つっくんのばか……
「あ、六実ちゃん! やっほー!」
「やほやほー」
なんで未来はこんなに理解が早いんだ……
まだ説明もしてないんだけどな。
「六実ちゃんも今日来てたんだねー」
「そっちこそデート?」
「そだよー」
「仲良し夫婦ですなー」
「えへへー、やっぱりそう見える?」
「うん! お似合いだよ!」
なんか俺の居場所がない気がするぞ……
誰か助けてくれー!
「そういえば今日は紗月とデートなんだっけ?」
「そうだよー、今日はデートなのー!」
「そしたら私はもう帰ろうかな、もう用はないわけだし」
「ドーナツは食べていかないのか?」
やっと会話に入れたぞ、やっぱり女子ってすごいな……
「私は家で食べるから大丈夫よー、それに早く帰らないと見たいテレビ番組を見逃しちゃうし!」
「そっか、気を付けてな」
「あいさー!」
そう言うと走り去っていった。
いや、モールの中で走っちゃダメだろ……
「やっと二人きりだねー」
「ああ、今日はすごい疲れたな」
「良かったね、宿題終わらせておいて」
「まったくだ」
このまま明日から宿題になっていたら疲れで過労死してもおかしくなかったな。
未来さん、助言をくれてありがとう。
「もう人も少なくなってきたね、どうする? 私たちも家に帰ってゆっくり食べる?」
言われて見ると夕食の時間も過ぎ大半の人が帰り始めている。
俺も疲れたしゆっくりしたいな。
「俺たちも帰るか、家でゆっくりしよう」
「りょーかーい」
俺たちは席を立ち出口へと足を進めた。
「ねえ、つっくんはどうして私のことを好きになったの?」
……! 急に何を言い出すんだ!?
「いきなりすぎだろ!? どうしたんだ突然!?」
「なんかね、夜空を見てたら修学旅行のこと思い出しちゃって」
「思い出さなくていいぞ、俺は今すぐに忘れたいからな」
「それじゃあ、私のその…… キスしたことも忘れちゃうの……?」
もうちょっと言い方あるだろ!?
その言い方だと頬にって意味がないじゃないか!
「そ、それは忘れない…… かも」
「つっくんのばか……」
悪かったな! あんなの忘れられるわけないだろ!
「それで、俺が何で未来に惚れたかだっけか」
「う、うん」
そんなの決まってるさ。
「俺は未来の強さに憧れたんだろうな」
「強さ?」
未来も予想外の答えだったのかキョトンとしている。
「ああ、強さだな」
「ん、どういうこと?」
「未来は家から追い出されようとも、ずっと一人であっても、自分という芯をもって生きているだろ? そういうところに俺は憧れたんだろうな」
「なんか好きな理由というより尊敬の理由だね」
「まあ、尊敬してるしな」
伝わりずらいかもしれないがこれが俺の気持ちなんだからな。
あー、恥ずかしい。
「純粋に性格とか顔も好きだけどよ」
「え!? そういうことを先に言うんじゃないの!?」
突然すぎたようだ。
未来は顔に手を当てて真っ赤になっている。
「さてさっさと帰りますか!」
「あ! ちょっと待ってよつっくん!」
やっぱり二人きりのほうが楽しいな。
なんて思ってないからな! ほんとだからな!
やっぱちょっと楽しいかも……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます