第5話 自白

「はい、お兄ちゃん♪あーん♪」


「あ、あ………ん」


「ふふふ、おいし?」


「お、おう」


さっき桜に絡まっていたチンピラ共を蹴散らした。


うん。それはいいんだ。

桜にいい所を見せられて俺は嬉しい。


だがなぁ………

さっきから桜からのスキンシップが激しい。

めっちゃ可愛い。


可愛いすぎて俺を殺す気かよって思うぐらい。


「お兄ちゃん♪」


「ん?なんだ?」


「だぁーい好き♪」


俺の中でプツンと音をたて、何かが切れた。


「ああ!!お前可愛すぎんだろ!?俺を尊死させる気がよ!?桜ぁぁ!!愛してるぞぉぉ!!」


俺は叫んだ。

周りの人の目を気にせず。


いえ、めっちゃ気にしてます。

さっきからすんごい見られてます。


でも不思議だよね。


俺は前にも叫んでしまったことがあるのだが、

その時は、『きも……』とか、『同じ席の人可哀想』

っていう言葉がそこらで聞こえてきた。が、しかし。


今は『あらあら、可愛いね〜』やら『彼女さん愛されてるのね〜』とか『あんな彼氏が欲しいよぉ…』

とか聞こえる。


イケメンってずるい。


「あの、お客様……もう少し静かにして貰えますか?」


「あ、す、すみません」


それはそうだ。

急になんの前触れもなく、こんな奇声を発したのだ。

そりゃ注意される。


「お兄ちゃん、うるさい」


「だからすまんって……

だがな、お前が可愛いのが悪い。俺は何も悪くない。」


「はぁ……これだからごみぃちゃんは……

まぁ、可愛いって言うのは私的にはポイント高いなぁ♪」


「………お前どこの俺ガ○ルの小○だよ?」


「へ?」


マジか、こいつ。わざとじゃないの?

自然にそんな事を言えるの?こいつ、やっぱりブラコンだわ。まぁここは千葉じゃないけど……


「そんなことよりお兄ちゃん!!

この後はコンタクト作って、服も買うよ!!」


「まだ帰らないのか……」


「あったり前田のクラッカー」


「古すぎだろ。それ。」





─────────────





と、まぁこんな具合で髪を切り、コンタクトに変え、

今は学校に向かっている。


すごい見られはしたが、

特に話しかけられる事もなく、無事に教室の自分の席につけた。


疲れた……もう寝よう。寝たら全て楽にになる。


ん?なんかやっぱり周りが騒がしいな…


「ねぇ…あのイケメンってクラスにいたっけ?」

「転校生?」

「でもあのキモオタの席に座ってるよ?」

「ほんとに誰だろ?」

「もしかしたらあのキモオタかもなww」

「な訳ないじゃんww

もしそうだったら整形したの一択でしょww」


実はもしかするんだなぁこれが。

てか俺って陰からめっちゃ悪口言われてるやん。

薄々気づいてたけどさ。とほほ……


「あ、あのっ!!」


「んあ?」


しまった。変な声出してしまった。

まぁこれぐらいなら大丈夫な方だろ。


「そ、その席は……空くん……い、いえ…

折本くんの席なので、あのっ……その……

間違えている……と……おもい……ます。」


やっぱりそういう反応されるか……

よし、こうなったらここで言うとするか。


「あの、実は俺がその折本空……なんですけど……」


教室が静寂に包まれる。


今で何秒かかっただろうか。もしかしたら何分かぐらいかかったかもしれない。それぐらいの時がたった気がする。


そして静寂は終わりを告げた。




「「「「「「「「「「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」





うるさい。耳がキーンてする。

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