第21話 この道はいつか来た道

 森に沿ってジムニーを走らせながら変化があればカリンに伝える。

 細かく言うと木の種類が変わったり倒木を見つけたりだ。

 途中血だまりの後も通ったな、俺のトラウマの原因の一つだ。

 酸素に触れた赤は黒いシミになっていた。

 その後数度の変化を伝えたら。

『もう少し行ったら右に道が見えるはずだよ、わかりにくいから気を付けてね』

 あーやっぱりその村かー、俺は昨日ホイルスピンさせたタイヤ跡が残る道を右折する。

 おっとそれなら打ち合わせしとかないとな。

「カリン、ちょっといい?」

『どうしたの?』

「昨日この先の村でちょっとトラブルになったからジムニーで乗り付けたくないんだ、少し手前で停めて歩くけど大丈夫か?」

『お兄ちゃんが手を引いてくれるなら私はどこまででも歩くよ!』

 ちくしょういちいち可愛いな。

「それでお養父とうさんとお義姉ねえさん…ピメリさんだっけ?それ以外の人に会いたくないんだよね」

『わかった、村の入り口からは私が案内して家まで裏から連れていくね』

 そんな話をしながらゆっくり進んでいると…はい出た!白い物が道路に飛び出す。

 あー、やっぱこうやって足止めするのがこいつらの手なのかー。

 昨日ぶりに会う角ウサギアルミラージ先生のお出ましだ。

 俺は焦らずにブレーキを踏むとロープの端を落とさないように持ってパワーウィンドウを開ける。

 アルミラージは不思議そうに首をかしげる、こう見るとむちゃくちゃキュートなのになぁ。

「やるよ!だから俺たちは襲うなよ!?」

 言葉が通じないのはわかるが何となく理解してほしい気持ちを込めてロープを引っ張る。

 スペアタイヤにで縛ったゴブリンのロープを。

 ドサッという音と主に

「グガッ?」

 という声、落ちたショックで目を覚ましたか?

 それを見て車の後ろに向うアルミラージに手を振りながら

「じゃーなー」

 と言いつつ発進する。

 後ろは絶対振り向かない!だって後ろから

「ギャッ!」とか「グギギ!」とか「グギャー!」

 って聞こえているのだから、グロ耐性はあるけどスプラッタ趣味はないんだ。

『お兄ちゃんがトドメ刺さなかったのってこの為?』

「ああ、自分で処理したくなかったのと死体をぶら下げて走りたくなかったからね。

 いざやってみたらちょっとかわいそうかな?」

『万死に値するんでしょ?お兄ちゃんは悪くないよ』

「カリンが大丈夫なら気にしないようにしよう」

 ゴブリンは尊い犠牲となったのだ!帰りは止まらずにスルーしていくことにしよう。

 しばらくして村の入り口が見える少し前まではアクセルをほぼ踏まずにゆっくり近寄りわきに寄せて停める。

 俺とカリンは木々の間をぬって村に歩いて行った。

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