第1話「楽器との出会い」

朝、学校へ行くと話しかけられた。

「なあ、翔太。俺らで和楽器部創立しないか?」

「何でだよ、翼。」

翔太に問われた翼は答えた。

「俺、一回やってみたかったんだ」

『だったら他の奴誘えよ。俺は和楽器には興味ねえし』

心の中で翔太はそう思ったが、言葉には出さなかった。

それどころか、

「…………いいよ」

良いよと賛成してしまったのだ。

「やったぁ!そうと決まったら職員室行こうぜ」

翼は言った。

「うん…いいよ」

担任は答えた。

「和楽器部創立認めます」

「っしゃあ!」

翼は舞い上がっているが、翔太はそっけない態度をとった。

それから和楽器の演奏に励んだ。

翔太は尺八を、翼はお箏を始めた。だが、2人の活動は、そう長く続かなかったのだ。

「ごめん、翔太。俺、引っ越すことになって、もう此処には通えないんだ。」

「そうなのか…」

翔太は悲しそうに言った。

そんな翼は翔太に願った。

「ひとつお願いがあるんだ。和楽器部は続けてくれ…一人で苦しいかもしれないけど、それが俺が一番嬉しい」

「そうか、分かった。和楽器部をがんばって、お前のこと、忘れないからな。」

翔太は、最初は興味がなかった和楽器を、今は大事に大事に持ち、素敵な音色を奏でている。
















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