「地獄」
朝からみんなの声が遠く聞こえ、どことなく学校に行く気がしない。
親を呼ばれて怒られるのになぜ学校に行かなければならない?
行きたくはなかったし吐き気もしたし休みたかった。
しかし、それでは逃げたようなものになる。
仕方なく学校に行き、昼休みに先生に呼ばれ親と私と校長先生と担任の4人でいろんな話をした。
まずは反省文で済むこと。
登校謹慎という登校はするものの別室に待機し、先生たちから出された課題をするという処分が下った。
正直納得がいかない。
反省文は毎日3枚ずつ書き、その日の行動も書かなければならない。
ため息をつく私を横目に父に睨まれたことはよくわかった。
次の日初の登校謹慎の日、私は起き上がることができなかった。
腹痛に頭痛、どうしようもないほどのけだるさ。
頭の中に響き渡る誰が言っているのかもわからないが
「お前なんか死んじまえ。消えろ。死ね。」
永遠に流れてくる言葉に刃物を握りしめた瞬間意識がなくなった。
我に返ったのは鋭い痛みが手首に走った瞬間だ。
手首から流れ落ちる血。
剃刀についた大量の血。
やっと理解した。
これがリストカットだ。
私が遅いのを心配した姉が部屋に入ってきた。
姉は私を見るなり手をつかみ、制服のまま荷物も持たずに車に乗せられ、1時間ほど走った車は精神科についた。
鼻につく薬のにおい。
ぎょろっとした気持ち悪い目でたくさんの大人に見つめられる。
数時間が立つと名前を呼ばれ診察室に入った。
何も話さずじーっと見つめる医師。
何分か見つめた後医師がはなった言葉は
「入院ですね。双極性の鬱です。」
そのまま手を引っ張られ三階の女性病棟に連れていかれた。
認知症のおばあさんやうつ病のおばさん、統合失調症のお姉さんなど変わった人がいた。
私と同い年くらいの子は一人もいなかった。
その日からの毎日は本当に地獄だった。
点滴をして、ご飯を食べて、薬を飲んで、ほかの患者と交流という名のゲームなどをして・・・。
お風呂にはいれるのは週に二日だけ。
毎日ぼーっと外を眺めることしかしない。
たまに来てくれたお見舞いも入院が続くにつれて訪れてもらえなくなった。
本当に地獄だった。
楽しみは優しい看護婦さんと話す時だけ。
毎日病室の外からは叫び声、怒鳴り声、泣き声が聞こえる。
平和な日なんて存在しなかった。
ただただ帰りたかった。
枕を濡らすのなんか日常茶飯事だった。
夜になれば、どこからともなく暴言が頭に響く。
暴言がひどく大きく頭に響いてくるため、なかなか眠れない。
その生活は三か月も続いた。
「地獄」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます