその傍ら服も作っていたそう。それで当時王都一の仕立て屋と言われていた店からスカウトされて何年かののちにこの店を譲り受けたそう。店の名前に自分の名前が入ってるのは前オーナーというかこの店の伝統なんだそうだ。
そんなこんなでようやく選び終えたようだ。
「坊やお嬢ちゃんのお召物選び終えたわよ。」
「わかりました。今行きます。」
「あんたびっくりして腰抜かすんじゃないよ?」
「え?」
この時の俺はまだわかっていなかった。
個室で待機してるそうな。そこへ向かう。
「お嬢ちゃんはここにいるよ。ちゃんとわかってるだろうね?」
俺はこくこくとうなずき扉を開く。
そしてそこにいたのは天使だった。
白を基調としたワンピースのようなデザイン。派手すぎず地味すぎずとてもフィリアがメインだ!ってのがよくわかる服だ。
俺の脇腹をオリビアが突く。
「何やってんだい。」
小声で注意してくる。
いやわかってるんだがあまりの可愛さに思わずフリーズしてしまっていた。
「フィリアとても似合ってる。綺麗だ。」
「あ、ありがとう……」
二人で見つめ合う。
その時間は1分だろうか1時間だろうか?長く感じた。
ぱんぱん
「はいはいお二人さんお熱いのはいいけれど少しは配慮してくれると嬉しいわ~。」
「あっすいません。」
「いいのよん。」
俺は白金貨5枚を取り出す。
「オリビアさんこれ代金になります。本当にいい買い物をさせてもらいました。」
「こちらこそこんなに可愛らしいお嬢さんをコーディネートさせてもらってとても楽しかったわ。それと部屋の隅にある服もお嬢ちゃん服だから持って帰ってあげてね。」
部屋の隅を見ると紙袋に入った服の山。
ざっと100着近くありそうだ。
「多くないですか?」
「そうでもないのよ?女の子にはあれくらいは必要なのよ。それに今来てる服は白金貨3枚残り2枚で見繕ったらこのくないになったわ。」
な、なるほど。俺は大量の服を見て流石女の子だな~と一人感心した。
「じゃあまた何かあったらくるのよん。いつでも歓迎しちゃうわ!」
俺たちはオリビアの見送りを受け取り帰宅した。
あたりはすっかり暗くなっており家にも二人。
「アスト。お風呂はいろ?」
ぐはっ。アストには効果抜群のようだ。
俺たちは一緒にお風呂に入りイチャイチャし、そしてベットに入り再びイチャイチャした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます