第56話 『交渉』

<クリス>


レイラは店員さんに料理を運んでもらうようにお願いした名刺を取り出してミアのお父さんに差し出し

「私は株式会社 レイラ

 代表取締役社長

 西宮 麗と申します。年齢はミアさんと同じですので、今流行りの高校生社長という事になるでしょうか。

 株式会社『レイラ』は年商20億を売り上げるファッションブランド『レイラ』です。」


と笑顔でミアのお父さんに挨拶

見ているだけでドキドキしちゃう・・


『緊張・・しちゃう』 


レイラは私達に視線を移して

「じゃ私達も座ろうか」

って声を掛けてくれたので、レイラ、私、ミアの順番に椅子に着席する。


「早速ですが、今日着て頂いたのはミアさんの事でお願いしたい事が有りまして、アイザック様にはご迷惑と思いながらもこのような席を設けさせて頂きました。

実はミアさんは日本に来てから日本に馴染めずに苦労されているみたいで心労が溜まっているみたいなのです。


お聞きするとミアさんのジュリー様はミアさんが小さい頃に交通事故で亡くなって、ヒルダ様がアイザック様の後妻として嫁いで来られたとか。

でもミアさんと後妻であるヒルダ様は確執があったみたいで小さな頃からうまく行っていなかったみたいです。


なのでアイザック様の日本転勤をミアさんが聞いた時アイザック様と一緒に日本に来る事を決断したみたいです。


私の横に居るクリスちゃんですがミアちゃんと同じ誠心学園に通っていてミアちゃんが精神不安定な状態でこのままではミアさんは、何をするか解らない状態だから何とかして欲しいと相談を受けました。

クリスちゃんも昨年お母さんをガンで無くして日本人であるお父さんについて日本に帰って来たそうですがお父さんが後妻を娶った為に邪険に扱われ私が引き取る事になりました。


アイザック様とヒルダ様の良好なご関係の為にも、ミアちゃんを私達に任せてはもらえませんでしょうか?」


そんなレイラの訴えに

「薄々は気づいていたんだが・・・

そうか・・・

父親としては失格だな」


と言って


「はぁ~」


っと深いため息を吐いたあと考え込んでしまったミアのお父さん。


『私のお父さんと違って結構良い人?』

あ・・

そう言ってしまうと



私のお父さんって全然ダメダメな人って感じになっちゃう・・

お父さん・・お母さんが死んで生きる気力を亡くしちゃったのかも・・


「ガラガラガラガラーー」


キャスターに食事を乗せて従業員さん達が食事を運んできてくれる。



「アイザック様食事の用意も出来たみたいですし食べながら食事しませんか?」


って塞ぎ込んでいるミアちゃんのお父さんに声を掛けるレイラ。

「そ・・そうだな」


「何処でも後妻に入られた奥様としては、前妻様のお子様との関係に悩まれている方は多いみたいですよ。そんなに気にする事は無いと思います。

ミアちゃんを私達に任せてこの再、ヒルダ様と子供さんのカーティスちゃんとコリーちゃんも日本に呼んで一緒に住まわれたら宜しいのではないですか?」


「そうしたいのは山々なんだがな・・日本は物価が高いのだよ。良い所に住もうと思うと東京はそれなりのお金がかかるのだよ」


「どの位の金額が必要なのでしょう?」

「そこならばアメリカに置いて来た家族を呼んでも不自由はさせないだろうと思うんだが・・・5000万程足りなくてな・・」


一瞬レイラは上を向いて考えた後・・・

手元のポーチから何かを取り出して・・


サラサラ~~っと何かを書いてミアのお父さんに差し出した。


差し出したのは・・・


『小切手』


金額は・・


¥50、000、000円


西宮 麗

東京〇AAJ銀行



うわぁ~

それ出しちゃう?


「私株式投資もやってまして、自由になる金額は有るんです。この口座は私個人の投資用口座なので私の会社とは何の関係もございません。

どうでしょう?ミアさん私達に預けていただけますでしょうか?」


ミアちゃんのお父さんは一瞬考えた後・・

「妻と相談させてくれないか・?」


と考え込んでいる。

「ええ、大丈夫ですよ。その小切手はアイザック様にお渡ししますのでミアちゃんの為にもゆっくりとお考え下さい。タダ領収書だけ頂けると有難いです」


その後はミアちゃんの学校の様子とか、私達の事とか食事をしながら色々と話したのだった。


『ミアが変な事を言わなくて良かった・・・』


とつくづく実感した私だった。



つづく・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る