「欲望まみれの大人」

男性は「加藤」と名乗った。

加藤の後についていくと築10年ほどのアパートについた。

家の中は物が少なく、その割に散らかっているというかごみが散乱していた。

食べ終わってスープが残ったままのカップ麺。

半分ほどしか飲まれていないパンパンに膨張した炭酸のペットボトル。

飲み終わってぐしゃっと潰された缶ビール。

臭い。とまでは言わないが異臭がかすかにしている。

加藤は慣れたように足で床の上のゴミをよけていく。

私の方をぐるんと勢いよく振り向くとベットに座らせた。


「先にシャワー浴びておいでよ。綺麗にしておいで。ゆっくりでいいからね。」


そういうと大きめのTシャツと短パンを渡された。

私はお辞儀だけしてその荷物を持ってお風呂に向かう。

シャンプーをしているときも体を洗っているときもドライヤーをしているときもどこか視線を感じる。

私はお化けが大嫌いだ。

怖いから振り向くこともできない。

急いですべてを終わらせて少し大きいTシャツをきてお風呂を出る。

急ぎ足で部屋に戻ると部屋着に着替えた加藤がケータイをいじっていた。

加藤は私に気づくとさっきまでと何も変わらない笑顔で


「ずいぶん早かったね。もっとゆっくりでよかったのに。」


と言ってきた。

そのまま私の手を引いてベットに座る。

加藤は私のほうを向いてニコニコ笑っている。

ふと視線を落とすと彼のズボンのチャックの部分が、パンパンに膨れていることが分かった。

ここまでくれば馬鹿な私でもなんとなくわかった。

あ、犯される。

そう気づいたときにはもう遅かった。


「さっきお風呂で見たけど案外おっぱい大きいよね。かわいいね。」


視線の正体は加藤だった。

その言葉と同時に熱いキスが降り注ぐ。

舌が入ってくる。

気持ち悪い。怖い。助けて。

恐怖で涙が止まらない。

鳥肌も一瞬で出てくる。


私は結局そのまま犯された。

涙をぬぐっても止まらない。

男は一つため息を吐くと私に万札を3枚渡した。


「これでいいだろ?三万ももらえれば十分だろ」


男の冷ややかな言葉といまだに痛みが引くことを知らない下半身が

私をどんどん追い詰めていく。

これが援助交際なのだ。

私は処女だった。

私の初めては汚いおっさんとだったのだ・・・。

援助交際はただただ心に深い傷を負わせるだけのものなのだ。


人間とは不思議なものであんなに怖い思いをしたのに、眠気はやってくるものだ。

私は涙を流しながら深い眠りに落ちた。

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