第16話 脳内妹症候群(脳内シスターコンプレックス)
カリンさんは色々考えて居るようだから俺はふと思いついてジムニーを動かし近くに持ってきて荷物を下ろし始める。
一通り準備をしてから声をかけた。
「カリンさん、このカンカン照りの中で考え込んでいると体調を壊しますよ、こちらへどうぞ」
そう言って彼女の手を引き準備した簡易サイトへ。
「さ、ここに座って」
そう言って組み立てたキャンプ椅子に座らせる。
『え?いつのまに椅子を?』
ふっふっふ、椅子だけじゃないんだなぁ、タープも貼っているから直射日光も防げてお肌にも優しいのだよ。
「ま、ゆっくり考えてみてよ」
そう言って俺はシングルバーナーを取り出して湯を沸かし始める、貯水率倍増なので多少贅沢しても良いだろう。
『凄いですね!なんて座り心地がいい椅子なんでしょう?』
カリンさんは感激しているようだ、俺としては彼女の通訳はどうしても欲しいものだから過剰に接待するのである。
「さ、頭を使うと甘いものが必要だから遠慮なくどうぞ」
俺はそう言って彼女にココア、自分にはいつものキリマンジャロを準備し、お茶請けに持ってきていたクッキーを差し出す。
「熱いから気をつけて冷ましながら飲んでね」
そう言うとカリンさんはふー、ふー、と冷まして一口。
『甘い!そしておいしい!』
どうやらお気に召したようで何よりだ。
「さ、これも食べて」
クッキーを差し出すと一口。
『何これ?めちゃくちゃ美味しいです!」
そう言いながら子リスのように少しずつクッキーを食べるカリンさん。
可愛いなぁ、もちろん顔がいいのもあるけどこうしていると年相応ですごく可愛い、よし、この子を脳内で妹認定しよう。
年齢的には親子ほど離れているが俺に子供はいないから妹に決めた!そう決めた!
そしてしばらく雑談した後カリンさんは決意の表情で言った。
『こんなに良くしてもらったらお仕事断る理由が無くなっちゃうじゃないですか。
私やります!洋一さんのお役に立てるように頑張ります!』
妹認定してしまった俺はなんかもう健気な妹にしか見えなくなっていてニヤニヤしながら。
「ありがとう、俺頑張ってこの世界で生き抜いてみせるよ。」
そう言って彼女の頭を撫でてしまった。
『ふみゅ...』
彼女は恥ずかしそうに、でも心地良さそうに撫でられるがままになっていた。
そして俺たちはこの先どうするか話し合った。
まずは街(彼女に聞くとこの道の先は街らしい)へ向かう事。
彼女は森の中に常設型のテントのような小屋を作って住んでおり荷物も多くはないとのことなので後で回収に向かう事。
彼女を育ててくれた
日も暮れて来たのでテントを準備して今日はここで一泊する事にした。
夕食は簡単にご飯を炊いてレトルトカレーにしたが彼女には辛いが美味いと好評だったことをここに記しておく。
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