第17話 クラスの委員長

俺が起きてから1時間ほどが経った頃、隣から


「……ふゎーー…」というあくびのような声が聞こえた。

…おそらく花優が起きたのだろう。


「おはよう」少し大きな声で俺はそう言ってカーテンを開ける。


「おはようございます。」花優もそういってカーテンを開けるが、会話はない。


少し気まずい空気になっていた時に……「あの…大丈夫でしたか?…かなり魘うなされていましたけど…」心配そうに花優が見てきた。


おそらく俺は今日の夢のせいで魘されていたようだ。

あんな夢を見れば誰だって恐怖を感じる。


「ああ、そうだったのか…大丈夫だよ。」俺は嘘をつくのが苦手で白々しくそう言うが


「歩呂良くんって嘘つくの下手ですよね〜……どんな夢だったんですか?」


やっぱりバレた……花優は至って真剣にこちらの様子を伺ってきた。


俺は「はぁ……」とため息をついてから

「母さんと父さんが亡くなった日が夢になって出てきたんだ。そのせいで魘されてたのかもな。」


その日見た夢を……実際に起こったことを思い出したながらそう言った。


俺はあの後自分が大切だと思う物だけ持って自転車で逃げ出した……


「ちょっとした過去のことで魘されるんなんて俺って本当に弱いよな。」


ハハッと笑って過去のことを忘れようとする。「そう……なんですね……それは……辛かっ……たですね。」花優は鼻を啜りながらそして涙を拭きながら……

「ん?あー……え?いや、なんで泣いてんの!?」


花優は泣いていた。


しかも涙を零しながら。


あんまり泣かないって言ってなかったっけ!?


「なんか……歩呂良くんの話を聞いてたら…私まで悲しくなっちゃって……」


なんでお前が泣いてんの?


泣きたいのはこっちだわ!……とツッコミを入れたかったけど止めることにした。


俺はなんとか慰めようと何か考えていた時……「失礼します。」


病室のドアが開いてそんな声が聞こえた。


その人は真っ直ぐ俺の所に来て……「夢似くん!大丈夫でしたか!?」


そう言ってカーテンを開けたのは俺の学校と同じ制服を着た女子生徒で……


「……えっとー誰でしたっけ?」


見覚えがあるような、ないようなそんな感じの人だった。

その人は椅子を持ってきてそこに腰を下ろした。


「えー!?あなたと同じクラスで委員長の彩史さいし 愛夢あんですよ!話したことありますよ!……紙渡す時に『はい』とだけ。」


それ話してないだろ……俺なんて記憶にもないけど……まあいいか。


でもクラス委員長の人がなんで俺に会いに来たんだ?


「……そうか。……でその委員長の彩史さんが俺に何のようだ?……先生にでも『見てこい』って言われたのか?それとも馬鹿にしに来たのか?」俺は、どうせいい子ぶって来たと思っていたのでそう言ってやった。


「……いえ、馬鹿にしに来た訳でもありませんし先生に言われて来たわけでもありません。今日は日曜日ですし…」


その彩史…さんとやらは本当に個人的に来てくれたらしい。


俺はカレンダーを見るとしっかりと日曜日ということが分かった。


「だとしたら何で俺なんかに会いに来たんだ?」


そうだ…個人的に来るメリットなんてどこにもないしせっかくの休みの日が無駄じゃないか。


「屋上から落ちたって聞いたんで心配してきたんですよ〜」


彼女はそう言うが俺と同じで嘘を着くのが下手だった。


この俺でさえ嘘だということが分かるぐらいだ。


目はこっち見てないし、すげぇ泳いでるし、椅子に座ってるから足ブラブラしてるし……


「……で?本当の目的は何だ?」


俺は目を細くしながら相手を威嚇するように聞いた。


彼女はあはは、まぁバレますよねーと言って……









「私……自殺しようと思うんですけど。どのような死に方が良いんでしょうか?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る