2

海にでも行こか。そう言ったのは母だった。

「あんたも、たまには市以外のところに遊びに行きたいやろ?」

海というのがどういう場所なのか。市場以外の場所とはどこなのか。全く分からないから、近くに立っていた兄に、海について聞いてみた。

「海は、海です。水がいっぱいある場所ですよ」

ふわふわの尻尾が揺れている。知らないんだ。泉みたいなものだろうか。

「テラー、あんた、適当に言うとるやろ? まぁ、いっぱいやけどな」

母はにやりとした後、兄に、適当なやつを連れてこいと言う。例えば、と聞き返せば、適当に、と繰り返す。

困った顔をした兄はわかりました、と言ってからいなくなった。

どこか楽しそうな母は長い首を伸ばして覗き込んできた。

「テル、水ってどんな味がするん?」

みずのあじ。

「えー、と、苦い?」

泉の水も、市場の水も、苦い。野菜ほどではないけれど。

「そうかそうか。海の水ってな、味がするんや。それも、すっぱい、いや、しょっぱいんや」

へぇ、と胸の中が高鳴る気がしたが、頭の中ではもやもやとしたものが。

苦くない水…友達の家で食べたスープみたいなものだろうか。

「ま、楽しみにしとき。奴らの都合に合わせて、行こうや」

母はいつもよりも、楽しそうだ。


◆◆◆◆


テル視点って初めてですね。

母と呼ぶな、とテレアから言いつけられていますが、なら彼女をなんと呼べばいいのか。ふと迷った所存です。

…あれ、じゃあそもそも母という単語自体知らないのでは?

まぁガバはあってもいいでしょう。雑筆ですからね。


さて、水にも水という味がある、という記事を一年前に見た気がするのですが、では味覚五つのうち、水はどれに近いのか、という話です。

酸味、甘味、塩味、旨味、苦味。

水を一口してみましたが、分からないのですねぇ。

甘味のようなものもありますし、どこか苦味っぽいものがあるような…水道水にはカルキ臭というものがありますが、味覚と関係するのでしょうか?


テルは水を苦いと評しましたが、適当です。何か味覚に障害があるわけではないですが、そう感じたようです(書いた本人が言うな)。

いざそう言われると、あなたはなんと答えますか?思い描いてみると面白いかもしれません。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る