第6話激突!家族たち!①

「アグノがこの世界に絶対追ってくると私は知っていました。理由として彼が私がこの世界に繋がるポータルを潜る直前に「絶対にこの世界に戻してみせる」と発言していました。また彼は約束は時間は守らないけれど絶対いつか守るというモットーを掲げています。なので彼が来るのを私は待ちわびていました。彼とこの世界で邂逅すれば彼は間違いなく元の世界に連れ戻すよう諭すでしょう。しかし、私は彼に屈しません。彼を〔家族〕に引き込んで味方につけるのです。私の掲げる理想に賛同させるのです。しかし、彼の居場所を突き止めなければ何も始まりません。そこで、私は葛城がこの世界でアグノと思しき人物と遭遇した可能性が非常に高いという情報から彼女が出会ったとされる公園から彼の足跡や匂いを「解析屋」の能力で調べた結果。ある程度の足取りを掴むことに成功しました。そこで、アグノを炙り出して説得するというのがこれからの目標です。何か質問は?」


「あっ質問っす。」


ひょいと高く手を挙げたのは晴人だった。


「アグノってそもそも誰だ?それからよー。聞いてくれ。俺の住んでたマンション全焼して、俺1文無しになってしまったんだがこれからどうすればいいと思う?」


「アグノとは私が元いた第792の世界で私直属の「ロイヤルガード」の戦士長を務めていた勇者ランクの最強の竜人の戦士よ。私がこの世界に来るのを彼にだけ見られてしまったわ。他の人達も応援で駆けつける可能性はあるものの彼が1番に来ると私は予想した。


あなたの住処が全焼したのは…お気の毒…私の家に泊まらせることはできませんしね…葛城…あなた1人で住んでるんでしょ?大事な〔家族〕なんだし、泊めてあげたらどう?」


「そんなこといきなり仰られても無理難題な…。男性の方と2人きりで暮らしたことなんてございませんわ。」


シャロンはジーッと圧力をかけるような目付きで葛城を見つめた。


「かっかしこまりました!えっと貴殿の名は?」


「矢紬晴人。晴人って呼んでくれ。よろしくな。」


「ところでさ、そのアグノを炙り出す具体的な方法は?」


「私のドラゴニックアーツで低級な生き物を巨大化させて操って暴れさせればそのうち対処しようと出てくるのでは?」


「いや詰めが甘い。こうしましょ。まず、アグノが住んでると思しき場所の近くまで行って、葛城の能力で小動物を巨大化させ、暴れ馬のように暴れさせる。

動揺したアグノはそれに対処するのに気を取られる。

その隙に晴人が晴人の能力であるクウェル粒子を操作する能力でアグノの体内のクウェル粒子を操り、行動不能に陥らせる。そして3人がかりでアグノの身柄を拘束する。」


「クウェル粒子とやらを操る能力が活きるのか!よくわからんけど嬉しいわ!」


「作戦決行は明後日。それまで作戦を練りましょう。」


3人はしばらくこの時間を共有した後解散した。

シャロンは小林家へ。葛城は晴人を連れて家に帰宅した。


一方その頃、アグノはグータラと横になっていた。


「この世界の漫画も面白いもんだなぁ」

そう呟きながらお菓子を食べていた。


【あのさ。丸一日経ったけどなにもしてないじゃん。】

竜子はアグノに叱る。

「だってよ。オレと同じようにゴッデスファイトに参加資格がない、頬に雷の痣がある王女と王女を連れ出した妖術師の行方探そうにもあの葛城って女しか今んとこない。もしかしたら外に出ていったら遭遇するかもしれないから朝行ったけど子供しかいなかったし、何も起きなかったから帰ってきて休憩してるに過ぎない。文句あるか?収穫が0の日があっても何らおかしくない。」


パラパラとページを捲りながら応える


【アグノ…そう言えばなんで1ヶ月ここに泊まると決めたの?】

ページを捲る手をとめて応えた。


「1ヶ月で応援が来るからだ。」


【応援?異世界からの?】


「時空を行き来できるポータルを開けるのは妖術師だけだ。オレの故郷には王女専属の妖術師が10人いる。そのうちの1人がザクトだが、残りの9人のうち最も早く来れる者が大体1ヶ月かかる。オレの同僚も時を同じくして来るだろう。それまでにシャロンを説得して第792の世界に連れ帰らないといけない。」


「オマケにポータルを開けるのは長くて30分だ。30分で蹴りをつけなければならない。」


【仲間の人にはここに来ると伝えてあるの?】


「来る直前に〔風のアロン〕ってやつに行き先を伝え、応援を頼んだ。

ポータルはザクトが開いた王女をここに誘ったやつにそのままオレは飲み込まれた。」


【下準備はしっかりしてたんだね。】


「おーい。ご飯できたよー。」


大久保は2人に対して声をかけた。


「飯の時間だ。

食うか。」


アグノは立ち上がってダイニングに移動した。その足取りは重たかった。



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