第66話 洋一ちゃんは!こんなところで死なへんでー!
メタコメント:酷いネタバレを見た!
以下本編
『ヨーイチ!ヨーイチ!』
メリルが叫びながらヨーイチを揺さぶる。
いやー、しかしこんなに早く発動する事になるとはねー、あんまり頻繁でバレちゃったらあたしが怒られちゃうんだけど。
荷馬車から運転席に駆け寄りながら考えた。
『ヨーイチ様!ヨーイチ様!』
あたs...じゃなかったマリアも狼狽えて名前を呼んでいる。
いーや、でーじょーぶだ!ドラg...じゃなかった別に死にはしないって。
そんなことを考えながらあたしはちょっとだけマリアの視線を動かして確認する、よし!成功だわ。
メーターパネルの中にはエンプティランプは点いていないしガソリンゲージもFの遥か上、キッチキチの満タンになってるっぽい。
そう、これがあたしがわざわざヨーイチの夢まで行ってかけた暗示とちょっとした投げ銭程度の祝福の結果だ。
どうせ異世界から来たヨーイチは魔法を使えないけど生きている以上は魔力は溜まるからねー、チョチョイと変換したってわけ。
つまり今ヨーイチは魔力切れで倒れてるだけだから目を覚ませばオッケーって事!
『大変!心臓が止まってる!』
...え?
『お兄ちゃん息してないよ!?』
えええええ!?
魔力切れしても意識を失うだけでしょう!?なんで死にかけてんの!?
あ!
あたしの頭の中にとある映像が浮かんだ。
「ふっふっふ、勇者よ!よくぞ私をここまで追い詰めた!だが...楽しみはここまでだ...残念だが」
そう言って勇者の前に立ちはだかるのは魔王、しかしその顔は幾分寂しげだった。
「くそっ!なんで!なんで一切の攻撃が効かない!」
勇者は悔しそうに叫んだ。
「これが私の最終形態だ、いささか不格好だがな。
今の私は対魔法、対物理共に無効化してしまうのだ!」
魔王は落胆したような表情でそう言った。
「お前ならば...私を討ち破ってくれると期待していたが...お前でもダメだったか...」
「くっ!」
そう言われて勇者は歯を食いしばる。
...負けられない!俺はあいつを倒して依代になった幼なじみを救うんだ!
勇者はそう決意して魔力を練り始める。
「無駄だと言ったはずだ!お前の魔力全てを合わせても私には傷一つ付けられん!」
「そうかよ...だけど諦めるわけにはいかないんだ!!!
魔王を前が見えないほどの雷撃が襲う!が、それだけだった。
最終形態の前では雷など何の意味も無かったのだ。
「終わりだ」
そう言って
「ここだよ」
勇者の声が聞こえたのは足元、彼は魔王の腹にそっと手を当てる。
「貴様!何を「うおおおおおおおおおおおおお!」
触れた手から魔力が流れてくる!
「まっだまだぁああああ!」
瞬間!勇者の魔力が跳ね上がる!
あれだけの戦いをしながら魔力を温存していたというのか。
「これで最後だ!全部もってけぇぇぇ!」
「おおおおおおおおお!」
魔王のその叫びは断末魔かはたまた歓喜の雄叫びか?圧倒的に許容量をオーバーする魔力を注がれた魔王の動きが止まり...やがて自壊し始める。
所詮人間が全魔力を放出しようとしても生命維持分の魔力は必ず残るもの。
しかし
彼は掛け値なしに全ての魔力を魔王に注ぎ込んだのだった。
やがて自壊した魔王の中から全裸の美しい少女が現れて彼に駆け寄っていく。
しかし彼女を待っていたのは魔力を全て失いすでに事切れた勇者だった...。
たしかあれは世界を作るときに見た別の世界の資料、魔力切れで死ぬこともありうるんだった!
でもなんで!?夢に行った時ちゃんとヨーイチの魔力量を確認して生命維持のマージンを取った量で設定したのに...ってああ!
あの後あたしは何をした!?
男性の精液は
【マジでヤバイ!】
あたしは青くなりながらマリアの身体を乗っ取り人工呼吸のふりをして口から生命維持に必要な魔力をながしこむ!
魔力量が足りるとそのまま本当に人工呼吸に切り替え全力で蘇生させる!
「う、う〜ん...」
その甲斐あってヨーイチが目を覚ましそうだ!ヨーイチはガバっと起き上がると。
「洋一ちゃんは!こんなところで死なへんで〜!」
と叫んだあと。
「あれ?俺何言ってるんだ!?なんか言わなきゃいけない気がして勝手に叫んだぞ?」
と、正気を取り戻したのだった。
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