「大人は嘘つきだ」
14歳の冬。
父と母親(仮)は離婚した。
「女は子供を産んだら母親になる。妻にはならない。」
中学生ながらにもなんとなく父の言いたいことは分かった。
きっと母親(仮)が少し変化して、父はそれに追いつけなかったのだろう。
そんなある日父の部屋を掃除しているときにたくさんの名刺を見つけた。
仕事関係のものかと思ったが、違うようだった。
丸っこいかわいらしい手書きで「また来てね♡」と書かれていた。
私はその大量の名刺を何度も読み返した。
日付や場所や内容を見る限り、まだ離婚していないときのものだ。
ソープにデリヘルにキャバクラ。
父は浮気をしていたのだ。
父は私たち兄弟がいて奥さんがいて生まれたばかりの子供がいるにもかかわらず、そこら辺のお店の女の子といちゃついていたのだ。
離婚の原因は絶対にこれだ!
私はそう確信した。
好きだったんじゃないのか?
女は子供を産んだらもういらないのか?
男はいつでも浮気をするのか?
気持ち悪い、汚い、醜い、最低だ。
本気で父親を心の底から大嫌いになった。
私の母親も浮気をしていた。
みんなそんなものだなのだ。
大人は浮気をする。
飽きたら捨てる。
私たち子どもを父親に飽きられたら・・・捨てられる。
「大人は嘘つきだ」
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