百合花
フロネシス
第1話
怪しい夜会にアロマキャンドル。
玲奈(れな)ちゃん。
「この世のすべてを味わい尽くしたい。」
美桜(みお)ちゃん。
「なんて贅沢な。」
「この世のすべてを求めると言うの?」
玲奈ちゃん。
「自由にも限界がある。」
「少し試してみたいのです。」
美桜ちゃん。
「かつてのソロモンはこの世のすべてを手に入れて。」
「虚しくなったという。」
「伝説となった人物でさえそんな結果になったのだから。」
「わたしたちはなおさらでは?」
玲奈ちゃん。
「大望でしょうか。」
「ただ。」
「男性と同じような事をしてみたいのです。」
「女性にも出来るでしょう?」
美桜ちゃん。
「それはいい名案。」
「女性を知るにはまずは男性の真似事から始めないと駄目なのかしら。」
玲奈ちゃん。
「おおむね知性や歴史を創り上げたのも男性の功績が多いです。」
「教科書は?哲学書は?歴史は?」
「では。」
「まずは男性の真似からコツを掴もうと思いまして。」
美桜ちゃん。
「独学というより。」
「勝手に思いついた我流であるよりは。」
「誰かが確立した完成品から学ぶのが得策。」
「歴史の太鼓判がありますからね。」
玲奈ちゃん。
「そういうわけで。」
「この夜会も密談も。」
「有意義なのです。」
美桜ちゃん。
「おもしろい事をしようとなさる。」
「私は傍らで見ていましょう。」
「ええ、参加もしますよ。」
次の日。
友達の朱莉(あかり)ちゃん。
フリースクールの玄関で待っていて。
公園に連れ出してきました。
朱莉ちゃん。
「あのね。」
「れなちゃんが好きなの。」
玲奈ちゃん。
「わたくしも女の子は好きです。」
「別にお付き合いは構いませんよ。」
朱莉ちゃん。
「いいの?」
玲奈ちゃん。
「恋ですかね。」
朱莉ちゃん。
「わたしも女の子が好きで。」
「れなちゃんに手を出しちゃった。」
玲奈ちゃん。
「この際ですから。」
「一緒に遊びましょう。」
「カップル成立ということで。」
朱莉ちゃん。
「それでいいかな。」
「じゃあ告白成功!」
一緒に。
今日も自由科目で学習して。
3時間で解散。
短期コースというものがあり。
素質がある女の子が通い。
小学校ですべて教えてしまいます。
卒業したら個々の学習方針に基づいて。
自力学習をすることで。
個々のポテンシャルを引き出す。
変わった学習スタイル。
一緒に喫茶店にて。
朱莉ちゃん。
「彼氏が出来た。」
玲奈ちゃん。
「彼女が出来ました。」
朱莉ちゃん。
「ハイチーズ。」
「わたしの想い出。」
食事を済ませて。
ドリンクタイム。
朱莉ちゃん。
「何見てるの?」
「そんなにわたしが好き?」
玲奈ちゃん。
「多分好色に耽る事になるでしょう。」
朱莉ちゃん。
「え?えっちなことでもするの?」
玲奈ちゃん。
「そうなりますか。」
朱莉ちゃん。
「それもいいかも。」
「そういえば女の人って大抵は色事が好きですよね。」
「功利主義とか享楽主義か二種類しかいないし。」
玲奈ちゃん。
「少しやってみますか?」
朱莉ちゃん。
「まあいつかは。」
「そもそも性ってなあに?」
玲奈ちゃん。
「本能的に求めているだけでは?」
朱莉ちゃん。
「体験してみたい。」
「相手が女の子だし。」
玲奈ちゃん。
「わたくしも体験してみたいです。」
「世の女性が色事に夢中になっている所を見ますと。」
「そこまで魅力があるのでしょうか。」
「それとも動物の方が優れているのでしょうか。」
朱莉ちゃん。
「この辺りの神社で安産の神様が祀られているよ。」
玲奈ちゃん。
「いい機会ですし。」
「色気付いたらやってみましょう。」
「わたくしの愚かさを許してもらえるように。」
朱莉ちゃん。
「相手が良いですから。」
「本当に性欲って何でしょう。」
「きっちり知る機会になるみたい。」
玲奈ちゃん。
「今度デートしましょう。」
朱莉ちゃん。
「うんそうしよう。」
互いにほっぺにキスして解散。
美桜ちゃんからメールあり。
通常の方法では知り得ない知識もあるもんですよ。
とのこと。
どうやらこの世では普通に暮らしているだけでは。
到底手が届かない知識がたんまり存在しており。
わたくしは「通常」と「特殊」と「別格」という水準の著書を執筆することに。
通常生活通常論。
普通に生活しているだけでは手の届かない見えざる真理。
普通に暮らしているだけでは手の届かない高価な真理。
わたくしは朱莉ちゃんとちょっといけない事をしそうです。
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