第16話 再会

その頃、晴人ら3人は街にたどり着いていた。

「ここのこと誰かに聞いてみるか。」


晴人は近くの竜人に語りかけた。


竜人は最初意味不明なことばを呟いたが後に


「竜言語じゃなくて日本語で会話してくる竜人とは珍しいですな。どちら出身ですか?」


「出身?俺は東京都だが。」


「東京都?60年近く前に消えたというのにまだその名を使うとは見かけによらず結構…いや失礼しました。つまり、東京州出身なんですね。」


「州…か。なるほどな。てか東京都を知ってるのか?」


「勿論、東京都は60年前まで日本の首都でしたし、歴史の教科書にも載ってるレベルの事ですし、何か疑問でも?」


「いやなんでもない。後聞きたいことなんだが、シャロン王女を捜している。どこにいるかわかるか?」


「シャロン王女なら梁人にいると思いますが。詳しいことはわかりません。」


「梁人とはどこだ?」


「向こうにお城が見えるでしょう?あちらが王族領の梁人です。」


「あの西洋と東洋が合体したかのような城のことか。情報感謝する。」


「これでいいですかな。」


「はい!あざっす。」


と言い、晴人は2人のところに戻り


「あそこの城をめざすぞ。」


「あそこに居るんですね?」


「確かではないがとりあえず行ってみよう。」


3人は城の方へ飛んで行った。


一方、十式の間


「もう時期軍部の会議が始まると思うが、出来ればアグノも招集したいとこだが。アグノはどこにいるんだ?。」


ザハトは応えた。


「私の能力で、位置は特定しました。こちらの世界に既に戻ってるようで、今こちらへ向かってきてますね。」


「よし、なら奴をここで待つか。王女はどうなされますか?」


「ここで待つわ。」


しばらくして扉が開いた。


「やはりここに居たか。」


「よぉ、アグノ!ようやく会えたな。約束通りの時間に、ザハトに協力してもらって穴作ったよ」


「感謝する。ザハトもご苦労さん。」


「いえいえ、しかし、兄上の行方が分からないのがもどかしい。」


「ところでだ。アグノ。今日の午後に軍部の会議がある。参加できるか?。」


「国家存亡の危機に直面しているんだ。無論参加する。」


「把握した。頼むぞ。」


【軍部の会議か。もしかして大日本竜人帝国の侵攻とかについて?】


【おそらくはそうだな。それに加え、この内乱をどう収めるか改めて会議するんだろう。】


「私も出席します。同席しましょう。アグノ。」


「シャロン王女も出るのか。まあ、次期国のトップになりえる人物だしな。当然か。」


「ちょっと離席します。」


シャロンはそう言って十式の間を出た。


「父上と母上の所へ行きましょう。


【御意】


トコトコ古びた内装のこの城を歩いていく。


やがてたどり着いたのは女王の部屋だった。


軽くノックする。


「どなた?」


「母上!私です。」


「ハッ。その声は。シャロン!?」


「はい!」


扉がゆっくり開いた。


「本物だ。ずっと帰りを待ちわびていたのよ。心配させないで。私をこれ以上。」


女王は泣いていた。


そして、


「帰ってきてくれてありがとう。改心したのね?。馬鹿げたことはもうやらないでね?」


「うん。そうする。」


女王はシャロンの前に泣き崩れた。


「父さんにも伝えておくわね。」


「ありがとう。」


淡白な返事を返す。


しかし、内心久しぶりに会えて嬉しい気持ちでいた。


そして来たる午後。


「これより第133回全日本軍部首脳会議を行う。」


議長の竜人がそれを口にすると皆、中央のおそらくは王様であろう人物に最敬礼する。


「改めて自己紹介といこうか。私がこの大極東王国を統べる王、マードックだ。

これより、来たるであろう大日本竜人帝国の侵攻に対する会議及び、今後の日本の内乱の統一についてと、翌月にあるゴッデスファイトの選出についてだ。」


ある男が立ち上がった。


アロンだった。


「航空部隊長アロンであります。現在我が軍の航空戦力を一覧にまとめました。ご覧下さい。」


テーブルの中央にあった小型の玉から光が飛び出し、映像が現れた。


そこには、


総勢50の航空連隊。


各隊の凡その戦力。


航空隊員数=12560人(竜人11870と人間690)


ウイングソー 10080


ブースター 5600


ウイングブーツ 12000


クウェル空戦砲 6800


航空機 10800


(人工龍形戦闘機 輝夜かぐや 5600

人工龍形爆撃機 流星 2200

人工龍形攻撃機 時雨 1090

人工龍形対艦攻撃機 水龍 500

人工龍形戦略爆撃機 空帝 810

人工龍型哨戒機 暗回 200

人工クウェルステルス戦闘機400)


クウェル攻撃型ヘリコプター 400


クウェル多用途型ヘリコプター 150


対空クウェルミサイル艇 60


クウェル戦略輸送機 1000


長距離弾道ミサイル発射システム 1500


反物質爆弾 200g


気象コントロールシステム×3




補給物資 12万4500t。


と竜子にとって見覚えのあるものとないものが表示された。


「我が軍の航空戦力は大日本竜人帝国の15年前の戦力の半分未満のまま変わっておりません。以上。現状の報告でした。」


アロンは座った。


次に立ち上がったのは女性の竜人だった。


「海軍総司令官マリーネです。海軍では、シーレーンの防衛訓練と機雷撤去作業を繰り返しています。空軍と合同演習を近日中行う予定です。以下、戦力をまとめました。ご覧下さい。」


先ほどと同様に映し出された。

海軍隊員数 =2200+1000+300×45+10×103=17730(内訳竜人15030人間2700)

クウェル防衛型航空母艦 信濃型×1


クウェル強襲揚陸艦 長門型×1


クウェル駆逐艦×45隻


クウェル潜水艇×103隻(ステルス仕様68)


機雷 8900


クウェルミサイル巡洋艦×4隻


クウェルミサイル駆逐艦×6隻


クウェルフリゲート艦×12隻


人工地震発生機×1




と表示された。


「我が軍の海軍戦力は正直にいって大日本竜人帝国と真正面から衝突した場合、勝算は30%未満の見積もりです。対抗するには増強する必要があります。以上です。」


マリーネは座った。


次に立ち上がったのはアグノだった。


「戦士長のアグノです。我が軍はこの国の地上戦力を担っていますが、兵站が貧弱なことと、物資の少なさが問題として挙げられます。以下、戦力のまとめです。」


またまた映像が映し出された。


戦士数=23000人(竜人15600+人間7400)


ドラゴンウェポン 24500(メインウェポン22000サブウェポン2500)


ドラゴンブーツ 25600


クウェル対空砲 2300


クウェル海岸砲 3080


人工龍形戦車 クウェル100式戦車×1300


クウェル対戦車砲 1364


クウェル野戦砲 2700


その他対竜人装備12000


アンチポータルバリアー×27


補給物資 15万5200t


「メインウェポンからして不足しており、隊員数に対して武器の絶対数が少ない現状です。GDPの6割を軍事費に費やしてる現状ですが全くもって足りません。破竹の勢いで進撃する大日本竜人帝国を止めるにはとても足りません。」



アグノは座った。


次に立ち上がったのは大柄な屈強な男だった。


「サイバーハンターこと、デイルです。サイバー犯罪の取締役兼サイバー攻撃の対策を務めておりますが、我が国は他国からの影響を受けすぎていますが、現状対処できてるので、人員の確保など必要な際には報告します。以上です。」


デイルは着席した。


「各科報告感謝する。アグノの言う通り、我が国はGDPの6割が軍事費だ。これ以上支出するのは自殺行為に近い。現状の戦力で大日本竜人帝国と相対した場合、我が軍はどれほど戦えるかね?」


「もって一月といったところでしょう。相手がこちらのアマノカガヤキを攻撃されるだけで我が軍の装備の大半は機能停止しますし、実際はそれより短いと思われます。対局地戦やゲリラ戦で対処するにも限界がありますし、大日本竜人帝国と戦うということは本土決戦を視野に入れなければなりませんし、正直勝算は無いに等しいかと。」


【アマノカガヤキってなに?】


【この国のクウェル粒子で動くもの全てに動力を供給している動力源だよ。先ほど挙がった武器もほとんどこれに頼って稼働している。この施設がやられた場合、国家運営に関わる問題だ。幸い梁人の地下にあるから、空から直接攻撃されることはないが、地上決戦になった場合の絶対防衛ラインになりうる。】


「父上、ゴッデスファイトの件ですが、私とアグノに出場させてください。」


その場が凍りついた。


「何を言うてるのかシャロン。お前があんな競技にでたら間違いなく死んでしまうぞ。それに参加資格が2人ともない。諦めるんだ。」


「大丈夫です。秘策があります」


シャロンはこう告げた。


「アグノは今第9の世界で人と合体することに成功しました。つまり、これが意味するのは人に化けることによって能力を誤魔化し、記憶を改竄させ、痣を無くさせることを可能にするということ。アグノを連れていくことによって私の痣を消すこともできる。だから来たるゴッデスファイトには私とアグノの2人で出させてください。」


その場は沈黙した。


一方、

「入らせてくれよ!シャロンの家族なんだぞ?」


「家族ならば合言葉が言えるはずだ。それが言えないなら貴様は家族ではない。立ち入ることは許されない。」


「うっせー。黙れジジイ。」


晴人は城の門番と激しい口論を繰り広げていた。




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