第2話 妹とのデート

土日明けの月曜日。

普段なら気怠いこの日も今日はちょっとドキドキしてます。何故かって?それはな……


「ねぇ……あの人誰?」

「めっちゃイケメンじゃん…転校生?」

「うわ…同じクラスのかな?」

「声かけようかな…」


この視線である。視線が痛い。

しかもそれは汚物を見るような軽蔑した視線でなく、まるで獲物を狙う猛獣のような視線だった。

正直言って……


めっちゃ怖い。

こんな注目されたの初めてだからちょっと緊張する…


おっと、いかんいかん……

緊張はなるべくないようにしよう……


ステイクール……あ、でも『ステイクール』の意味知らないな。S○Oで出てきたから使ってみたけど…

今度調べてみよ。


ん?何故こんな風になっているかって?

そうだな…まぁ説明しようか。



─────────




「お兄ちゃんは暗いからです!!」



一昨日の出来事を振り返る。

改めて思い返してもあれはムカつくわ。

でも結構痛い所を突いてくるんだよなぁ…


「お兄ちゃんは髪のボサボサだし、メガネだし、猫背だしっ!!とりあえず暗いの!!」


「ぐ……」


それは自分でもわかっていた。

わかっていたけれども直そうにも面倒臭いから

後で、後で…と後回しにしていた。


変な話だよな、モテたいって口で言っててもモテる努力をしないっていうのは…


「お兄ちゃん。今こそ変わる時だよ。」


いつになく、桜は真面目だった。

……ような気がする。


「あ、でも私を放ったらかしにするのはナシだからね〜?ウサギさんは寂しいと死ぬんだよ〜」


桜は『べー』と舌を出して、茶化していた。


やっぱり真面目じゃねーわ。

まぁいつもなんだかんだ言って、桜には助けられてるしなぁ……よし、今日は存分に甘えさせようか。


「なに?お兄ちゃん?」


俺は両手を広げて桜を見ていた。

だが桜には意図が分からなかったらしい。

しゃーない。俺からいくk……


「グハァ!!」


勢いよく俺の胸へ桜が飛びつく。

な、なんつーパワーだ……

まるで、大型犬が飛びついて来たような衝撃だった。

少しは遠慮というものを知って欲しい…


「なんてね〜お兄ちゃ〜ん、大好き〜」


桜が胸で頬をスリスリしてる。

きゃわゆい。ずっと愛でていたい。


ああ、桜。どうして貴方は妹なの。


俺にとって敵なのは貴方の身分いもうとだけ。

たとえ妹じゃなくても貴方は桜のままよ。


「じゃあお兄ちゃん!!明日はへ行くよ!!」


「おうわかっ─────って、え?」


俺が妄想に夢中になっていたらなにやら『美容院』という単語が聞こえた。美容院といえばあれだ。めっちゃシャレオツなところだ。俺の美容院への認識はそんなものだった。

だって、行ったことなんて片手で数えるぐらいだからな。


「ん〜……コンタクトにするのも決定……あ、でもメガネ掛けることでギャップを……ついでに休日用の服も買おうか……あ、靴ももうボロボロだしそろそろ変えようか……」


どうやら美容院に行くのは決定らしい。

さっきからブツブツ言っているがどうやら俺の為らしいので大人しく振り回されようか。


「じゃあお兄ちゃん!!明日は私とデートしよう!!」


決心がついたようにそう桜は俺を誘う。


我が愛する妹からのお願いだから断れないな。

これは。てか、俺が桜とデートしていいの?

やったぜ。


やべぇ明日何着てこうか……

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