第65話 やめて!ラーの翼神竜の特殊能力で
それから数日は酷い物だった。
季節的な物だろうか雨が止んでしばらくするとスライムが発生。
遭遇するたびに合体される前にUターンして逃げる、振り切って進むがしばらく走ると遭遇。
休憩時も就寝時も誰か1人が水バケツを持って警戒しなければいけない有様だ。
「みんな〜、がんばれ〜!あともうちょっとだ!」
俺は疲労困憊ながらみんなを鼓舞する。
行きつ戻りつを繰り返しながらも着実に前進はしているはず、当初の予定からは遅れているが今日明日中には街に着けるはずだ。
うん、着くことは出来るはずだ、着くことは。
「あ〜...どうしよう...」
助手席でカリンが、後部座席でメリルとラビが寝ているのを確認して俺は小声で呟いた。
ハンドルを握る俺の目の前、メーターパネルの中にその呟きの原因があった。
あれだけあったガソリンがもう一メモリちょいしか無いのだ。
ざっとした脳内計算だと塩を仕入れて往復した後村までは持つか?帰りに街で馬を買い足さないと村から出れないかな?などと考えていたのだがこのザマである。
その原因が道路横の草むらに見えたが幸いぶつかるルートでは無いのでかわして先に進む。
こうしてかわせるときは良いのだが道路上で待ち構えられると流石に轢いて通るわけにもいかずに後退、迂回、再進行で無駄なガソリンを喰いに喰いまくったのだ。
「こりゃ海の街に着いたらエンプティになっちまうかなぁ...」
俺は一人呟くとジムニーを走らせた。
「...見えた」
やっと見えたのだ!海の街!
俺は喜び勇んでみんなを起こす。
『やっと着いたわね!これで夜の見張りもしばらくしなくて良いのよね!?」
メリルが嬉しそうに言う。
そう、みんなが寝ていたのは持ち回りで番をしていたから。
俺が起きて見張ると言ったのだが『ヨーイチはジムニーの運転があるからダメ!』というメリルの一言で女性陣が持ち回りで番をする事になったのだ。
俺はお言葉に甘えて寝かせて貰ったのだがいざ運転すればスライムのせいで遠回りをしなければならず結果全員疲労困憊という酷い有り様に、女性陣は心配で眠りが浅くなったのも遠因だろう。
結果俺が運転中に安心して寝ていたのだ。
やっとのことで着いた海の街の外門、しばしの順番待ちをする事に。
しかしあれだけスライムが出たのに並ぶ商人たちは警戒している素振りもない、何かスライム避けを知っているのだろうか?
しばらく待って俺たちの順番になると前に出るマリア。
大商会の娘というのもあるだろうが明らかに怪しい乗り物に乗ってきた俺たちなのにマリアが二言三言話すとあっさり通してくれた。
マジ有能すぎる、そりゃアミダラさんも『悪癖さえ無ければ!』って口癖になるってもんだ。
そして門番から聞いたという宿に向かっていた俺たち、しかし俺は何故か進みながら車を停めれる場所を探していた。
何故かって?自分でもよくわからないんだが。
ふとメーターパネルを見ると流石に走りすぎたのだろう、エンプティランプが点灯していた。
...帰りの燃料どうしよう...この街で高オクタンのアルコールとか代用品見つかるだろうか?
そう考えながら街の途中、買い物用の馬車置き場を通りすぎようとした途端体が勝手に動いて空いている場所に駐車した。
あれ?俺どうした?疲れてるのかな?
そう思った途端急激に身体から力が抜け始めた!
「あれ...?なんだ...これ?」
俺の視界がだんだん暗くなっていく...。
『どうしたの!?お兄ちゃん!?』
そう叫ぶカリンの声(と言ってもテレパシーだけど)もだんだん遠くなっていく...。
なんだ...?俺...どうなるんだ...?
お!おい!死ぬな俺!俺が今ここで倒れたら、カリンや村の人たち、アミダラさんとの約束はどうなっちまう? 寿命はまだ残ってるはず。ここを耐えれば、塩で大儲けできるはずだから!
次回、「洋一死す」。デュエルスタンバイ!(嘘)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます