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海にでも行こか。そう言ったのは母だった。
「あんたも、たまには市以外のところに遊びに行きたいやろ?」
海というのがどういう場所なのか。市場以外の場所とはどこなのか。全く分からないから、近くに立っていた兄に、海について聞いてみた。
「海は、海です。水がいっぱいある場所ですよ」
ふわふわの尻尾が揺れている。知らないんだ。泉みたいなものだろうか。
「テラー、あんた、適当に言うとるやろ? まぁ、いっぱいやけどな」
母はにやりとした後、兄に、適当なやつを連れてこいと言う。例えば、と聞き返せば、適当に、と繰り返す。
困った顔をした兄はわかりました、と言ってからいなくなった。
どこか楽しそうな母は長い首を伸ばして覗き込んできた。
「テル、水ってどんな味がするん?」
みずのあじ。
「えー、と、苦い?」
泉の水も、市場の水も、苦い。野菜ほどではないけれど。
「そうかそうか。海の水ってな、味がするんや。それも、すっぱい、いや、しょっぱいんや」
へぇ、と胸の中が高鳴る気がしたが、頭の中ではもやもやとしたものが。
苦くない水…友達の家で食べたスープみたいなものだろうか。
「ま、楽しみにしとき。奴らの都合に合わせて、行こうや」
母はいつもよりも、楽しそうだ。
◆◆◆◆
テル視点って初めてですね。
母と呼ぶな、とテレアから言いつけられていますが、なら彼女をなんと呼べばいいのか。ふと迷った所存です。
…あれ、じゃあそもそも母という単語自体知らないのでは?
まぁガバはあってもいいでしょう。雑筆ですからね。
さて、水にも水という味がある、という記事を一年前に見た気がするのですが、では味覚五つのうち、水はどれに近いのか、という話です。
酸味、甘味、塩味、旨味、苦味。
水を一口してみましたが、分からないのですねぇ。
甘味のようなものもありますし、どこか苦味っぽいものがあるような…水道水にはカルキ臭というものがありますが、味覚と関係するのでしょうか?
テルは水を苦いと評しましたが、適当です。何か味覚に障害があるわけではないですが、そう感じたようです(書いた本人が言うな)。
いざそう言われると、あなたはなんと答えますか?思い描いてみると面白いかもしれません。
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