いきなりすぎだろ……
「もう、大丈夫だ ありがとうな」
かれこれ十五分くらいだろうか。
「つっくんはもっと私に頼ってくれていいんだよ」
「ああ、これからはそうするよ」
「もう寝るから大丈夫だ、それと明日は出かけようか」
お礼もかねて明日は思いっきり遊ぶか。
「え、いいの?」
「ああいいぞ、好きなとこに連れて行ってやる」
「明日から週末だよね! 今すぐ準備して!」
「来たぞ海ーー!!」
なぜこうなった、展開早すぎないか?
「ほんとに来ちゃったんだな……」
「もっとテンション上げようよー! せっかく海に来たんだから!」
突然海に連れてこられてテンションが上がるわけがない。
「あのな、海に来たのはいいがまだ遊泳禁止だぞ?」
「え、そうなの!?」
知らなかったのかよ……
「まあ、観光地だし見るところはいくらでもあるだろ」
「そうだね! お腹もすいたし町のほうに行ってみよ!」
確かに移動だけで午前中を使っちゃったからな。
繁華街に入るとそこら中からいい匂いがしてくる。
「なあ未来、何食べるか早く決めてくれ…… 腹が減りすぎて死にそうだ……」
「ちょっと待ってね、今決めるから」
それ言ってもう三十分だぞ、もう限界だ……
「よし決めた! ラーメンにする!」
「よし、決めたなら早く行こうぜ!」
「んー! おいしい!」
「確かにうまいな!」
一番近くのお店にしたけど当たりだったようだ。
「お嬢ちゃんたち旅行かい?」
優しそうな店主が話しかけてきた。
「そうなんですー、それにしてもこのラーメンおいしいですね!」
未来はラーメンに夢中みたいだ。
「ありがとよお嬢ちゃん、よし替え玉無料でいいぞ!」
「え、いいんですか!? やったねつっくん!」
外でもつっくんは禁止しよう、恥ずかしい。
「それにしても兄ちゃん、かわいい子捕まえたな!」
「そんなんじゃないですよ、家族みたいなもんです」
「そんなに仲がいいのか! うらやましいな兄ちゃん!」
「あはは…… どうも……」
「そんなに仲いいなら伊勢山皇大神宮にでも行ってみたらどうだ?」
聞いたことないところだな、あとで行ってみるか。
「おっちゃんありがとねー!」
未来は満足したようでご機嫌だ、でも替え玉四つは食べすぎだろ。
「次はどこ行こっかー」
「おっちゃんが言ってた伊勢山皇大神宮でも行ってみるか」
調べてみたら観光名所みたいだしな。
「おっけー! 道案内よろしくー」
丸投げかよ。
「おお、これはすごいな……」
「おっきいねー!」
なんと百五十年の歴史を持っているらしい。
「ねえ、つっくん! このお守り可愛いよ!」
「確かに可愛いな、俺これ買おう」
白い巾着型のお守りで真ん中に桜の模様が入っている。
「じゃあ、私も買うー!」
お揃いかよ…… まあいいけど。
「あれ? 紗月じゃん!」
どっかで聞き覚えがある声が聞こえたぞ、まるで雄二みたいな……
気のせいか! 気のせいだよな!
「おい、無視はひどいぞ」
気のせいじゃなかった、まじだった。
「紗月たちもデートか、気が合うな!」
「デートって距離じゃないぞ!? 電車で三時間だぞ!?」
「俺らは日帰りで遊びに来たんだ、そっちは?」
「多分日帰りだと思うけど……」
実は未来が全部計画を立ててくれたから俺はほぼ何も知らないんだが……
「そうか、お互い邪魔しちゃ悪いし俺らはもう行くぜー」
「あ、ああ。じゃあな」
「雄二って彼女いたんだね、ちょっとびっくりしたなあ」
「あれ知らなかったのか?」
そういえば未来には言ってなかったっけ?
「今日は疲れたな」
「そうだね、そろそろ行こっか」
俺は駅の方面に歩き出す。
「ちょっと、どこ行くの? そっちじゃないよ?」
「駅ってこっちじゃなかったけ?」
「今から行くのは旅館だよ?」
はあ!? 旅館ってまじか!?
「予約とかしてあんのか!?」
「ばっちりだよ!」
おいおい嘘だろ…… まだ俺を疲れさせる気かよ……
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