第29話 次回!マグロ!

 塩もいい感じに染み込み明日にはベーコンを燻して街に向かおうかと思っていたその日、ネシンさんが声をかけてきた。

『すまないがちょっと手伝ってもらえないか?』

 何事かとついていくとそこには見慣れた荷馬車があった。

『お前さんのジムニーは走ってもあまり揺れないだろう?これもどうにか揺れを減らせないかな?』

 ここ数日ぶらぶらしているのもなんだから色々手伝いをしていたのだがその時に乗ったジムニーのサスペンションにすっかり魅了されたネシンさんだった。

 流石に最新式のサスペンションを再現するのは無理だけど昔のトラックの板バネサスペンション方式なら多少は行けるだろうか?

 俺たちは村の木こり兼家具職人をしているフォースさんを訪ねる。

 フォース・リーナインさんは薪から板材、木工のおもちゃでも何でも作ってしまう木のスペシャリストだ。

 コンコン。

「へいへーい」

 通訳の必要は無い、というか現地語でもないいつものフォースさんの返事?が聞こえドアが開く。

「ほー!」

 この人有能でいい人なんだけど謎のあいさつにこだわりがあるみたいなんだよね...ネシンさんに聞いても意味わからんって言ってたし。

『ヨーイチとネシンか今日はどうした?』

 村人には一通り挨拶をしていたので顔なじみ程度には話をしている、もちろんカリン様々なんだけども。

「ネシンさんの荷馬車を改良するのに強度と反発性の強い木材が欲しいんですよ」

 なんというかイメージは折れない竹って感じかな?

『そうかそれならこれはどうだ?』

 フォースさんが出してきたのはまさしく竹だった...直径が1mはある代物だが。

『強度は折り紙付きだ、切り出すときに飛び散った皮だけで柔軟性も強度もしなる鉄って感じだな』

 おお!さすが異世界!求めるものが存在するもんだな。

『ただ一つ問題があってな...切り出すことはできても細かい加工ができないんだ』

 フォースさんは細工用の手のこを見せてくる、見事に刃がなまくらになっている。

 うーん困った、20センチ幅の長さ1メートル、厚さ2センチぐらいで複数欲しいのだが。

 こういう時ラノベだと現代技術の知識で無双するんだけどなぁ所詮キャンプ好きのおっさんでしかない俺の知識でどうにかなるもんかな?

 まぁ誰かとクイズ番組見てるときは先に答えられるぐらいには雑学好きだし広く浅くの知識ならあるから発想の起点ぐらいにはなるだろう。

 それに仕事は現場仕事だし多種多様の工具は見たし使ってきたから何かで代用できればイケる...かな?


 しばらく考えた俺は結局現場知識じゃなく雑学のほうに頼ることとした、この方法を使うならあの人を頼ってみるか...ちょっと苦手なんだよなぁワズマーミさん。

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