第37話

かわいい女性が歩いていて。


シールを落としていきまして。


すぐに子供が見つけて拾ったのです。


ちょっと追跡したすみれちゃん。


角で待ち伏せされる。


紗耶(さや)

「わー。」


すみれ。

「おおっと。」


紗耶。

「鏡で見えてたよ。」


すみれ。

「ああ。」

「手鏡見てたから。」

「しまったわ。」


紗耶。

「すみれちゃんだよね?」

「小乃実ちゃんから伺っています。」

「そんなに私かわいかった?」

「あなたも好きね。」


すみれ。

「それは否定しないけれど。」

「不思議な女性が居るなあって興味本位やわ。」


紗耶。

「女の子に興味を持たれる?」

「たまらない!」

「抱きしめていい?」


すみれ。

「別に構わないけれど。」


紗耶。

「かわいい。」

「年いくつ?」


すみれ。

「ちょ!スカートめくらないで!」

「変態って所もいいなあ。」


紗耶。

「いかなる名馬にも。」

「癖のない個体は居ない。」


麗海(れみ)

「いいの撮れたよ!」


すみれ。

「撮るなら決めポーズで頼むで。」


ほっぺにキスされる。


紗耶。

「女の子ってたまらんわあ。」


すみれ。

「えっ?」


紗耶。

「気に入っちゃった。」

「付き合ってください!」


すみれ。

「すみれちゃんはまだ15だから。」

「ちょ無理!」


紗耶。

「だったら犯しちゃうぞー。」


すみれ。

「それもいいかも。」

「ってさっきから何してくれてんのー。」


けっこう触られた。


麗海。

「あははは!いい喜劇。」

「お母さんそのくらいにしなよ。」


紗耶。

「久しぶりに散歩したら。」

「いい女の子に出会ったわあ。」

「今度お茶してね?」


すみれ。

「こんなかわいいひともいるんやね。」


紗耶退場。


麗海。

「おもしろい挨拶だったかな。」


すみれ。

「お母さん?どんな不純を!?」


麗海。

「わたしは養女。」

「ピンと来たからと。」

「大学教授の娘になったよー。」


すみれ。

「そういえば隣のクラスに?」


麗海。

「そうだよー。」

「ようやく話せたねー。」


すみれ。

「あの人は少女の雰囲気がありながら。」

「大人の女性だった。」

「うーん。」

「お茶するのも悪くない。」


麗海。

「お母さんはイタズラ好きだから。」

「あそこの自販機に10円入ってる。」


すみれ。

「え?それが?」


麗海。

「さっきお母さんが入れて。」

「いやしんぼを観察して楽しんでるんだ。」

「たまにジュースが入っているよ。」

「さっき捨てたのはビックリ!マン?シール。」

「ウエハースは好きだけれどシールは嫌い。」

「どうせ子供が拾うから。」


すみれ。

「変人だなあ。」

「でも変人って個性が強いし。」

「切り札になるほど育成された歴史もある。」


麗海。

「狂気の無い天才は居ない。」

「こんな格言もある。」

「普通に凄い天才なんて居る訳が無いよ。」


すみれ。

「ということはあれは仕様です。」


麗海。

「バグではありません。」


すみれ。

「最近哲学を学んでいるけれど。」

「精神を耕すことが哲学なんやね。」


麗海。

「わたしは、伝えられたことを伝える。」


すみれ。

「多様性は喜ばせるなあ。」

「一緒に遊ばない?」


麗海。

「ふたりで?いいよ。」


すみれ。

「みんなの大体の予定は知っているで。」

「情報提供して貰ってるん。」

「呼ぼうか?」


麗海。

「自発的であるということは、有能であるということである。」


すみれ。

「お褒めいただいて光栄です。」


続々と運動公園に集結。


苺花。

「普通の娘?」


麗海。

「普通って有り触れているという意味で。」

「正常とか正しいとか言う意味ではありません。」


日葵。

「確かに国語辞典はそう書いてあるよ。」


紗莉奈。

「あれ?カメラ女子?」

「久しぶりに見たなあ。」


麗海。

「どっかで話したことあるよね。」


美香。

「かわいい女の子に写真撮影を頼んでコレクションする。」

「この街で知られている女の子ですよ。」


紗莉奈。

「そのコレクションの一部を。」

「販売しているとか噂がある。」


千夏。

「噂は進むにしたがって成長するんですー。」


美香。

「疑わしきは、被告に。」


すみれ。

「疑わしきは罰せず。」

「人は、彼らが信じたいものを容易に信じる。」


あかね。

「はれ?見慣れない子が一緒だ。」


紗莉奈。

「賢さ自慢の撒いた讒言でしょう。」

「わたしは信じないが。」


あかね。

「知恵は武器に勝る。」

「賢さは武器になる事もある。」


千夏。

「賢者は自分が愚人であることを知っててー。」

「愚者は自分を賢いと思っているんですー。」


すみれ。

「とりあいず関係無い事は放置して。」

「フットサル出来そう。」


あかね。

「ボール持ってきたよ。」


苺花。

「ちょうどいい場所があるの。」

「適当に設けた芝生広場が丁度フットサルコートと同じ。」


紗莉奈。

「ただし、的を外したらボールは草むら。」


あかね。

「いいよ根性で入ればいいし。」


すみれ。

「各自用意!」


フットサルで遊びました。


折り畳み式の小さなゴールを用意したので。


試合が出来たのです。


すみれ。

「ぎゃあ!ボール動かない。」


美香。

「丁寧にボールは扱うもの。」


乃土香。

「ボールを自分の手足の一部。」

「体の一部のように取り扱う。」

「これがボール捌きの基本。」


点が入る。


麗海。

「拍手を、お芝居はおしまいだ。」


すみれ。

「いいね。」

「やっと本気なのね。」


麗海ちゃんはあんまりドリブルしないけれど。


キープ力が尋常ではありません。


チャージに対して。


縦にボールを挟んで。


後ろ足で巻き上げて。


ジャンプを繰り返し。


ループパス。


これで一点。


あかね。

「ボールとひとつになった動き?」


すみれ。

「なんの!タダでは負けない。」


結局。


15分間得点なしで。


試合終了。


すみれ。

「麗海ちゃんさすが。」


麗海。

「あっ名前知ってたんだ。」


すみれ。

「凡人の動きじゃないわ。」


あかね。

「何してた子?」


麗海。

「魔法使いに向けてクロスボウを放った想い出かな。」


日葵。

「あの時に援護したのはこの娘だったのかな。」


すみれ。

「いろいろやるようで。」

「また混ざって遊んでくれる?」


麗海。

「もちろん!また学校で!」


すみれ。

「またね。」


乃土香。

「さてさて。」

「絵本モドキを描かなくては。」


美香。

「これから20キロの荷物を担いで。」

「歩き回る予定。」


あかね。

「書き物多し。」


紗莉奈。

「まいかと一緒に取材。」


千夏。

「習い事がもう少し後にありますがー。」


日葵。

「フライトシュミュレーターで課題がある。」


すみれ。

「すみれちゃんは社殿に参拝するで。」


あかね。

「ごめん行けないかも。」


すみれ。

「みんな思ったより予定多かったね。」


日葵。

「ここに凄い神社があるよ。」

「地図。」


すみれ。

「宗教は説教ではなく実践である。」

「なるほど。」

「ありがとなー。」

「おのれの運を信じる者くらい。」

「運の良いものはいないってわけや。」


みんな解散。


次の登校日。


すみれ。

「あかねちゃん。」


あかね。

「今日はわたしに近づかないほうがいいよ。」


すみれ。

「ああっと。」

「お大事に。」


麗海。

「いい匂い。」

「どんなリンスを?」


すみれ。

「靴下のり持ってない?」


麗海。

「スカートが割と短い?」


すみれ。

「32センチまでなら見えないで?」

「たとえ階段であろうとも。」


麗海。

「そうなのー!?」


すみれ。

「ミニスカ女子見てみな。」

「33センチが安全やけど。」


麗海。

「それよりも写真撮影いい?」


すみれ。

「かっこよく撮ってね。」


麗海。

「うひひひ!わたしのお宝!(棒読み)」


すみれ。

「なんかすみれちゃん認められているから。」

「けっこう価値があると思うん。」


麗海。

「そういえばけっこう実力派で知られているよね。」

「雑誌で見たことある。」


すみれ。

「成功が多くの人をだめにした。」

「なんてね。」


麗海。

「謙遜ですなあ。」

「あかねちゃんは。」

「今日は無理みたいだから。」

「わたしが相手してあげる。」


今日。


あかねちゃんはひとりで下校。


橋の下で花火をやっている女性。


麗海。

「またお母さんだ。」

「イタズラ好きだなあ。」


すみれ。

「人はロボットじゃないんやし。」

「変わっていたほうが魅力があるわ。」


麗海。

「と言うと。」

「狂人は昔は尊敬の的だった。」

「なぜか気違いに変貌したけれど。」


すみれ。

「そうなるといろいろ不思議やわ。」

「熊野山では弥生時代から神事の痕跡があった。」


麗海。

「無神論者の日本史の方が間違えであるという証拠が出たね。」

「歴史って本来そういうものなのではー?」


すみれ。

「歴史は深くて把握できないほど。」


麗海。

「どれだけ習っても学問は追いつけない。」


すみれ。

「そもそも人の存在について考えてみると。」

「宗教的に成らざるを得ない。」

「人は暮らせればいいと心の中で言っている。」

「わたしは彷徨うだけ。」

「ずっと。」


麗海。

「不思議な知恵。」

「戦いの中で身についたの?」

「けっこう戦い慣れているみたいだけれど。」


すみれ。

「すみれちゃんはかなり戦いに身を投じたけれど。」

「そのほうが良かったわあ。」

「次のはすみれちゃんが見出した事。」

「人は態度を改めたほうがいい。」

「人はそれでいいと思っていても。」

「態度を改めるべき。」


麗海。

「それとは何か?」


すみれ。

「それがなんであるか見えないけれど。」

「そうであるとどうしても示される。」


麗海。

「ううむ。」

「愚かな人間の知恵では理解できないもの。」

「考えさせられますなー。」


いつの間にか。


紗耶さんは立ち去っていました。


すみれちゃんは帰宅後に。


のんびり読書。


おもしろ系から参考書まで。


千慮一失。


これでいいのかな?


ふと何か書きたくなって。


自分の周囲にいろんな古典を並べて。


詩作してみました。


いい作品がたくさん出て。


これはすみれちゃんの。


秘蔵のノートにまとめられています。


Aut disce aut discede.

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