第166話 ヤマンバヤマンバヘイヘヘイイェイイェイヤマンバ!

 まあ趣味は人それぞれなので置いといて...

「ヤマンバの情報、と言われましたよね?」

 俺がそう話を振ると。

「失礼致しました、お見苦しいところを」

 うん、マジであの顔はちょっと”アレ”でしたね...。


 疾風さんの報告をまとめるとこうだ。


 ・ヤマンバの勢力がかつてないほどに拡大している

 ・元々あやかし外れした知能(元が人間の個体も多い)だが

 現在は【何者か】に指示されているかのように集団で動いている

 ・不確定な情報だが人間がヤマンバ化させられるところを見たという報告があった


 というところだった。

 気になるのは背後に居る誰か...まあこのタイミングだと十中八九魔王絡みだろうとは思うけど。

「ご苦労、しばし休むがいい」

 そう声をかけるカツミちゃんショーグン様

「はっ!」

 と頭を下げて下がr...いや下がんねーなこの人。

 むしろ前にズンズン来て...ノヤーロ君の隣、ローズさんの反対側にポジショニング。

 うん、人間正直なのは良いことだ、うん。

 あとはローズさんに任せよう。


『それでどうするのじゃ?』

 アイさんの問いかけにカツミちゃんは。

「まあまずはその指示役の何者かを倒す...できれば捕えたいところだな」

 それには同意だな、ヤマンバなら元は人間かもしれない訳だし。

 と、そういえば。

「疾風さん、人間がヤマンバに変えられた目撃情報があるって...」

「うふふ、アヤおねーさんって呼んで良いのよ?」

 おいおい積極的だなこの人、あとラビもそういうのちゃんと通訳しなくていいから。

「疾風...」

 カツミちゃんの飽きれ声に。

「はっ!申し訳ございません、あまりにも好みで」

 正直だなこの人。

「まあよい、情報を頼む」

 やれやれと先を促すカツミちゃんに。

「はい、これは友人と共に襲われ命からがら逃げきった者の証言なのですが、

 捕まった友人の胸元をはだけさせ何か玉のようなものを押し当てるとその後

 半刻ほどでヤマンバになって一緒に消えたということです」

 その報告を聞いてカツミちゃん、アイさんと顔を見合わせる。

「外的要因だったか!でかした!」

 以前話していたヤマンバ化の原因である。

「しかしその球が原因で摘出で治ると仮定してもヤマンバを一匹ずつ医者に運んで切除するのか?人間が変化した奴以外も居るんだろ?」

 俺の問いかけに応えたのはアイさん。

『なあに、今のワシらにはマイがる、胸に怪しい玉があるのであれば掻っ捌いて抜き取ったあとマイの回復呪文であれば切られる前より健康になるぐらいじゃ』

 なかなか乱暴な方法だけどやる価値はあるのか...しかし。

「まだ玉を抜き取ったからって戻る確証も無いよね?」

 俺の問いに。

「そうじゃな、疾風よしばし休んだらヤマンバを2~3匹捕えてまいれ、

 そうだな...か...に似た奴をな」

 実験失敗のリスクか...こういうところは為政者なんだなと実感した。

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