第9話
クリスマスになると。
カップルが倍増して。
公園などで一緒に歩いている光景が見られます。
夕方。
すみれ。
「なんか暑苦しい連中やなあ。」
あかね。
「え?なんで?」
すみれ。
「いんや。」
「これは性格の話やで。」
あかね。
「本能的に夫に仕える女性は変態?」
すみれ。
「いんや。」
「子供に価値はあらへん。」
「そんな女性も実在するということは。」
「日本書紀で公認されている真実や。」
あかね。
「宗教的に有り得るのは知っているよ。」
「でも否定してあげないで。」
「あの人達はああしていれば満足するんだから。」
すみれ。
「もう見て見ぬふりや。」
「ところで。」
「そもそも女性について何を知っとるん?」
あかね。
「そう言われると分からないよ。」
すみれ。
「汝自身を知れ。」
「ギリシャのデルフォイのアポロン神殿に刻まれていたという言葉。」
「古代ギリシャの賢者ソクラテスは。」
「それまで「分限をわきまえよ」などの意味に解されていたこの言葉を。」
「自己の魂の考察を命じたものであると意味づけた。」
「そして自己の無知であることを自覚し。」
「そのうえで得られる知識こそ真のものであるとした。」
「賢者から習うことは大事やな。」
「すみれちゃんは無知やで。」
「無知から得られるものが真のものや。」
「いつもそう思ってるん。」
あかね。
「所詮わたしたちは知っていると信じ込んでいて。」
「知ったかぶりをしているだけ。」
「本来は無知なのに。」
「知ったように思っているだけ。」
すみれ。
「女性についても同じ事が言えるんや。」
「無知の知から生じる知識こそ本当のもの。」
「賢者ってほんま凄いな。」
あかね。
「いにしえの賢者さまパワーだね。」
「時代は移り変わった。」
「正解なんて存在しないわけだよ。」
「知性の奥義を習ったんだね。」
すみれ。
「そういうわけや。」
「万物流転とかは簡単やな。」
あかね。
「時異なれば事異なり。」
「物事はいつまでも同じ状態であることはなく。」
「時とともに変わるので。」
「対処の方法も、効果も、それに応じて違ってくるということ。」
「出展は東方朔で。」
「万物流転と同じ。」
「こっちのほうがわかりやすいよね。」
すみれ。
「無理に強いられた学習というものは、何ひとつ魂のなかに残りはしない。」
「プラトン先生の言葉や。」
「賢者の言葉は偉大過ぎやな。」
「学校教育に依存すると負けるで?」
あかね。
「自主性が物を言うよね~。」
すみれ。
「実は人の力ではできないことなんや。」
「ちょっと神社に通ってな。」
あかね。
「そのほうがいいよ。」
「人の力なんてそんなものだし。」
すみれ。
「それで教化されているんやけれど。」
「現代社会って科学以外に誇れることあるん?」
あかね。
「科学は良いものだけれど。
「科学を除くと西洋の暗黒時代と同じようなものかも。」
すみれ。
「憐れやなあ。」
「忘れんといて。」
あかね。
「というわけで腕組んでいい?」
すみれ。
「百合が咲く季節やっけ?」
あかね。
「そうみたいだよ。」
すみれ。
「別に構わへんけれど。」
あかねちゃんと解散。
帰宅する為に路地裏を通るしかないので。
早歩きで通り抜けます。
シャルロッテ。
「ちょっと待つネ!」
すみれ。
「ナンパですかあ?」
「ドイツ人は女性を口説くのが上手やな。」
シャルロッテ。
「チガウネ!」
「外国の魔法使いを集めて組織を作ったりしたけれど。」
「公安に秒殺されちゃったヨ。」
「ヨクモヤッタヨネ!」
すみれ。
「意趣返しになるかな?」
「すみれちゃん前よりパワーアップしてるで?」
シャルロッテ。
「やつあたりスルネ!」
「トコロデ友達少ないノ?」
「あんまりオオゼイで歩いてない。」
すみれ。
「監視してたんか!!」
「悪い友と旋風には出逢うな。」
「故事やで?」
シャルロッテ。
「悪い友をステチャッタノネ。」
すみれ。
「そゆことや。」
シャルロッテ。
「トリアイズやつあたりするネ。」
すみれ。
「面白いわな。」
シャルロッテが緑色のボールを作成。
緑のボールには刃が複数あって。
周囲に舞わせて。
そこそこの切れ味があり。
看板が切り裂かれる。
すみれちゃん。
動きを読んでひらりと回避。
シャルロッテが接近。
すみれ。
「危ないやんけ!」
「指輪外してやるんか!」
シャルロッテ。
「フキトビナサイ!」
シャルロッテ。
いきなり竜巻を発射。
凝縮された風圧で後ろに吹っ飛ばされるも。
宙返り。
見事に着地。
すみれ。
「すみれちゃん特製やで?」
すみれちゃんの黒炎弾。
シャルロッテ。
「コンナモノ!」
打ち消そうと頑張るものの。
全く効果が無く。
シャルロッテ。
マジック・コートを張って防御するも。
炎の弾が大爆発してシャルロッテ吹っ飛ばされる。
倒れている所を取り押さえられる。
すみれ。
「かわいいやっちゃな。」
シャルロッテ。
「変なコトしないでよネ!」
すみれ。
「くすぐっちゃる。」
シャルロッテ。
「Noooooooo!」
シャルロッテ戦闘不能。
すみれ。
「連行したろうか?」
シャルロッテ。
「情報あげるから見逃しテ!」
すみれ。
「どんな情報?」
シャルロッテ。
「正統派と異端に分かれて宗教戦争になっちゃったヨ。」
「異端の狙いは裕福層に認められることだけダヨ。」
「そのうちテロリストと手をクムカラ。」
「ただ利権欲しさに手を組んでいるから組織自体は脆いヨ!」
すみれ。
「あんたはそっち側やな?」
シャルロッテ。
「曖昧にナッチャッタヨ。」
「第三次世界大戦であらかじめ有利にナロウナンテ思ってナイヨ!」
すみれ。
「なーるほど。」
「戦争の工作員として派遣されてるんやな。」
シャルロッテ。
「いくらで買ってくれるノヨ?」
すみれ。
「それは小雪ちゃんと小毬ちゃんに売り込めや。」
「今日の所は見逃してやるで。」
シャルロッテ。
「ラッキーエスケープ。」
シャルロッテ逃げ出した。
すみれ。
「戦争を見越して工作をしているんやな。」
「圧倒的な戦力差をごまかしているってことや。」
「それで崩してから戦争に持ち込みたいんやな。」
「なるほど。」
すみれは小雪ちゃんに報告。
外国の魔法少女が暗躍しつつ。
すみれちゃんは女性を知っていきます。
真面目に女の子をやっている女の子は珍しい?
すみれちゃんは注文していたケーキを食べながら。
クラシック音楽に浸って。
女性について知ったつもりでいる。
何かについて知ったつもりでいる。
全員そうなんだと実感しつつ。
月明かりに照らされて。
クリスマスツリーにロザリオをかけて。
ペットのドバトと一緒に。
夜を過ごして。
またはじまります。
新しい一日へと。
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