二十四
それからというもの、子柳は花街通いに夢中になってしまいました。どっぷりはまって抜け出せなくなったのです。初めて抱いた蓮の葉の柔肌を忘れることができません。まるで吸い付くようだったのです。頬を染めて恥じらう姿が、脳裏にちらついて消えないのです。四書五経を開いても、詩作をしようと字書を引いても、全く頭に入りません。気晴らしに絵筆を取ってみれば、あられもない裸体を描く始末。夜は寝付くことができず、ひたすら寝台の上でまろび続けるばかりでした。
花代も馬鹿にはなりません。初めこそ仕送りをやりくりして捻出していましたが、やがてそれも苦しくなりました。会えないときほど、会いたい気持ちが募るもの。今こうしている間にも、他の男の腕に抱かれて、などと想像すれば、叫び出したくなるほどの痛苦に苛まれました。
そして子柳はとうとう友だちの翔鷹に金を借りるようになったのです。初めは少しだったものの、借りる額はどんどん膨らんでいき、到底返せるような金額ではなくなりました。翔鷹の支援者は皇帝の第八王子という身分だったので、彼自身はまるでお金に困っていませんでした。子柳が申し訳なさそうに無心すると、いつも笑顔で気前よく用立ててくれたのです。
実は翔鷹には狙いがあったのです。それは、借金のカタとして、子柳が隠し持つ宝物をせしめてやろうというものでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます