後輩佐藤と無意味な問答

そばあきな

プロローグ

「……あれ、えっと……先輩も、帰り電車なんですか」


「そう。……佐藤くんも?」


「……名前、覚えてくれているんですね」


「今日は、あんまり部活を見学に来た一年生がいなかったから」


「……ちょっとそれは、反応し辛いですね」


「……ごめん。冗談とかあんま言えなくて」


「……いえ、別に」


「あと、個人的に印象に残ってたから」


「……印象に?」


「そう、印象に」


「……そう、ですか」


「うん、そう」


「……」


「……」


「…………あの、先輩もこの路線なんですか」


「いや、向こうの路線」


「それなら、別方向なんですね」


「そうだね」


「でも、駅までは一緒ということですね」


「……そういうことに、なるかな」


「……あの、先輩」


「……はい」


「――――あの、もし俺が部活に入ったら、部活の終わりに、俺と……――――」

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