一緒に入っていい?
「久しぶりねえー! 元気にしてた?」
まだ2、3か月しか経ってないけどな……
「お久しぶりですおばさん、お元気でしたか?」
「え、紗月何そのしゃべり方」
俺が丁寧語でしゃべるのがそんなに変か?
六実は腹を抱えて笑っている。
「なんか記憶喪失のこと思い出してちょっと変な気持ちになるなー」
未来に関してはすまん。 ほんとすまん。
「そう言えばそうね! 紗月君もう大丈夫なの?」
「お、おかげさまで…… すごい元気です」
「ダイエットを始めるくらいにねー」
六実よ、あとで覚えてろ。 と目で送っておいた。
これで余計なことは言わないだろう。
「なら私が来る意味がなくなっちゃったわねー、せっかく沖縄から来たんだけどなー」
「確かに来てもらっちゃってすぐ返すのはなんですし、少しの間こっちにいてみてはどうですか?」
六実もおとなしくなりそうだし。
それに俺と未来の間には何もないんだし。
「え!? いいの!? ならゆっくりしちゃおうかなー」
「私たちは明日から学校だけどねー」
台風明けで明日は木曜日だし週末にでもどこか行くか。
このまま返してしまうのは申し訳ない。
「週末にいつものモールにでも行こうか」
他に見るところなんてないしな。
沖縄の人からすると新しい発見もあると思うしな。
あれ? そういえば六実は何も驚いていなかったような……
「おばさんを連れて行ってくれるの!? ありがとね紗月くん!」
「じゃあ私も行くー」
六実も一緒に行きたいみたいだ。
まあ家族との時間は大切だよな、特に六実みたいな元気な奴はな。
うちの親は三年海外だけど。
「未来はどうするんだ? 一緒に行くか?」
「ううん、私は杏ちゃんと行かなくちゃいけないところがあるからパスかなー」
珍しいな、俺が誘って断るなんて。
何か大切な用事なのかな?
「じゃあ、おばさんたちと行ってくるよ」
「あいさー」
未来の奴どうしたんだろう。
ふと風呂に入っていると思った。
記憶喪失の件から何か考え込んでいるみたいだし、あんまり無理しないといいけどな……
俺は元気なんだし……
コンコン
「なんだー?」
おそらく未来だろう。
でも風呂にまでどうしたんだろう。
「一緒に入っていい?」
「は!?」
急に何を言い出すんだ!?
隣の家には六実(母)がいるんだぞ!?
「だ、だめに決まってるだろ!」
「同居してるんだからこのくらい大丈夫だよー」
そう言いながら風呂場の扉を開けてきた。
ああ、もう! 何考えてるんだよ!
俺は体を拭く用のタオルで大事な部分を隠す。 ちゃんと隠れてるよな?
「えへへー、つっくんとお風呂だー」
未来は彼女のパジャマであるキャミソールを着ながら入ってきた。
甘ったるいにおいが漂ってくる。
俺はここである違和感を覚えた。
「なあ未来。 酔っぱらってるだろ」
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