第42話
ふと思って。
師匠に連絡して。
会う事にしたのです。
準備よし。
師匠の元に行くと。
もう既に。
丘の上で待ち構えていたのです。
察していたようですね。
すみれ。
「わたしの実力ってどのくらいですか?」
パィスベル。
「試してみる?」
すみれ。
「お願いします。」
パィスベルがマジックの衣装チェンジ。
魔法とマジックの融合。
さらに魔力の威力を強めた形態。
すみれちゃんも変身する。
魔力が強まる。
すみれ。
「変身すると魔力の消費が激しいけれど。」
「最大で三倍の魔力が出せる。」
パィスベル。
「行くよ。」
すみれちゃんは拡散弾を発射。
パィスベルはシールドを展開して防ぐ。
次々とホーミングする火球を繰り出していく。
パィスベルは手で弾いて接近。
すみれちゃんは即座に。
地面に設置した火炎地雷を起爆させた。
接近途中のパィスベルに命中するも。
ダミーに攻撃してしまい。
本体は側面です。
パィスベルとすみれちゃんの格闘戦。
炎の拳で攻撃を繰り出すも。
見切っているパィスベル。
格闘では当たりっこないので。
近距離で射撃に切り替えて応戦。
頻繁に飛んで。
ジャンプやステップを繰り返して。
丘の上の岩場まで逃げながら戦う。
パィスベルはスムーズに接近して。
光の腕で跳ね飛ばそうとするも。
すみれちゃん対応。
ガードして宙返り。
すみれちゃん射撃に徹する。
パィスベル停止。
パィスベル。
「そこまで。」
「見事な出来栄え。」
「教えてやれる事はもうない。」
「免許皆伝。」
すみれ。
「必要技能である戦闘力。」
「力という概念では一人前なんですね!」
パィスベル。
「そのとおり。」
「そこまでやれるのなら。」
「充分だよ。」
すみれ。
「やった。」
「わたしは一人前なんだ。」
パィスベル。
「これからも精進したまえー。」
すみれ。
「仰せの通りに~!!」
ハイタッチ。
帰り道。
ふと。
瑠璃ちゃんを訪ねる。
とある神社の事務所。
すみれ。
「女性はなんだと思いますか?」
瑠璃。
「そういう質問が大事なんだと思います。」
「きっと女性の世は訪れるから。」
「何かしらの問いから探るのです。」
すみれ。
「探究していて。」
「コツを掴んだんです。」
瑠璃。
「長年の女性の目的はそのような到達点ではないでしょうか?」
すみれ。
「そうでしょう。」
「女性は自分の有り方を勝手に品定めしてしまったから。」
瑠璃。
「またいちから考え直し。」
「実践して行くのが大切だと思います。」
すみれ。
「同感です。」
「女性という存在をみんなこれから知っていくから。」
「近代史の女性は女性という存在を間違えた。」
「女性の進歩・進展こそこれからのテーマ。」
アトリエに戻りました。
あかねちゃんが書き物をしています。
あかね。
「ポイエーシス。」
「制作に関わる魂の状態。」
「徳によって発動する。」
「技術そのものが徳であるものの。」
「ポイエーシスは制作に関する魂の状態になりつつ。」
「作品を描くことができる。」
すみれ。
「聖霊ジーニアス。」
「古代ギリシア・ローマでは。」
「聖霊が芸術家の元を訪れて。」
「作品を描くお手伝いをしてくれると信じられていた。」
「信仰形態が存在したが。」
「ヒューマニズムによって破壊されてしまった。」
「行き場を失ったこの信仰形態は。」
「この世界を彷徨っている。」
あかね。
「いつかポイエーシスという徳性を身に着けるまで。」
「創作論は完璧かもしれない。」
すみれ。
「元祖創作論のアリストテレスと。」
「元祖創作論の源、聖霊ジーニアス。」
「神様中心の文化かあ。」
いろいろ描きつつ。
月日は流れていきます。
いつ頃からか。
社殿巡りをしているすみれちゃんとあかねちゃん。
天啓についてお伝えして。
通っているうちに。
故事を見つけたのです。
諺。
忍は一字千金の法則。
忍耐することは。
きわめて価値のある尊いものであるということ。
出典は恵比良濃梅。
「ゆっくり急げ」とも言いますか。
それよりも忍耐の大切さを学びました。
そのうち。
不思議な力に導かれて。
これからは。
神様中心に展開すると自覚し。
歩みを進めると。
心を新たにしました。
すみれ。
「何か書状が。」
「あれまあ。」
「スカウトやわ。」
あかね。
「あれだけ実力を魅せたんだから。」
「ひとつくらい来るでしょ?」
すみれ。
「あかねちゃんは?」
あかね。
「それなりに。」
すみれ。
「そっかー。」
「私は示せたんだ。」
あかね。
「私の道も示された。」
「人の原点からすべてを習いました。」
すみれ。
「そもそも人ってなんや?」
あかね。
「そういえば人ってなんだろうね?」
すみれ。
「すみれちゃん思う所があって。」
「哲学書を発見したんや。」
あかね。
「どんな内容?」
すみれ。
「人間は誰でも限界状況の中で生きていかなければならないんやで。」
「限界状況。」
「死や苦悩から争いや罪責に至るまで。」
「いつかは死ぬ。」
「死の力は絶対的やし。」
「人生に苦悩はつきもの。」
「争いもあるんやし。」
「なぜか争いは必然的に発生するもんで。」
「罪責は知らずに犯して穢れてな。」
「遂には自らの支配者になったり。」
あかね。
「確かに人は限界状況を避けることができないね。」
「自由と主張すれば避けられる?」
「そんな事はありません。」
「でもこれが哲学的思惟を目覚めさせる契機となり。」
「絶望の中で自己を超えるものを感じる。」
「包まれて支えられている。」
すみれ。
「すなわち超越者。」
「世界全体が超越者を指し示す暗号となる。」
「超越者が暗号を送ってきてくれて。」
「すみれちゃんたちは限界状況にぶつかりながら。」
「それを解読していくことになるんや。」
あかね。
「哲学的に神様を説明するとこんな感じ。」
「これわたしも知っているよ。」
「でも専門書からの知識は無かった。」
すみれ。
「良書があったんやでー。」
「すみれちゃん本を見つける才能凄いやろ?」
あかね。
「その前にどれだけ愚書を読んだのか知りたい。」
すみれ。
「それ聞かないで。」
あかね。
「キャー!言ってよ聞きたいなー(棒読み)」
すみれ。
「才能の前にどれだけのノウハウがあるのか知らへんやろー(棒読み)」
あかね。
「才能ってそうやって培うんですね(棒読み)」
すみれ。
「エキスパートになる為には数年間の訓練が必要なんやで。」
「日頃訓練しない者は勝利を放棄しているような。」
あかね。
「玄人って鍛錬がすべて。」
「現代で天才と言い張っても。」
「玄人に勝つのは無理です。」
すみれ。
「うーん。」
「こう考察していくと。」
「人って不完全な生き物やね。」
あかね。
「どこをどうしても完全にはならない。」
「わたしは諦めたよ。」
すみれ。
「すみれちゃんも諦めるわ。」
「ここまでうまく行ったのは。」
「どうやら玄人になるのが目的だったらしいし。」
あかね。
「この世界の真実があるんだよ。」
すみれ。
「論語にも書いてあるほど。」
「世界の真実かぁ。」
あかね。
「完璧な状態で生きている人はなぜか存在しない。」
すみれ。
「それだけでこの世界の本当の事情が分かるような。」
あかね。
「有神論。」
すみれ。
「それで続きがあって。」
あかね。
「そう。」
「神学的ではなく哲学的に。」
「本当に限界状況は避けられない。」
すみれ。
「どんづまりになってはじめて神様が理解できるようになる。」
あかね。
「ドイツ。」
「ヤスパース。」
「実存主義。」
「限界状況・超越者。」
「著書・理性と実存。」
「1883~1969。」
「人間とは何だろう?」
「存在そのものへと探究を深めて。」
「最後に超越者に辿り着く。」
「宗教的にではなく。」
「哲学から神様について説明したひと。」
すみれ。
「キルケゴールとサルトルも仲間で実存主義でした。」
「こんな明確な説明は素晴らしいわな。」
「頭のいい人しか理解できない世界やでー。」
あかね。
「先人最強説。」
「先人の英知は究極です。」
すみれ。
「それで解ったで。」
「人は神様の為に存在すると思うんや。」
あかね。
「聖アクィナスの言葉を引用?」
「その通りだと思う。」
「聖人の発言を否定するのは。」
「神様に反対するのと同じでしょ?」
すみれ。
「そもそも人はキリスト教的に言えば被造物に過ぎない。」
「体は霊魂の為にある。」
「格言があったわ。」
「ちなみにすみれちゃんは青人草やで?」
あかね。
「青人草。」
「日本書紀と古事記は神道の神典。」
「本来の人の姿と有り方。」
「にしても。」
「自分が神だなんて人間は言うのかな?」
すみれ。
「愚かな人間。」
「そこまで来ると増長したなあ。」
あかね。
「人間と青人草は別物だし。」
「滅びよー。」
「人間。」
「なんて感じで敵対してみては?」
すみれ。
「そうなるとすっきり説明が行くわあ。」
「あかねちゃんたまに凄いと思う。」
あかね。
「わたしもだよ。」
「キスする?」
すみれ。
「諧謔そのものやな。」
あかね。
「そう。」
「諧謔だよ。」
すみれ。
「人生において独り勝ち。」
「勝利ってこういう所にもあるん?」
あかね。
「何に対して戦っていたか?」
「そういう意味ならば勝利なのです。」
「ゲーテの格言であったよね。」
「著書と創作は私の人間性においての勝利だとか。」
すみれ。
「そういう意味で独り勝ちかな?」
あかね。
「説明が付くよ。」
すみれ。
「キスする?」
あかね。
「それは諧謔。」
すみれ。
「では公義の為にやりましょ。」
あかね。
「青人草として。」
筆を合わせて笑顔。
アトリエでこっそり。
歓喜に包まれる女の子ふたり。
今日は勲章が届きました。
綺麗なデザインの甘美な功績。
活躍を称えて功労賞。
すみれ。
「。」
あかね。
「。」
すみれ
「
あかね。
「理法って知ってる?」
すみれ
「内容は
あかね。
「
鳥居が見えてくる。
すみれ。
「あかねちゃん。」
「進捗どう?」
あかね。
「著書が捗って。」
「先生に査定して貰う予定。」
「伝奇物語。」
「珍しいことや不思議なことを伝えること。」
すみれ。
「また、怪奇・幻想に富んだ物語。」
あかね。
「伝奇に富む話。」
「中国文学のジャンルの一。」
「唐時代の文語でしるされた、奇談・逸事を題材とした短編小説。」
すみれ。
「この時代。」
「国語辞典パワーが物を言うんやね。」
あかね。
「けっこう戦火を蒙ったから。」
「戦記物語になるかも?」
すみれ。
「怪我の功名。」
あかね。
「おかげでいろんな物事を学びました。」
すみれ。
「人類史上。」
「もっとも賢明だったソロモン。」
「みんな同じ結果になると書き残してるんやで。」
「よく見ると世人はみんな同じ結果になってるわ。」
「全員同じ結果になっているんやし。」
「これは真理やわ。」
「すみれちゃんもそのままだったら同じ結果になってたと思うし。」
「すみれちゃんは結果が異なるみたいやで。」
「神様は故意に外したとしか思えんわ。」
あかね。
「そうかもしれない。」
「それが真実になる。」
すみれ。
「敬神大事。」
あかね。
「そうだよ。」
「価値判断って結局は有神論に依存する。」
「すべての人が求めている物とか。」
「衆愚の意味かもしれない。」
すみれ。
「なんか自分の愚かさを謝罪したい気分になったわ。」
あかね。
「気持ちが大事。」
「心。」
すみれ。
「そうやね。」
「神社巡りしたいわ。」
あかね。
「この前。」
「天神様の社殿に行ったでしょ?」
「すぐに文芸学も良くなってきた。」
すみれ。
「霊験あらたか。」
「さすがのあかねちゃん。」
「この前作品読んだけれど。」
「芸術として成立していると思うん。」
「芸術らしい芸術。」
「美の表現そのもの。」
あかね。
「矜持。」
すみれ。
「喜劇だけはどこかで見たような。」
あかね。
「ギリシア賢人は記しました。」
「模作は文学の基礎である。」
「ソフォクレス。」
すみれ。
「あっと。」
「そういうもんやったわ。」
あかね。
「他にも。」
「事は他人を援助することによりて己れ自身を益す。」
「人間の病気のうちにて必要より辛いものはなし。」
すみれ。
「女子も学問に入らねば。」
「何も始まらない。」
「こんな悲劇歌にして。」
あかね。
「そんなあ。」
「仕方がない。」
「
「
満は損を招く。
物事の完璧な状態というものは。
やがて衰え。
さまざまな不都合や不利を招くようになるということ。
あかねちゃん。
「満つれば欠ける。」
すみれちゃん。
「そう言えば神知があると
あかるちゃん。
「ほえ?のことでは?
すみれ。
「国語辞典であったわ。」
「神の摂理。」
あかね。
「すべては神の摂理のまま。
すみれ。
「
あかね。
「!?」
あかねちゃん。
すみれちゃんの腕を組む。
ぐいぐい恋人繋ぎしたがる。
ちょっと嬉しいすみれちゃん。
東京大神宮にて。
天照皇大神(あまてらすすめおおかみ)
伊勢神宮の内宮(ないくう)の御祭神。
日本国民の総氏神。
豊受大神(とようけのおおかみ)
伊勢神宮の外宮(げくう)の御祭神。
農業・諸産業・衣食住の守護神。
-造化の三神(ぞうかのさんしん)-
天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)
高御産巣日神(たかみむすびのかみ)
神産巣日神(かみむすびのかみ)
古事記に記す。
倭比賣命(やまとひめのみこと)
天照皇大神に仕え。
その御心を人々に伝えた天照皇大神の御杖代(みつえしろ)
東京大神宮は「東京のお伊勢さま」と親しまれています。
参拝。
わたしの原点。
わたしの好きな聖地。
そよ風が吹き抜けて。
心地よい。
これは魔法少女の物語。
女性の美学。
アイドルとしての魔法少女。
きっかけを掴んで独自の女性路線を編み出した。
究極の女性を目指して修練を積んだ日々は。
ひとつの到達点に達した。
すみれちゃんは女性の存在を立証した女性として。
称えられることになる。
女性を証明した女性。
それは歴史において必要不可欠な。
人類の体験です。
END
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