拾弐
「9アース」乗員は危機が迫っている事を確信した。
すぐさま
「
船上のコンテナに偽装されていた速射砲・機関砲がベェルを脱ぐ。
艦に搭載されたそれらが火を噴く。と同時に、船体はが急速な傾きを見せた。
旋回はほぼ間に合うことは無いだろう。
しかし乗員は皆、生きることを諦めていなかった。
2発の対艦誘導弾のうちの片割れが弾丸を浴びせられ、その役目を果たさぬまま海中に消える。
残り1発・・・。
全員が一丸となる中、
もはや、海戦の素人にできることはそれしか無いことを知っていたからだ。
その瞬間、それまで教団の教典の一節を映していた
雑音も生じたために信徒は皆画面に釘付けになる。(官憲による通信妨害の可能性が大であったから)
黒い画像が示されたあとに、”それ”が正体を現す-。
まさしくそこに映し出されているのは、教主:斎藤の姿であった。
唐突に艦内全体に彼の者の声がこだまする。
「どうだね読者の諸君?こちらが一方的に敗北を喫する・・・そんな結末、つまらないとは思わないか?」
足利・鮫島が同時に「彼は何を言っているのだ、そもそも誰に語りかけているのだ?」と発言したのも束の間。
もう一発の誘導弾が緩やかな螺旋を描きながら、海面に接触する。
哨戒艦「さくら」艦長の石崎は困惑した。
「何が起こったのだ?」
彼がそう考えるのも無理はない。
突如として、誘導弾の反応が消失したのだ。
念のため2発発射した誘導弾が「9アース」に突入することはなかった。
教団内では騒めきが広がっていた。
「奇跡だ・・・」
足利が一人、孤独に呟いた。
同様に「9アース」の
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