後宮の寵姫
華
第1話 普段の暮らし
「鈴、今日はこの布に刺繍しなさい」
「はい、尚宮様」
女官の仕事は兎に角忙しい。
鈴が所属している部署は針房で
王や王妃の衣装を仕立てている。
鈴はまだ従八品の為、本格的な
衣装は仕立てることは出来ないが
針房尚宮から刺繍を教わり日々の
勤めをこなしていた。
「そなたの刺繍はとても繊細で
綺麗だ。この1年でよく成長
したものだ」
「ありがとうございます、尚宮様。
尚宮様が丁寧に教えて下さった
お陰です」
従八品は生地を倉庫から持ってきて
長さなどを調節し、仕立てることが
できる従六品・正六品に渡す。
女官の昇格を左右する監察尚宮に
良い評価をもらう為、鈴は毎日
一生懸命働くと同時に昇格試験
を見据えて刺繍の勉強もしていた。
自分が刺繍した衣装を王様に
着てもらうためだ。
直接王様に拝謁することは不可能
だと分かっていたが、自分が
刺繍した衣装を王様が着ている
と想像するだけで気持ちが高ぶる。
それだけ王様を尊敬していたのだ。
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