第8話 2人目のヒロインは想い人有り
昼休みの学食での事は大して大事にならない。
そう思っていた。
だが、瞬く間に噂は広がり『キモオタが世紀のビフォーアフター』とたった半日で広かった。
マジで怖い。不登校になるぞ……俺……
俺はそんな事を誰かに相談したくてある場所に来ていた。
コンコンとリズムよく扉を叩き、返事を待った。
「どうぞ。」
中から綺麗な声が聞こえ、俺は扉を開けた。
「失礼します。」
「あら?」
この人は生徒会会長、
これまた美女。
でも、小柳さんや七条さんとは違って『可愛い』というよりも、『綺麗』というジャンルの美女だろう。
「見ない顔だけど、今回はどうしたのかしら」
「黒羽先輩までそんな反応するのですか……」
黒羽先輩と俺の関係は、俺が前に執事のバイトをしていた時の雇い主だ。
執事のバイトってほんとにあるの?と思うだろうが、実際は結構あって、執事とも行かなくとも身の回りの世話をするバイトは多い。
それに結構いい額をもらえる。
「………まさか、折本くん?」
「はい、そうですよ。」
あんぐりと口を開けたままこちらを見つめる。
「コラ、お嬢様。淑女がそんな顔をしてはいけませんよ?」
「な!?………こ、こほん。
空くんで本当に間違いないかしら?」
「はい」
「本当に?」
「はい」
「本当に?嘘ではないのね?」
「だから、さっきからそう言ってますよね!?」
どんだけ疑われているんだよ……
そんな驚くことか?いや、驚くことか。
自分でも一瞬誰か分からなかったからな……
「じゃあ、自称空くん。あなたが本物か質問するわね?」
黒羽先輩もその手で来るのか……この際、なんでも答えてやろう。てか、自称って……俺は本物……
まぁいいか。
「わかりました。」
「では、空くん。私が好意を寄せている人は?」
これは俺が執事をしていた時に相談された奴だ。
黒羽先輩はツンデレだからなぁ……
あ、これは俺しかしてないボケで返すか。
「黒羽先輩の傍付き執事である……確か、川なんとかさんですよね?」
「
どうやら俺の意図がわかったらしい。
ちょ、なんかこっちを睨んでるんですけど……
怖い。めっちゃ怖い。あと怖い。
流石、『氷の姫君』と呼ばれるだけある。
「あなたが本物の空くんという事は理解したわ。
……でも、普通に言いなさいよ。」
「す、すみません……ははは…」
恥ずかしそうにこっちを見ている黒羽先輩。
はぁ……外見はいいんだが、ちょっとツンツンし過ぎなんだよなぁ。でも、そこがいい!
「で─ほんと──きなのは────らくん────────」
「え?なんて言いました?」
黒羽先輩が小声で何かを呟く。
小さすぎて聞こえなかったが、『空くん』と呼ばれた気がする。
「いいえ、何も言ってないわ。この難聴系男子。」
「んな!?」
俺が
俺は好意を抱いてくれてるであろう女子にはすぐ様告白して振られる。って、振られちゃうのかよ……
「で?今日は何かを相談しに来たんでしょ?と言っても内容は大体把握出来てるけどね。」
しまった。完全に脱線してしまった。
まぁこの死活問題は黒羽先輩に相談したらどうにかなるだろう。
そう俺は思っていた。
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